大学院民訴レジュメ

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第25講 第26講 13日め


13日目
第25講 上訴制度と不服申立手続
講義の主題・ポイント:①控訴や抗告など、上訴制度と不服申立手続の意義や全体構造について理解する。②上告制度:上告理由及び上告受理制度の意義など、上告に関する基本原則の検討を行う。③抗告制度
キーワード:控訴、上告、抗告
判例百選 110、118

25-1-1 上訴
  定義:下級審判決が確定する前に、当事者がする、その取消、変更を求める不服申立方法。上級審での審理・裁判を求めるものである。
  制度趣旨:裁判の適正の確保と法令解釈の統一。
25-1-2上訴の種類
  控訴:覆審制、続審制、事後審制などがあるが日本の民訴は続審制
  上告:最高裁への上告については、上告受理制度により判例違反その他法令の解釈に重要な事項が含まれる場合に限られる。
抗告:決定・命令に対する不服申立。これに不服のときは再抗告。最高裁への再抗告は許されていない。もっとも判例違反その他法令の解釈に重要な事項が含まれる場合に限って許可をもらって最高裁へ再抗告することができる。

25-2-1 控訴
  定義:第一審の終局判決に対してなされる上訴である。
  高等裁判所が第一審としてなした終局判決に対しては上告のみが可能である(311条1項)たとえば特許申請に係わるもの。
  続審主義の恐れられる欠点として第一審の攻撃防御がおろそかになるのでは、といわれている。そこで第一審で提出しなかった新しい資料の提出を無制限にすべきでない、ということになる。争点整理手続の終結にともなう説明義務の存続(298条2項)、攻撃防御方法の提出などの期間の設定(301条)(2項:提出が遅れた理由を弁明しなければならない)時機に遅れた攻撃防御方法の却下(157条1項、297条)がそれである。
25-2-2 控訴の利益(控訴権)
 定義:第一審よりも有利な判決を受ける可能性。
  全面勝訴しても控訴することができるという説(実体的不服説)と第一審の判決主文と控訴の趣旨を比較して、決定するという説(形式的不服説)が対立している。既判力が判決主文に包含するものに生ずる(114条)のだから、形式的不服説がよい。
 ただし、別訴禁止規定(人訴25条)などが存在する場合、その訴訟内でしか関連請求の機会がないので、全部勝訴者にも、関連請求(たとえば離婚請求棄却判決を得た被告の離婚の反訴)を持ち出すために控訴の利益を認めるべきであると言われている。予備的相殺の抗弁勝訴した被告は、自己の反対債権の不存在が既判力で確定されてしまうので(114条2項)別の理由での勝訴を求めて控訴する利益を認める必要がある。
 附帯控訴:相手方の控訴による控訴審手続において、被控訴人が原判決に対する自己の不服を主張して控訴審の審判請求を自己に有利に拡張する申立てをいう(293条)。

25-2-3 終局判決
  控訴却下
  控訴棄却
  控訴認容
     原判決取消し 自判
            差戻し
            移送
     原判決の変更の限度
            利益変更禁止:原判決の敗訴部分のうち、控訴人が不服を申立てた範囲を超えて、この者に有利に変更することはできない。
            不利益変更禁止
25-3-1 上告
  定義:原則として、控訴審の終局判決に対する第三審(法律審)への上訴をいう。ただし、高等裁判所が例外的に第一審になる事例(独禁85条、86条、公選203,204条など)や、飛翔上告の合意(281条但書)がある場合には、第一審の終局判決に対して上告が認められる(311条1項2項)。
  法律審なので、原審が確定した事実に拘束される(321条)法令違背の有無の側面に限って原審判断の当否を吟味する、事後審である。
  上告制度は、法令解釈の統一が重視される。
25-3-2 上告理由
  憲法解釈の誤りその他憲法違反(312条1項)
  絶対的上告理由(312条2項)
1号から5号まであるが、問題は5号(理由不備または理由の食い違い(齟齬))であったが、最高裁への上告は上告受理申立理由制度でフィルターがかけられるようになった。
  判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反(312条3項):高等裁判所が上告審のときのみ。経験則違反はこれにあたる。
  附帯上告
25-3-2 上告の提起および上告受理申立
 上告状を原裁判所に提出し(314条)、不備がなければ原裁判所の裁判長は双方に上告提起通知書を送達する。そこに上告理由を記載していないときは、上告提起通知書の送達を受けた日から50日以内に上告理由書を提出しなければならない(315条)
 上告受理申立:最高裁への上告のときは、判例違背その他法令の解釈に関する重要な事項を含むことを理由として、上告受理の申立をすることができる(318条1項)。原裁判所にする。これは上告とは別個の訴訟行為。上告と双方を提起することができる。原裁判所は上告受理申立書が不適法でなければ最高裁に送付し、最高裁が受理または不受理の決定をする。最高裁は不適法な理由が一部にあればこれを排除することができる。

25-3-3 上告の審理 
 口頭弁論の要否:事実審でないので、書面審理だが、書面だけでは上告の適否・当否が明らかでないとき、口頭弁論を開く。上告を認容するときは必ず口頭弁論を開く(219条の反対解釈)。

25-3-4 終局判決
 上告却下:不適法な上告のとき
 上告棄却:上告理由とされたものが、憲法違反でも絶対的上告理由にも該当しないとき、上告に理由がないと認めるとき。上告理由が正しくとも、他の理由で原審の結論を正当とみとめるときは、棄却判決(ただし憲法違反、絶対的上告理由があるときは別)
 上告認容:破棄差戻し、破棄移送または破棄自判

25-4-1 抗告
  決定・命令に対する独立の上訴
  終局判決がなされるまでには、様々な判断を裁判所はするが、原則としては、これらの判断は終局判決をまって、終局判決に対する控訴・上告とともに上級審の判断を受ける。
  しかし、終局判決との関連が希薄な派生的・手続的な事項については、終局判決とは別個に、迅速に決着をつけるのが合理的である。すべての決定・命令に抗告が許されるわけではない。


百選判例 110 独立当事者参加における敗訴者の一人による上訴
Issue(事件の概要):訴外AはYに対して有する工事請負代金債権のうち150万円をXに譲渡したとして、XがYに対してその支払いを求める訴えを提起した。ところがZ(参加人・被控訴人・被上告人)もまた同一債権をAから譲受け、その通知はYになされているため、Yは請負代金82万4600円を供託した。ZがX・Y間の訴訟に独立当事者参加の申立をした。Xに対しては、XのYに対する150万円の債権の不存在確認と、ZがYのした供託金還付請求権を有することの確認を請求し、Yに対しては、Zの供託金還付請求権の確認とともに、譲受債権額150万円から供託額を差し引いた金額の支払いを請求した。
 第一審判決は、Aの請負代金債権の現存額は82万9800円であること、それがXとYに二重に譲渡され、対抗関係ではZがXに優先することを認定して、XのYに対する請求を棄却し、ZのXおよびYに対する供託金還付請求権のへ確認請求を認容、ZのYに対する金員の支払請求につき供託額を超える5200円の限度で認容する判決をした(ちなみに、ZのXに対する請求のうち、XのYに対する債権不存在確認は、ZのYに対する債権者であることの積極的確認を求めるべきであるとして棄却している)
 XがY およびZに対して控訴。Yに対しては150万円の支払いを求め、Zに対してはその請求の棄却を求めた。
 控訴審判決:AのYに対する債権は、XとZの間では、Zに優先して譲渡されていることを認定、またYの供託は債務の本旨に従った供託ではない(わずか2分の1を過ぎたものにすぎない)として、第一審判決中、XおよびY敗訴部分を取り消し、XのYに対する150万円の支払い請求を認容、ZのXおよびYに対する請求を棄却した。また控訴審は、第一審判決中のZのYに対する金銭請求を一部認容し、Yに対し5200円の支払を命じた部分も控訴審の審判対象となっている点については、本件のように「当事者の1が他の2者を相手に控訴した時も、他の2者は常に被控訴人に止まるのではなく、ある時点においては控訴人と利害を同じくして他の1に対して対立する関係にあるものは、これに対しては控訴人の地位に立つ。そして、実際に控訴した者、利害を同じくすることによって控訴人の地位に立った者の不服の範囲が控訴審における審判の対象となる」としている。
 Z上告。第一審でZに敗訴したYは控訴していないから、ZとYとの間の参加訴訟は、第一審判決のとおりに確定しており、Xの控訴に基づく控訴審における審判の対象にはならない等と主張した。
 上告棄却。3者において合一にのみ確定すべき場合に当たる・・・(ZのYに対する請求を認容した第一審判決部分は)Xの控訴のみによって遮断され、Yの控訴または附帯控訴の有無にかかわらず、合一確定のために必要な限度で・・Zに不利益に変更することができる」
Rule(法):独立当事者参加とは、当事者の一方に参加する共同訴訟参加と異なり、原告・被告の双方を相手方として、の間の請求と関連する自己の請求を、同時に、かつ矛盾のない審判を求めて参加することをいう(47条)。
Analysis(分析):そうすると、本件のように当事者の一人が控訴することで、控訴ないし附帯控訴していない当事者間の関係にまで、その判断(審判)が及ぶことになるとき、控訴審裁判所は、かかる2者の間の第一審裁判所の判決まで取り消したり、(第一審裁判当事のこられの者の請求を)認容したりすることができるのか、という問題である。
 判例は合一確定のために必要な限度でこれを認められるとしているが、この判断には次のような考慮が働いているものと考えられる。かかる判決をしたところで、独立当事者参加訴訟において、三者は、控訴審において争っており、そのため形式的には争いが存在しない2者関係に影響を及ぼす判断をしたところで、それによって不利益を被る者の手続保障がないがしろにされたことにはならず、むしろ合一確定の目的という独立当事者参加訴訟の本来の目的にそったものとなるので肯認すべきである。
Conclusion(結論):以上の理由を踏まえて判決に賛成

百選判例 118 破棄判決の拘束力
Issue(事件の概要):Xによれば、XはAを代理人として本件土地を買い受けたが、Aは自己名義で契約を結び、登記名義を取得した。Xは、本件土地の所有権確認、Y1からXへの登記移転、Y1Y2Y3移転登記抹消を求めて訴えを提起した。
 Y1らはAが自己のために本件土地を買いうけ、AY1->Y2 ->Y3 と移転したと主張した。
  第二次控訴審。X勝訴。(AはXの代理人。)
  第二次上告審。破棄差戻し。Y2,Y3が民法94条2項の善意の第三者にあたるか否かを審理しなかったのは、審理不尽、理由不備。
  第三次控訴審においてX敗訴。所有権を取得したのはAであり(民法100条)Xに移転する義務を果たさずY1(Aから相続)がY2に移転登記したのは二重譲渡と同じであり、Xは登記なくしてY2,Y3に対抗しえない(177条)。
  X上告。差戻し後の原審は第二次上告審で破棄の理由となった「Y2,Y3が民法94条2項の善意の第三者か否か」を審理すべきところ、まったく別の民法100条を持ち出し、177条の対抗要件の問題として審理判決したのは、破棄判決の拘束力に違反する、と主張した。
 最高裁は上告棄却。上告審判決の判断が差戻しを受けた原裁判所を拘束するのは、破棄の理由となった範囲でのみである。すなわち、同一の確定事実を前提とするかぎり、Y2およびY3が善意であることが認められれば、民法94条2項の類推適用を否定することは許されない、という限度でのみである。
Rule(法):差戻し(移送)を受けた裁判所は、新たな口頭弁論にもとづいて裁判しなければならない。上告審が破棄の理由とした事実上および法律上の判断は、差戻しまたは移送を受けた裁判所を拘束する(325条3項)。判決理由中の判断について生ずる特殊な拘束力である。
 ところで同一の確定事実を前提としながらも、別個の法律的見解が成り立ちうる場合、この新たな法律上の見解に立脚してXの請求を棄却することは許されるかという問題である。
Analysis(分析):破棄判決の拘束力の範囲をどのように考えるかであるが、上告審を判決の統一をその主眼とするものと考えれば、最高裁の判決のような見解も成り立ちうるであろう(上告制度は、法令解釈の統一が重視される)。しかし、三審制の意義をより当事者のためのものとして(当事者は、誤判を防ぎ、より深化した判断の機会を担保されるべきである)と捉えるなら、いったん争点として事実審で確定したものを、破棄差戻し判決によっていたずらに変更すべきではないのではないだろうか。三審制は裁判所のためだけにあるのではあるまい。
Conclusion(結論):最高裁の判決に異議あり。


第26講 再審制度
講義の主題・ポイント:上訴制度との相違との関係で再審事の意義と再審事由を整理する。
キーワード:再審事由
百選119 配布資料
26-1-1 再審
  定義:手続の重大な瑕疵など限られた一定の事由に基づき、確定判決の取消しおよび事件の再審判を求める特別な不服申立方法。
26-1-2 再審事由
  338条1項各号に規定されている。
26-1-3 再審の審判
  訴訟要件:不服の利益を有するのは当事者、その承継人、補助参加の利益を有する者(43条2項45条)。
  同一事件につき、下級審の終局判決と、それに対する上訴を却下または棄却した上級審の終局判決とがともに確定しているときは、個別に再審の対象となるのが原則。ただし、控訴審において控訴棄却の本案判決がなされたときは、事実・法律の両面にわたって控訴審で再審判しているので第一審判決に対して再審の訴えを許す必要はない(338条3項、ちなみに控訴認容のときは、第一審判決は消滅している)
  再審事由を知った日から30日以内に提起。
  不服申立の裁判所の専属管轄。
  却下:不適法な再審の訴え
  適法なとき、再審事由を調査(職権探知主義)、再審請求を棄却しないときは、開始決定--審判のやり直しーーー>原判決を正当と認めるときは、棄却判決、。
  再審請求の終局判決にもその審級に応じた上訴がある。
26-2-1 準再審
  即時抗告できる決定・命令が確定していると、準再審の対象となる。
判例百選119 

判例百選 119 再審の原告適格 
Issue(事件の概要):Yを原告とし訴外Aらを被告とする土地所有権確認等請求訴訟は、最高裁で判決をもって、Aらの敗訴が確定している。同訴訟の上告審係属中に売買契約により、Aから係争地の所有権を取得し移転登記を経たX(原告)が、Yを被告として前記判決につき、判断遺脱を理由に再審を求める本件訴えを提起した。
 最高裁は、Xの原告適格を認めながら、再審事由を欠くとして再審の訴えを却下した:再審の訴えは、判決が確定したのちにその判決の効力を是認するとができない欠缼がある場合に、具体的正義のため法的安定を犠牲にしても、これが取消しを許容しようとする非常手段であるから、右判決の既判力を受ける者に対し、その不利益を免れしめるために、その訴の提起を許すものと解するを相当であり、したがって、民訴法201(新法115条)に規定する承継人は一般承継人たると特定承継人たるとを問わず、再審原告たり得るものといわなければならない。
Rule(法): 訴訟要件:不服の利益を有するのは確定判決の効力が及ぶ者であるから(115条)当事者、その承継人、(補助参加の利益を有する者(43条2項45条))とされているが、承継人の中に特定承継人も含まれるか、という点に関する判断である。
 最高裁は、既判力のを受ける者に対して、その不利益を免れしめるために、その訴の提起を許すものと解している。
Analysis(分析):口頭弁論終結後の一般承継人については、問題がない。特定承継人にも適格があると解するのは、既判力が及ぶからであるが、一般的に口頭弁論終結前に係争物を特定承継すると、不動産であれば、登記によって、優劣が決まる場合が多く、登記まで得ていながら既判力によって不利益が生ずることはまれであろう(おそらくYA間では売買等が無効あるいは、そもそもAには所有権の取得がなかったと解される特殊な事情があったものと推測される)。
Conclusion(結論):判例に賛成

配布資料
支払命令申立書

住所
債権者
住所
債務者

貸金請求事件
請求の金額
ちょう用印紙額

請求の趣旨
債務者は債権者に対し、左記金額を支払えとの支払命令を求める。
1.金OOOO万円
1.金   円 督促手続費用
   内訳
   金   円  本申立て印紙代 
   金   円  送達料
   
請求の原因
  別紙請求の趣旨及び原因記載のとおり


右債権者  申立人(債権者)                    印

○○簡易裁判所御中
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by civillawschool | 2006-01-27 12:21

質問などに対する答え その4

お知らせから。
  民訴の最終試験問題の解説は、他の試験などが集中しているため試験期間中に実施できそうにありません。まだ、確定ではありませんが、調整中です。

①定義、制度趣旨などは、全部覚えなければなりませんか、という質問ですが。
 はい。全部覚えてください。補助参加やその他のところで、あいまいな「その訴訟の結果に利害関係を有する」であるとか、「(法律上保護すべき)利益」など、その中身のあいまいさが問題となるところであっても、覚えておいてください。その「あいまいさ」を後で議論するためにも後で必要になります。
②レジュメでまだ、係属が継続になっているところが、あるとか。失礼しました。「係属」に訂正しておいてください。
③独立当事者参加のところで、三面訴訟が原型といいましたが、原型であって、法改正もあって片面的参加(当事者のいずれかに訴えを提起)という形もあります。ご注意を。
④期末試験で民法とのリンクは、今回の担保権からみはありませんので、ご心配なく。しかし、担保についてはしっかり勉強しておくべきだと思います。(今回の試験には出ませんが)
⑤独立当事者参加における詐害防止的参加は詐害行為取消し訴訟とは、別物です。詐害行為取消し訴訟では、訴訟係属は要件どころか、そもそも取消権者が訴えをはじめて提起するものです。ただ、馴れ合い的訴訟をしているとき、詐害行為を防止するという意味で独立当事者参加のひとつがあるということです。

@昨日から出している配布資料は、ロースクール民亊訴訟法(有斐閣)です。大学院生用の資料としてゼミ室(?)に購入したものがあると思います。
 そこにある全部の質問に授業で丁寧に答えていく時間はないと思いますが、問題提起として、つまり問題意識をもって授業を聞いてもらえるようにと、配布しました。できれば各自で答えを探してみてください。
 民亊訴訟法の講義も残りあとわずかとなりました。ここまで、やってきたのですから、残りも気をぬかずにがんばってください。
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by civillawschool | 2006-01-26 14:40

第23講 第24講    12日目 


12日目
第23講 同一当事者間における複数請求の扱い
講義の主題・ポイント: 訴えの客観的併合(請求の併合)、訴えの変更、反訴、中間確認の訴えを理解整理する。
キーワード:客観的併合、訴えの変更、中間確認、請求の併合

12-1-1 訴えの客観的併合
     訴えの客観的併合の発生原因
        原始的発生原因・・・固有の訴えの客観的併合(136条)
                   (同種の訴訟手続による場合)

                 ・訴えの変更(143条) 請求の基礎に変更がない
                 ・反訴
        後発的原因・・・・・中間確認の訴え(145条)訴訟が法律関係の成立
                   または不成立に係わるとき                       
                 ・口頭弁論の併合(152条)裁判所の命令による


     客観的併合の要件ⅰ)数個の請求が同種の訴訟手続によって審判されるもの
               例外:離婚と離婚原因の損害賠償(人訴8条1項)            
             ⅱ)法律上併合が禁止されていないこと
             ⅲ)各請求につき受訴裁判所に管轄権があること(管轄については併合請求で管轄が生ずるので問題なし)

12-1-2 併合の態様   ⅰ)単純併合
            ⅱ)選択的併合 ひとつの請求が認容されることが他の請求の審判申立ての解除条件とする 例:債務不履行による損害賠償と不法行為による損害賠償
            ⅲ)予備的併合 論理上両立しえない請求に順位をつけてする 例:売買代金請求だめなら目的物の返還請求
12-1-3 控訴審と選択的併合・予備的併合
      上訴不可分の原則:併合の態様を問わず、ひとつの請求について上訴するとすべての請求について上訴が成立するが、不利益変更禁止との関係で選択的併合と予備的併合では問題あり。   
    予備的併合の場合:ⅰ)第一審が主位請求認容(予備的請求については審判なし)。全部勝訴判決である。被告が控訴。控訴審裁判所が主位請求理由なしと判断。予備的請求について審判することはできるか。Yes最判・通説 予備的請求も移審しているし、訴備的請求を追加できるではないか
    ⅱ)第一審が主位請求棄却、予備的請求認容の場合:一部認容、一部棄却の場合である。原告・被告とも控訴できる。 
原告のみが控訴した場合。控訴審が主位請求認容の場合、予備的請求について審判の必要はなくなる(第一審の判決は失効するのでこれを取消す必要ないが、原判決を全部取消して判決という説も有力)
        被告のみが控訴した場合。実質的には予備的請求の部分のみである。(上訴不可分の原則があるので移審するのは全部だが)審判の対象は予備的請求部分のみということになる。予備的請求は棄却すべきとの判断
       にいたっととき、原審判決の予備的請求認容のみ取消して予備的請求を棄却する判決を出す(多数説・判例百選115)しかし、それでは原告は両方の請求で敗訴することになるので、原告に附帯控訴の意思を確認する釈明をする。反対説は、こんなことをしなくても主位請求について審判できると解する(新堂)
   選択的併合の場合:債務不履行と不法行為の選択的併合の事案で判例(最高昭58.4.14判時1131号81頁昭和59年度重判143頁)は、全審級を通じてひとつの請求が棄却されるなら他の請求について審判を求めるという原告の意思は維持されるとして、甲請求を認容、乙請求は棄却という第一審判決に対して被告のみが控訴した事案で、甲請求のみが審判対象となるとして審理の結果甲請求を棄却した原審判決を破棄し、差戻した。この判決と百選115(予備的請求に関する判決)とは矛盾すると言われている。判例変更と解釈すべきか?
12-1-4 訴えの変更
     定義:訴訟係属中に、請求の趣旨もしくは原因またはその双方を変更することによって、申立事項の同一性や範囲を変更することをいう。
     制度趣旨:当初の訴えが紛争の解決に不適切であることが判明したとき、申立事項を変更することを認めるもの
     訴え変更の態様:ⅰ)請求の範囲のみ変更する場合(請求金額のもの増減など)①請求の拡張については反対が少ない(例外伊藤)②請求の減額は一部取下げか一部放棄とみるかで学説が対立。ともあれ訴えの変更ではない。
       ⅱ)請求の同一性の変更:訴訟物理論により見解が対立
        ①追加的変更は、旧請求を維持しつつ、新請求を追加する(土地所有権の確認に明渡しを追加)単純併合、予備的併合、選択的併合に分かれる。
         ②交換的併合は、旧請求に代えて新請求の審判を求める場合で(たとえば特定物の引渡請求を、填補賠償請求に変更する)判例は、訴えの追加的変更と取下げの組み合わせとみる。この判例に対しては、学説(多数)は、旧請求の審理結果を新請求の審判に利用できず、時効中断の効力も引継がれることの説明ができないと批判する。
      訴え変更の要件:ⅰ)請求の基礎に変更がないこと。社会生活上同一または一連の紛争に関するもので、両請求(変更前と後の請求)が主要な争点を共通にし、従前の訴訟資料が流用できるのであれば、「請求の基礎に変更がない」と言える。たとえば売買代金の支払い請求が無効と判断される場合に備えて、目的物の返還請求を予備的に追加請求する場合である。また所有権確認請求に、そのものの引渡を請求する場合もこれにあたる。被告に対する不意打ちを防止するための要件であるから、被告の同意または異議なき応訴があれば、この要件は控訴であっても(審級の利益を放棄していると解されるので)不要である。被告の陳述した事実をもとに請求を変更する場合も被告の同意は不要である(請求の基礎が同一でなくとも被告に不意打ちによる不利益はないから防御目標の不当な変更を強いることにはならない。
ⅱ)事実審の口頭弁論終結前であること。
ⅲ)著しく訴訟を遅延させないこと(143条1項但)。
ⅳ)交換的変更の場合は被告の同意が必要。        。
           旧請求の訴訟資料は新請求の資料となる。
12-2-1 反訴
     定義:訴訟継続中に、被告が同一手続で原告に対して提起する訴えのことである。
     要件:ⅰ)事実審口頭弁論終結前であること。
        ⅱ)反訴請求が本訴請求またはこれに対する防御方法と関連すること(相手方の同意、応訴があればこの要件は不要)。  
        ⅲ)同種の手続、他の裁判所の専属管轄に属さないこと。
12-3-1 中間確認の訴え
     定義:訴訟継続中にその請求の先決問題たる法律関係の存否について確認判決を求める申立である。
     審理は主たる請求と併合し、判決は一個の全部判決でする。
     主請求が取下げまたは却下されたときでも確認の利益があるので、独立の訴えとして扱う。

百選判例 115 不服の限度――控訴しない当事者の請求 
Issue(事件の概要):XとAは婚約しておりY(Aの母)の所有・経営するスナックの改装に関し、Aが工事の交渉をした。またXはAに預金通帳と現金を預けていたが、その中から改装工事代金として211万円を請負業者に支払った。
XはYに211万円の支払いを請求。Xの主張は、ⅰ)AはXの無権代理人としてYに211万円を貸し付けたか、立替払いしたが、Xは後でAの無権代理を追認しているので、YにはXに対して消費貸借上の債務または立替契約上の債務がある、ⅱ)仮に前記の契約の一方の当事者がXでなくAであるとしても、XはAに債権を有しているので、債権者代位による支払いを求める、ⅲ)仮に前記の二つの請求が成り立たないのであるならば、(予備的に)不当利得による返還を求める。
 第一審は、ⅰ、ⅱを棄却し、ⅲを認容した。Yのみが控訴。控訴審は、ⅰ、ⅱについては、「Xが控訴ないし附帯控訴の申立をしていないので、右部分に関する当事者の主張の当否は、当審における審判の対象となっていない」として、ⅲの請求については、XはAが改装工事の費用を上記金員から支出することを目次的に承諾していたと認定し、第一審判決を取消し、これを棄却した。
 X上告。主位的請求ⅰ、ⅱについて判断せず、予備的請求ⅲについてのみ判断した原審には違法がある。仮にⅲ以外の請求につき審判するために、控訴または附帯控訴が必要であると解するならば、原審は、Xに附帯控訴するか否かの釈明を命じるべきであり、これをしなかったことは釈明義務違反である。
 上告棄却 
Rule(法):第一審が主位請求棄却、予備的請求認容の場合:一部認容、一部棄却の場合である。原告・被告とも控訴できる。 
原告のみが控訴した場合。控訴審が主位請求認容の場合、予備的請求について審判の必要はなくなる(第一審の判決は失効するのでこれを取消す必要ないが、原判決を全部取消して判決という説も有力)
 被告のみが控訴した場合。実質的には予備的請求の部分のみである。(上訴不可分の原則があるので移審するのは全部だが)審判の対象は予備的請求部分のみということになる。予備的請求は棄却すべきとの判断にいたっととき、原審判決の予備的請求認容のみ取消して予備的請求を棄却する判決を出す(多数説・判例百選115)。
しかし、それでは原告は両方の請求で敗訴することになるので、原告に附帯控訴の意思を確認する釈明をする。反対説は、こんなことをしなくても主位請求について審判できると解する(新堂)。
Analysis(分析):不服申立の範囲はどこまでで、それが上訴不可分の原則との関係、当事者の処分権との関係でどう解すべきか、という問題である。
 本件のような場合、被告が第一審判決に不服なのは、予備的請求の部分のみである。これに対して原告は主位的請求二つについて不服であっても控訴しなかった、という事情をどのように考えるばきであろうか。
 通説判例なら、予備的請求であっても、それが認容されているので原告には不服はなかったと解することに問題はなかったようにも思える。もし、上訴審で覆るようなことがあるならば、と主位請求を予備的にでも上訴すればよかったのであろうか?判例・通説は不服申立の範囲について硬直的すぎるのではないか。
Conclusion(結論):判例に反対

第24講 当事者の交代の諸形態
講義の主題・ポイント:訴訟承継と承継後の実体関係について理解を深める。
キーワード:訴訟の承継
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配布資料あり
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24-1-1訴訟承継
  定義:訴訟係属中、実体関係の変動の結果、訴訟物について当事者の有する適格が第三者に移転したことによって、その第三者(承継人)が従前の当事者に代わって、あるいは従前の当事者とともに、訴訟を引き受けること。
  新旧の当事者間に訴訟上の地位の連続性があることが、必要であり、これがないとき任意的当事者変更となる。
 訴訟の承継は訴訟経済の面から、また紛争の実効的解決のために必要と考えられている。一定の事由がある場合にする「当然承継」と申立によって発生する「参加承継・引受承継」がある。

24-1-2当然承継
 当然承継の原因は、訴訟手続の中断・受継の規定から導出される(124条1項各号)*当事者の死亡、法人の合併、当事者の訴訟能力の喪失、法定代理人の死亡、代理権の消滅、受託者の信託の任務終了、など
 手続の中断をともなうときは、受継申立を受け審査をする。
 中断を伴わない場合(訴訟代理人がいる場合:124条2項)、判決に承継人が当事者として表示される。
24-1-3 参加承継・引受承継
  定義:係争物の譲渡など、紛争の基礎をなす実体関係に特定承継があったために当事者適格が第三者に移転した場合に、その第三者の訴訟参加の申立によって生ずる(参加承継:49条51条)、あるいは、相手方当事者の訴訟引受申立によって生ずる(引受承継:50条、51条後半)
@参加承継は権利承継人の場合、引受承継は義務承継人の場合を前提としているが、義務承継のあった場合に義務承継人が自ら進んで参加する(参加承継する)ことも、権利承継人の相手方が承継を引き受けてする引受承継もありうるとするのが通説・判例。 
 承継原因:実体関係において特定承継があったこと。権利の譲渡などの場合だけでなく、代位や執行処分(執行売却・転付命令)でもよい。紛争の主体たる地位の移転があることが要件である:土地賃貸借契約終了を理由とする建物収去土地明渡訴訟の係属中に、被告がその所有する建物を第三者に賃貸占有させた事案において、訴訟引受を認めた判例がある(最昭41.3.22)
 承継後は、新当事者は、前当事者の訴訟状態の地位を引き継ぐ。

24-2-1 任意的当事者変更
  定義:適格者が当事者となっていない場合に、①原告が被告適格者にその訴えを向け変え、または②原告適格者が原告に代わって訴えを提起することをいう。
 法文上の規定がないため、議論がある。通説・判例は新訴の提起と旧訴の取下げとみるので、新当事者は、従前の訴訟状態に拘束されない。もっとも従前の訴訟行為を援用または追認すれば、従来の訴訟追行の結果が流用でき、相手方はこれを拒めないと解すべきであると解されている。
 これに加えて、新旧当事者間に密接な関係があり(例:会社とその代表者)、新被告が旧被告に対する訴え提起を了知しうるとき、時効の中断効や、出訴期間の遵守の効果も引き継がせてよいのではないか、という議論がある。
 場合によっては、表示の訂正のみで足りる場合も少なくない。
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配布資料の質問に答える形で、授業をしていく
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by civillawschool | 2006-01-24 16:03

第21講、第22講 (11日目)

11日目
第21講、22講(合併講) 参加制度の意義
講義の主題・ポイント:訴訟当事者ではない第三者の各種参加制度の意義について、手続保障の観点から訴訟告知の問題も交えて理解する。
キーワード:補助参加、独立当事者参加、共同訴訟的補助参加、訴訟告知
判例百選 106、107,108、109,

11-1-1補助参加
     定義:他人間に訴訟が継続中、その訴訟の結果に利害関係を有する第三者が、当事者の一方(被参加人)を補助して勝訴させることにより自己の利益を守るため、訴訟に参加する制度のこと。
     参加の要件:他人間の訴訟が存在しており(控訴段階でも参加は可能)、訴訟の結果について利害関係があること。
     利害関係については:基準として、他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれのある第三者が、既存当事者との間で、利害調整を図るという視点(佐野宏志「補助参加」基本問題セミナー384頁)から、補助参加人にどのような機能を期待するか、という問題であるといわれている。
 こうした問題では、「他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれ」であるとか、「利害関係の性質・内容、その程度など」を測る明確な基準を示すことは一般に困難であると解されてきた。そこで従来の決定の事例をみていくしかない。①保障債務の履行請求に対して主たる債務者が補助参加をすること、またその逆は訴訟の結果に影響があることは問題ないであろう。②交通事故などにおいて、被害者と加害者の一人の訴訟について、加害者の一人に対する訴訟で請求棄却の判決が確定すると他の加害者が全責任を負うことになるとしてこの訴訟において他の加害者が被害者に補助参加することを認めているのもこの理由による。③村民大会において電鉄会社への寄付金割り当てをめぐって、未納住民への支払い請求訴訟において、被告たる住民が決議の無効を主張しているとき、他の未納住民が補助参加することを認めているのもこのためであろう。
    補助参加人の地位:独立性と従属性があるといわれている。独立性とは、参加人にも被参加人の行為に矛盾しない限りで訴訟行為をすることができることから、当事者能力や訴訟能力が要求されることをさす。従属性とは、被参加人の行為と矛盾する行為、不利益な行為はなしえない。(45条2項)
  既判力と補助参加的効力の異動については以下の表を参照のこと



既判力 参加的効力
勝訴・敗訴を問わない 被参加人敗訴の場合にのみ生ずる
 当事者間で生ずる  被参加人と補助参加人の間で生ずる
当事者の訴訟追行のいかんにかかわらず原則として生ずる  補助参加人のなしえた訴訟行為との関係で一定の除外事由がある
 訴訟物についての判断にのみ生ずるのが原則  判決理由中の判断についても生ずる
 訴訟告知として拡張されることはない  訴訟告知によっても生ずる(53条4項)
 職権調査事項である 当事者の援用を待って判断すれば足りる

11-1-2訴訟告知
 定義:訴訟の係属中、当事者らが、その訴訟に参加できる第三者に訴訟係属の事実を通知すること(53条1項)
 制度趣旨:第三者に対して参加の機会を与えることでその者の利益保護の機会を保障するとともに、告知者には、敗訴の場合には参加的効力を及ばせることで、この第三者との後日の紛争を防ぐことができる。
 要件:①上告審に係属中でもよい(53条1項)②訴訟の当事者が告知するが、他に補助参加人、告知を受けた者がさらに第三者に告知することもできる(53条1項2項)③被告知者は訴訟参加できる第三者(補助参加、独立当事者参加、共同訴訟参加の利益を有するもの)である。
 効果:告知者が敗訴しても、実際には参加しなかった場合でも、参加できたときに参加したものとみなされ、参加的効力が及ぶ。すべての補助参加人に参加的効力がおよぶわけではないので、参加的効力がおよぶ場合にかぎって及ぶ。たとえば主債務者に保証人は参加しても参加的効力は生じないし、村民大会決議のケースでも未納住民どうしの間に債務関係はなく、参加的効力は発生しない。

11-2-1 独立当事者参加(vs 共同訴訟参加)
定義:当事者の一方に参加する共同訴訟参加と異なり、原告・被告の双方を相手方として、の間の請求と関連する自己の請求を、同時に、かつ矛盾のない審判を求めて参加することをいう(47条)。かって三面訴訟の規定としてあったが、当事者の一方に対してのみ請求を持ち込む片面的独立当事者参加も新法は認容している(47条)
要件:①他人間に訴訟が係属中であること②参加の理由があること(後述)③本訴訟の当事者の一方または双方を相手にすること
 参加の理由については、ⅰ詐害防止的参加とⅱ権利主張参加があり、前者については権利侵害説、判決効説、詐害意思説、詐害的訴訟追行説などが対立している(判例も一致していない)。たとえば所有権移転登記抹消請求訴訟において、被告が訴訟に熱心でなく(準備書面を提出しない、口頭弁論期日に出頭しないなど)本件物件の強制競売開始決定を受けた債権者が、当該不動産が被告の所有に属することを確認するとの請求を掲げて独立参加する場合などである(判例最判s。42.2.23)。詐害的訴訟を防ぐこともこの独立参加で可能となる。
  権利主張参加は、本訴訟の目的の一部または全部が自己の権利であることを主張する場合である。
     参加の申出は補助参加の申出に準ずる(47条4項,43条)
11-3-1 共同訴訟的補助参加
   明文の規定はないが、当事者適格がないがあ、既判力が及ぶ場合に認められる。
   遺言執行者の訴訟に相続人が参加する場合、破産管財人の訴訟に破産者が参加する場合などである。取締役選任の総会決議取消訴訟で、被告適格は会社のみとする判例(通説)によるときの、選任された取締役などである。(判例百選111)

百選判例 106 補助参加の利益
Issue(事件の概要):Xは亡Aから問題となっている土地建物などを生前贈与を受けたとYに対して主張、所有権の確認と所有権移転登記手続を求めたが、予備的にYの主張する遺贈が有効である場合でも、遺留分減殺請求権がXにはあると主張をした。
Yは反訴の請求原因として公証人Z(補助参加人)の作成した亡Aの遺言公正証書に基づく遺贈による所有権の取得を主張し、Xに対して当該不動産の明渡しおよび明渡しまでの損害金の支払いを求めた。これに対してXは、同公正証書は、亡A本人ではなく、その替え玉が公証役場に出頭し、公証人Zがこれを亡A本人と誤認した結果作成されたものであるから無効であり、遺贈もその効力を生じていないと主張した。
 これに対して公証人Zが、Y側に補助参加の申立をした。その理由は、①Xの主張が認められれば、公証人法および刑法上の責任を問われ、名誉を侵害されること、②Xに対する亡Aからの生前贈与が有効と認められれば、公正証書作成に際してXを相続人から排除することを教示しなかったZの義務違反(亡AはXに排除を希望したが、Zがそのような必要はないと助言)を理由に、Yが国家賠償を請求するおそれがあること、の2点であった。
 Xが異議を申立て、補助参加の申立ては第一審において却下。Z抗告。
 抗告審(本件は抗告審の決定)も抗告棄却。
Rule(法):補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度であるが、問題は「訴訟の結果に利害関係を有する(42条)」ということの意味である。基準として、他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれのある第三者が、既存当事者との間で、利害調整を図るという視点(佐野宏志「補助参加」基本問題セミナー384頁)から、補助参加人にどのような機能を期待するか、という問題であるといわれている。
 本決定(東京高裁)は、公正証書ないしこれに基づく遺贈の効力の有無および生前贈与の成否は、所有権確認と登記であるから、結局、それは本件訴訟の判決の理由中の判断事項にすぎない、とし、Zの主張する利害関係の性質・内容、その程度としているのもこのためである。
Analysis(分析):こうした問題では、「他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれ」であるとか、「利害関係の性質・内容、その程度など」を測る明確な基準を示すことは一般に困難であると解されてきた。そこで従来の決定の事例をみていくしかない。①保障債務の履行請求に対して主たる債務者が補助参加をすること、またその逆は訴訟の結果に影響があることは問題ないであろう。②交通事故などにおいて、被害者と加害者の一人の訴訟について、加害者の一人に対する訴訟で請求棄却の判決が確定すると他の加害者が全責任を負うことになるとしてこの訴訟において他の加害者が被害者に補助参加することを認めているのもこの理由による。③村民大会において電鉄会社への寄付金割り当てをめぐって、未納住民への支払い請求訴訟において、被告たる住民が決議の無効を主張しているとき、他の未納住民が補助参加することを認めているのもこのためであろう。
 これに対して本件では、訴訟の結果Zにおよぶ影響は、判決理由中の判断によって別訴で不利益が及ぶおそれを主張しているわけだが、判決理由中の判断が第三者におよぶわけではなく、矛盾した判決が出ることによる社会的混乱も少なく、論理的に参加の利益として不十分と判断したのであろう。
Conclusion(結論):東京高裁の決定に賛成

百選判例 107 補助参加人に対する判決の効果
Issue(事件の概要):Y1は、Xよりビルの1室を賃貸していたが、Aより本件物件(ビル)の所有権はAに帰属すること、それゆえ部屋の明渡と賃料相当額の損害賠償を求める訴えを提起され、XにはY1より訴訟告知がなされ、Xは補助参加した。しかし、Y1全部敗訴(これが前訴)
 Xは前訴が控訴審に継続中、Y1およびY2(Y1の連帯保証人)に対して賃料不払いにより賃貸借契約を解除したとして、未払賃料および約定損害金の支払いを求める本訴を提起した。これに対してY1は建設協力保証金名義で支払った金の返還を求める反訴を提起した。Y1Y2はXの本訴請求に対する抗弁として本件賃貸借契約はXにビルの所有権があることを要素として締結されたものであるから、その所有権がAにあるならば、賃貸借契約は要素の錯誤によって無効であり、前訴にXが補助参加しているから、前訴の判断に矛盾する主張をすることは許されないと主張した。
 Y勝訴、X控訴、上告。
Rule(法):補助参加人に対する判決の効力は、被参加人敗訴の場合について判決理由中の判断についても生ずる特殊なものである。ちなみに本件では補助参加人は訴訟告知を受けているので、参加していなくとも参加的効力をうけると解されている。
 補助参加人にも判決の効力が及ぶのは前訴、後訴の判断に矛盾が生ずることの社会的不利益と当事者として訴訟で争う権利の手続保障(46条)との間でバランスをとったものであると解されている。
Analysis(分析):補助参加している者が、そこにおける裁判所の判断と矛盾する主張を抱えてどこまで新たな訴訟を争えるかという問題である。基本的には(46条記載のような争う機会が実質的に保障されなかった場合を除き)その効力は判決の理由中の判断にも及ぶものと解されるし、本件ではこれを否定する積極的な理由は見当たらない。
Conclusion(結論):最高裁の判決に賛成


百選判例 108 訴訟告知と参加的効力
Issue(事件の概要):YはAとの間でカラオケボックス建築のために建築請負契約(注文者Y, 請負人A)を締結したが、このカラオケボックスに設置する家具(いすおよびテーブル)はXが納入した。Xはこの家具の代金の支払いがなかったので、Aに対して支払いを求める訴えを提起した(前訴)。
 この前訴において、Aは家具については施主であるYがXから買い受けたものであると主張したため、XはYに対し、訴訟告知した。しかし、Yは前訴に補助参加しなかった。結局、右家具代金部分についてXの請求は棄却されたが、判決理由中に右商品はYが買い受けたことが認められる旨の記載があった。
 そこでXはYに対して、前訴において棄却された本件商品の代金の支払いを求めて訴えを提起し、第一審はYの欠席によって擬制自白が成立し、Xの請求が認容された。Y控訴。
 原審では、次のように判示してYの控訴棄却:本件においては、商品の買主がAであればYでないという二者択一の関係になるので、別訴判決における右の点に関する認定・判断は、本訴の判断の論理的な前提になっていること、別訴判決において本件商品の買主がYではなくAであると認定されれば、YとXの利害は一致すること、また、YがXによる訴訟告知を受けた時点において別訴に参加していれば、別訴において本件商品の買主はYではなくAであるとの主張・立証活動をすることができたことが認められるので、別訴判決の効力は、・・・及ぶものというべきである。」
 Y上告
 最高裁は「この判決の理由中でされた事実の認定や先決権利関係の存否についての判断とは、判決の主文を導きだすために必要な主要事実に係る認定および法律判断などをいうものであって、これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではない」と判示して破棄差戻した。
Rule(法):訴訟告知を受けた者に参加的効力が及ぶのは、法律関係上の利害関係を有する場合に限られる(補助参加できるか否かの入り口の要件とは異なる)といわれている(条文にはかかる制限について記載はない)。42条は補助参加の要件につき「訴訟の結果につき利害関係を有する第三者は」、と入り口での記述があるのみで参加的効力については、46条で参加的効力が及ばない場合の例外規定があるのみである。
 そこで判決効が及ぶ場合を論理上導かなければならない。
 先決関係や論理的関係がなければ参加的効力は否定されると解するのは、判決による判断の事実上の矛盾を避けなければならないとする要請と、当事者でない者の裁判を受ける権利の保障(手続保障)からのみ演繹されるわけではない。判決の効力が拡張されるには、当事者間の判断を被参加人と参加人との間に拡張できるだけの密接な関係が必要と解されるからである。
Analysis(分析):家具の購入契約と請負契約は、この点で論理必然的でも先決関係にもない。原審がいうように買主はAかYかの事実上、二者択一の関係にあったとしてもかかる判断は、前訴における理由中の傍論的なものにすぎないので、その判断にまで判決の効力を拡張することはできないと最高裁は判断したのである。
Conclusion(結論):判例に賛成

百選判例 109 独立当事者参加の可否
Issue(事件の概要):XはYに対して売買契約を原因として所有権移転登記を請求する訴えを提起した。第一審、Xの請求認容。Y控訴。
 控訴継続中にZがYに対しては所有権移転請求権保全の仮登記に基づく本登記を、Xには本登記手続きの承諾を求め、独立当事者参加の申出をした。Zによれば、訴外AはYに対して500万円を貸付、担保として本件不動産に代物弁済予約を設定し、所有権移転請求権保全の仮登記を行ったが、これをZがAより譲渡を受け、仮登記の権利移転の付記登記を経由した。ZはYに予約完結の意思表示を行った。Zは精算金(債務の残債務の返済のことか)がないことをXとYに通知した。Xは処分禁止の仮処分を行っている。
 XはZの参加申出は要件を欠くと主張し、Zの売買の一方の予約は通謀虚偽表示であると主張した。
 原審は参加申立てを認め、第一審のX勝訴部分を取消し、XのYに対する請求を棄却し、ZのXおよびYに対する請求を認容した。その判断の中で、ZはXに対して本登記手続きの承諾を求めたものは、その実質は所有権の確認であり、所有権をめぐるXYZの争いを一挙に統一的に解決するものである。Xが上告。
 最高裁は一部差戻し、一部破棄自判。まず、独立当事者参加の要件を満たしていない、と判示。けだし、Zの請求は所有権の所在を三者で一挙に確定するものではなく、また合一確定を求める趣旨とも解せないとの判断を示した。結局本件の参加の申出は新訴の提起と解すべきである。
Rule(法):独立当事者参加の制度は、当事者双方または一方に対する請求を立て、当事者として参加する制度であり、参加後は同一手続内で必要的共同訴訟の審理原則に従い、三者間で矛盾のない判決が得られるところに特徴がある(統一審判と合一確定の保障:47条4項による40条1項ないし3項の準用)。参加にはⅰ詐害防止的参加とⅱ権利主張参加がある。本件ではⅱの権利主張参加としての成否が争われた。
Analysis(分析):権利主張参加では、目的の全部または一部が自己の権利であることを、主張する場合である。本件では自己の権利を主張しているかが問題となる。ZはXに対しては所有権の確認ではなく、本登記の承諾を求めている点が問題となったわけである。なお、本登記にはXの承諾が必要であるが、このこととかかる請求が独立当事者参加となることは無関係である。要するに合一確定の必要は認められないという判断である。
Conclusion(結論):判例に賛成
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by civillawschool | 2006-01-18 17:51

冬休みレポート課題 採点基準および講評(解答は・・)

民事訴訟法冬休みレポート採点基準および講評
  解答および例は改正版が以前の記事(12月11日)に改正版を載せてあるので参照のこと

採点基準について
全体の配点(9点)  今回は釈明権の行使を中心に採点した(9点)。
まず一般的採点基準として
① 定義、制度趣旨が書かれているか
② 事案に即して答案が構成されているか
1名を除き全員がこの点で問題なかった。

個別の論点として
① 釈明について積極的釈明と消極的釈明の両者について分けて論じているか
② 釈明権の制度趣旨ないしその根拠について(特に積極的釈明を認める根拠について)論じられているか
多くの答案が積極的釈明についての記述が不足しており(①)さらに積極的釈明の趣旨(正当化根拠)に関して記述が不足していた。

全体の講評
 冬休み期間中のレポートということもあり、みな非常によく書けていた。ほとんどの答案が本試験において書ければ、合格となるであろう。しかし、本試験では、教科書なしに、短時間で、出題箇所もあらかじめ予告されているわけではないという状況で書かなければならないので、それなりの準備は必要と思われる。特に2000字を超えて論じた諸君は手短に要領よく論じておく練習か必要かもしれない。
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by civillawschool | 2006-01-16 16:03

質問などに対する答え その3

①大学双書を買って損したという話について:大丈夫、後半は双書の出番が多くなります。どの教科書も完璧というのはないですね。
②最近の改正についての詳述はジュリストなどであたって(調べる)しかないですが、今のところ試験(新司法試験)に出る可能性は低いです。
③冬休みの課題についての解答例は先日配ったもので足りると考えていますが、解かりやすいように若干手直ししておきましょう。学生さんの模範答案は本人の許可がいるのでいまのところ考えていません。
④上記の採点にあたって証明責任の部分は対象としませんのでご安心を。
⑤骨髄液とルンバールの髄液が異なるということについては、調べてみましょう。
⑥差別用語(足をひきずる:ということについて)を使ってましたか?失礼しました。
⑦赤バス、青バスの話では、原告被告の主張を比較するというのが証拠の優越の理論です。日本法の基本的立場は、証明責任を負うものの主張の当否のみで判断します(相手方は新たなヴァージョンを提出する義務を負うわけではありません)
⑧刑事訴訟法が休講で民訴にみなさんが振り向ける注目と努力が大きくなっているようでぼくとしちぇは、うれしいかぎりです。この機会に大いに勉強してしまいましょう!

⑤の結果について。  骨髄は、胸や腰の骨の内部にあるゼリー状の組織で、ここで白血球、赤血球、血小板などの血液を造っています。 マルクは胸や腰の骨に針を刺して、骨髄液を吸い出す検査です。
 ルンバールは「limbar puncture」の略で、脊髄に針を刺し、脳脊髄液を検査したり、薬を髄腔内に投与(髄注)することです。
 骨髄と髄液とでは微妙に場所が違うようですね。
 失礼しましたm(--)m
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by civillawschool | 2006-01-16 12:42

10日目 19講20講

10日目
第19講 判決効と手続き保障
講義の主題・ポイント:判決効について主要な判例を学習する
キーワード:遮断効、時的限界、建物買取請求権、取消権
判例百選 86、87、88,96

百選判例 86 既判力の時的限界(1) 取消権
Issue(事件の概要):前訴では、X・Y間の土地売買契約に基づく買主Yによる売主Xに対する所有権確認と所有権登記移転手続請求訴訟が行われ、Yの勝訴が確定している。所有権移転登記も完了した。ところがXはこの売買契約がYの詐欺によるものであると主張し、訴状において取消しの意思表示をし、Yに対して所有権の基づく移転登記の抹消を求める訴えを提起した(本訴)。
 第一審、控訴審ともに既判力に抵触するとして請求棄却、X上告。(取消しの意思表示は遮断効が働かないという趣旨)。
Rule(法):既判力の時的限界は最終の口頭弁論(基準時)までであるから、その後の法律状況の変化にまで裁判所の判断は及ばない。しかし、取消権のように形成権を基準時前においても行使可能であったものを基準時後に行使できるとすることは既判力の遮断効に抵触するようにも考えられる。学説および判例は形成権一般について遮断効が働く、あるいは働かないという判断をせず、それぞれの形成権の実体法的性格や手続の経緯を勘案して形成権行使が期待できたか否かで判断している。
Analysis(分析):基準時以前から取消原因が存在しており、その行使が基準時以前から可能であったなら、それは既判力の遮断効によって遮断されると解すべきである。なお、取消原因が基準時以前から存在していたなら、それは基準時以前の判断に属するから遮断すると説明する学説(伊藤説)@もあるが技巧的すぎるように思われる。むしろ、その行使の期待可能性を勘案しないと、相殺、建物買取請求権などの説明がつかなくなる。
Conclusion(結論):形成権行使が既判力によって遮断されるか否かは基準時以前に行使することが期待できたか否かで決すべし!

@伊藤481頁は「矛盾・抵触する法律効果を基礎づける要件事実の少なくとも一部、すなわち取消原因の存在は基準時以前の事実であるから、その事実の主張は既判力によって遮断される」との記述は、読み方によっては新訴訟物理論を採用しているようにも読めるので注意すること。


百選判例 87 既判力の自的限界(2)----建物買取請求権
Issue(事件の概要):X1は本件土地の賃借人で、X2は転借人でと地上に建物を所有し、Aらに賃貸していた。Yは本件土地の所有者でX1 に対しては賃貸借契約の期間満了を原因として明渡しを、X2に対しては所有権に基づいて建物収去、土地明渡しと地代相当額の損害金の支払を求めて訴えを提起し、勝訴判決が確定した。X1X2は、X2が口頭弁論終結後終結前に借地法4条2項(現行13条1項、3項)による建物買取請求権を行使し、かつ土地はすでにYに明渡したので強制執行は許されないと請求異議の訴えを提起した。
Rule(法):建物買取請求権の行使は既判力によって遮断されないか、という問題である。より敷衍していえば既判力によって形成権の行使は遮断されるか、という問題である。形成権の発生原因が基準時前に存在しているとき、基準事後にその権利を行使することで事実上判決の効力を反故にすることが許される場合はあるであろうか。行使が基準時以降の事実であるなら、許されると解することもできるが、しかし、基準時以前に行使できたにも関わらず、基準時後にこれを行使することは法的安定を著しく害するようにも解される。
 形成権行使が基準時以前に期待できたか、という基準を提唱する説が有力だが、それ以外にも形成権行使の可否を決定する要素を提唱する説がある。たとえば相殺はその担保的機能に着目したとき、遮断を認めることは、この機能(相殺への期待)を理由なく奪うことになって適当でない。取消しについては未成年者による取消しのように、その行使が期待できたか否かによって決すれば足りる。解除権についても、その行使が基準時以前には行使できなかった理由は見当たらない。これに対して建物買取請求権の場合は、相殺と同様、その行使を制限することは本来請求者側が持っている権利を不当に奪うことになるから適当でない。
Analysis(分析):遮断を認めることで不当に形成権を奪うことになるかどうかは、それぞれの形成権の性質によって決せられるべきである。建物買取請求権の行使を基準時以降に認めなければ、かかる権利行使を訴訟継続中にしなければならないことになる。しかし、本来の主張が賃借権の存続であるなら、それに反する主張を予備的ではあるにせよ、期待することは適当でないばかりか、法が建物所有者に与えた権利を理由なく奪うことになるので適当でない。
Conclusion(結論):判例に賛成

百選判例 88 信義則による後訴の遮断  
Issue(事件の概要):X1らはAの相続人であり、Y1らはBの相続人である。AB間で自作農創設特別措置法による買収・売渡処分がなされたころについてX1は、この買収売渡処分は本来無効であるとして、Bより買戻す契約が成立したとして、Bの相続人Y1~Y3へ主位的に所有権移転登記手続きと農地法による許可申請手続きを求め、予備的に買戻し契約無効を理由に不当利得として買戻代金返還の訴えを起こし、主位請求棄却、予備請求認容の判決がおり、Y 1らは買戻代金を返還した。
 その後、今度はX1~X4全員がY1らを相手に買収処分の無効を理由に所有権登記抹消にかかわる移転登記手続きを求めて訴え、第一審はBの取得時効を理由にこれを認めず、Xらは控訴審では、土地返還約束による返還、土地工作物収去,明渡しを求めたが、控訴審は前訴と本訴はほとんど同一の紛争であるとして、1審判決を取り消して訴えを棄却した。Xらが上告。
Rule(法):訴訟上の信義則のひとつとして訴訟上の権能の失効がある。ある法律上の地位を基礎付ける事実について一方当事者がすでに主張・立証を尽くしたか、またはそれを尽くしたと同士されるべき事情があるとき、もはやその地位を主張しないという相手方の信頼が形成され、結果として、かかる信頼を裏切るような行為は信義則違反となるとするものである。
Analysis(分析):本件では、前訴では売渡処分の無効を原因としているので、所有権に基づく登記移転が求められたのに比し、後訴における控訴審では、これに加えて土地返還約束を加えている。また当事者も後訴ではX1以外にX2~X4も加わっている。それゆえ、正確には訴訟物は同一ではない。しかし、①後訴が実質的には前訴の蒸し返しであること、②後訴請求は前訴で容易に主張できたこと、③買収処分後20年という長い年月が経過しているとき、後訴を前訴判決の効力によって遮断することはできないか、という点につき訴訟上の信義則の適用の可否が問題となる。
 相手方の信頼が形成されていると考えてよい事例である。
Conclusion(結論):判決に賛成

百選判例 96 判決の反射的効力
Issue(事件の概要):前訴においてYは亡Aに対して有していた債権150万円(貸与)の返還をAの相続人Bら求めるとともに、Aの連帯保証人X他1名にも支払いを求める訴えを提起した。BらはYの請求原因事実を争ったが、Xはこれを認めたため弁論が分離されXに対しては請求を認容する判決が下され確定した。その後、Bらに対してYの請求を棄却する判決がなされ、控訴審を経て確定した。
 YはXに対する判決にもとづきXの山林の強制競売の申し立てがなされた。これに対してXは請求異議の訴えを提起したのが本件(後訴)である。YB間の確定判決によって主債務の不存在が確定したのだから、連帯保証債務の附従性にもとづいて自己の確定判決の執行力の排除を求めうる、との理由である。第一審X勝訴、原審Xの請求棄却、X上告。上告棄却
Rule(法):反射効とは、当事者間の判決の効力を第三者が援用することを認めたり、当事者が第三者に対して判決の効力を主張できる効力のことをいう。第三者が当事者の一方の勝訴または敗訴を条件として法律行為をなし、債務を負担した場合には、当事者間の判決の結果は、債務の不存在に影響を与えるが、保証債務の附従性のように、主債務の存在を条件として保証人が債務を負担したとき、条件付法律行為がなされていなくても、これと同視して、保証人は主債務についての請求棄却判決を自己に有利に援用できることを認めるべきである、というのが反射効の出発点である。保証債務のほか、民法436条の相殺の絶対効、民訴114条2項による相殺の抗弁について既判力を根拠に連帯債務履行請求判決と他の連帯債務者との間に、反射効を認めるべきであると主張され、賃貸人と賃借人の賃借権確認判決を転貸借の転借人の地位に認めるなど、その領域を拡張してきているが、最高裁は反射効を否定している。
Analysis(分析):反射効を認めることは、判決が第三者にも及ぶことを意味するが、①それが、その判決によって不利益を被る第三者の手続保障と、②判決の効果が拡張することに関する法的明確性(安定性)の要求の観点から考察すべきである。①の点については、本件では、債権者は主たる債務についてすでに敗訴しているのだから、格別不利益はないようにも写る。しかし、債務不存在の判断は保証債務の附従性からその存否に関わる以上、容易に当事者の関与なくしてその債務の不存在を確認すべきではないであろう。また、このような視点に立つとき、反射効を法律上の根拠なくして認めるべきではない。
Conclusion(結論):



第20講 共同訴訟の諸形態
講義の主題・ポイント: 通常共同訴訟、必要的共同訴訟など、共同訴訟の諸形態について理解する
キーワード:固有必要的、類似必要的共同訴訟、合一確定
判例百選 101 

20-1-1共同訴訟とは
 請求の併合(請求の併合については後述)では、同一当事者間で数個の請求が一個の訴訟手続で審判されるが、共同訴訟では、当事者が複数おり、請求も原告被告の当事者間で複数存在する。
 通常共同訴訟は、共同訴訟を要求されている(合一確定の要請がない)わけではなく、それゆえ共同となっても、共同訴訟人独立の原則(各自に管理処分権がある)が働く。
 必要的共同訴訟では、「合一確定の要請」が働くので管理処分権が共同訴訟人間で制限される。しかし、この合一確定の要請は論理上のものではない、と言われている。たとえば連帯保証人と主たる債務者に対する債務の履行請求は別個になされてもよく、別個の判決が出ても矛盾しない(論理上はともかくも)と説明される。
 類似必要的共同訴訟では、固有必要的共同訴訟とは異なり、共同訴訟人の一人の受けた判決の既判力が他の共同訴訟人に及ぶため、判決の効力の衝突を避ける法律的要請のために存在する。それゆえ訴訟の当事者となるか否かの選択権は共同訴訟人にある(当事者にならなければ判決の効力が及ぶことを甘受しなければならない)
 これに対して固有共同訴訟では当事者となることが要請されており、これを拒めば共同訴訟人はこの者も被告として訴えなければならなくなる。
20-1-2 通常共同訴訟の審判
 共同訴訟人独立の原則:共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人一人に対する相手方の訴訟行為、共同訴訟人一人に生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない」(39)
 共同訴訟人に一人の訴訟行為には、処分行為はもちろんのこと、事実の主張、自白、なども含まれる。ただし、共同訴訟にあっては証拠共通の原則があり、共同訴訟人の一人が提出した証拠、または一人に対して提出された証拠は他の共同訴訟人に関連する限りで援用なくして証拠として扱われる。
 共同訴訟人の一人について生じた事由(中断・中止など)は他の訴訟人に影響しない。
 弁論の分離、一部判決も可能である。

20-2-1 共同訴訟人独立と補助参加
 通常共同訴訟では、共同訴訟人独立の原則が働くから、補助参加の申出をしないかぎり、事実の主張などは他の共同訴訟人に援用されない。 
 補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度で、被参加人の行為に抵触(矛盾)する行為、不利益となる行為(たとえば自白)をすることはできないし、自己の固有の請求も存在しない。補助参加人のなす行為は被参加人の援用をまたずに被参加人の行為として扱われる。
 例:債権者から連帯保証人(保証人も可)に対する訴えに主債務者が(連帯)保証人に補助参加する。
 補助参加するためには訴訟の結果に対して利害関係が必要であるが、そのこにおける利害関係とは、訴訟の結果に論理先決関係がある場合である。 

20-3-1 訴えの主観的予備的併合と共同訴訟
  訴えの予備的併合とは主請求が認められないときのために予備的請求をなすことをいい、このとき予備的併合の相手が主請求の相手とことなるとき、これを主観的予備的併合とよぶ。たとえば、主請求で契約の相手方本人に契約の履行を求めながら、この契約が代理人を通じてなされていて、無権代理の疑いがあるとき、自称代理人に対して請求(契約の履行ないし損害賠償)をする場合である。また工作物責任(民法717)では、第一次的に占有者、予備的に所有者が訴えの相手方となる。しかし、主観的予備的併合は最高裁の判例によって否定されている。  
 その根拠は予備的な被告の地位の不安定と共同訴訟としてしまうと、予備的当事者の審級の利益が奪われる可能性にあった。
 そこで41条で同時審判申出共同訴訟が立法されたが、ここでは予備的請求が予備的(条件的)地位を持つのでないため、両請求が同時に審判されるのにとどまることになった(当事者はそれぞれにえ対して矛盾する主張を訴訟で展開することになる)。
20-4-1 必要的共同訴訟における共同訴訟人のうちの1人の上訴
  共同訴訟人のうちの1人が上訴すると、合一確定の要請から全員に上訴の効力が及ぶ。上訴が基本的には有利な判決の可能性を含んでいるからである。(ちなみに相手方が上訴するときは当然全員を相手にしなければならない)もっとも類似共同訴訟にあっては、上訴からの離脱を認める最高裁の判例がある。

百選判例 101 通常共同訴訟人独立の原則
Issue(事件の概要):Xは本件土地を訴外2名と共有しており、これをY1に賃貸していた。Y1はこの土地上に建物を建築、所有していたが、競売によりY3が所有するに至った。Y3名義で登記もされている。Y1の子Y2はY2よりこの建物を買戻した(この間、
Y1Y2らはこの建物に居住していた)。XY2間では、Y2が建物を買戻すか建物を収去するまでの間の土地賃料相当分についてはY2が支払うことが約束されていた。
 XはY1Y2Y3を共同被告として、Y1Y2ほか3名に対しては本件建物退去・土地明渡を請求、Y3に対しては賃料相当分の損害賠償支払請求をなした。
 第一審はすべての請求を棄却。X控訴。控訴審はY1Y2に対する控訴を棄却、Y3に対する請求についてはY3がY2に建物を売却するまでの間、本件土地を占有していたことについて争っていないから、(答弁書すら提出されていない)占有権限についてなんら主張立証がなされなかったのであるから、当該期間の占有は不法であり損害賠償義務があると認めながら、Y1およびY2がなした同期間中の賃料弁済の主張はY3にも効力を及ぼすものとして(いわゆる共同訴訟人間の補助参加的関係)、Xもまたこの事実を争わなかったことから自白が認められるとして損害は填補され消滅していると認定、控訴を棄却した。
 X上告。共同訴訟人間の補助参加的関係は代位弁済ないし代理弁済した事実はないから成り立ちようもないので、補助参加的効力を認めた原審の判断は誤っていると主張した。
 最高裁はこの上告を認め破棄差戻した。
Rule(法):通常共同訴訟では、共同訴訟人独立の原則が働くから、補助参加の申出をしないかぎり、事実の主張などは他の共同訴訟人に援用されない。補助参加が認められれば補助参加人のなす行為は被参加人の援用をまたずに被参加人の行為として扱われるが、共同訴訟人間で当然に補助参加の効力が認められるわけではない。
Analysis(分析):共同訴訟人間に共通の利害関係が存在するときには、補助参加的効力を認めるべきである、という主張がある。
 通常共同訴訟にあっては合一確定の要請も存在しないので、本件のような判決をすることになっても形式的には問題はない。しかし、そうなると実際のところ統一的な判決が得られず、一見不都合も発生しそうである。しかし、こうした不都合は事後に行われる不当利得返還請求によって解決されるべき事となる。
 一見すると、共同訴訟人間に補助参加的効力を認めてもよさそうであるが、補助参加するか否かは当事者の処分権の範囲内であるので、これをあえてみなすことは、参加人の行為をいたずらに狭める(参加人は被参加人の主張と矛盾する行為をすることができない)ことになり、参加をいわば強制される者の手続保障の点で問題が残る可能性があるからである。
Conclusion(結論):判例に賛成
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by civillawschool | 2006-01-14 22:16

IRAC方式による判例百選その5

民事訴訟法Ⅰ     
  学籍番号          氏名               

百選判例 96 判決の反射的効力
Issue(事件の概要):前訴においてYは亡Aに対して有していた債権150万円(貸与)の返還をAの相続人Bら求めるとともに、Aの連帯保証人X他1名にも支払いを求める訴えを提起した。BらはYの請求原因事実を争ったが、Xはこれを認めたため弁論が分離されXに対しては請求を認容する判決が下され確定した。その後、Bらに対してYの請求を棄却する判決がなされ、控訴審を経て確定した。
 YはXに対する判決にもとづきXの山林の強制競売の申し立てがなされた。これに対してXは請求異議の訴えを提起したのが本件(後訴)である。YB間の確定判決によって主債務の不存在が確定したのだから、連帯保証債務の附従性にもとづいて自己の確定判決の執行力の排除を求めうる、との理由である。第一審X勝訴、原審Xの請求棄却、X上告。上告棄却
Rule(法):反射効とは、当事者間の判決の効力を第三者が援用することを認めたり、当事者が第三者に対して判決の効力を主張できる効力のことをいう。第三者が当事者の一方の勝訴または敗訴を条件として法律行為をなし、債務を負担した場合には、当事者間の判決の結果は、債務の不存在に影響を与えるが、保証債務の附従性のように、主債務の存在を条件として保証人が債務を負担したとき、条件付法律行為がなされていなくても、これと同視して、保証人は主債務についての請求棄却判決を自己に有利に援用できることを認めるべきである、というのが反射効の出発点である。保証債務のほか、民法436条の相殺の絶対効、民訴114条2項による相殺の抗弁について既判力を根拠に連帯債務履行請求判決と他の連帯債務者との間に、反射効を認めるべきであると主張され、賃貸人と賃借人の賃借権確認判決を転貸借の転借人の地位に認めるなど、その領域を拡張してきているが、最高裁は反射効を否定している。
Analysis(分析):反射効を認めることは、判決が第三者にも及ぶことを意味するが、①それが、その判決によって不利益を被る第三者の手続保障と、②判決の効果が拡張することに関する法的明確性(安定性)の要求の観点から考察すべきである。①の点については、本件では、債権者は主たる債務についてすでに敗訴しているのだから、格別不利益はないようにも写る。しかし、債務不存在の判断は保証債務の附従性からその存否に関わる以上、容易に当事者の関与なくしてその債務の不存在を確認すべきではないであろう。また、このような視点に立つとき、反射効を法律上の根拠なくして認めるべきではない。
Conclusion(結論):



百選判例 110 独立当事者参加における敗訴者の一人による上訴
Issue(事件の概要):訴外AはYに対して有する工事請負代金債権のうち150万円をXに譲渡したとして、XがYに対してその支払いを求める訴えを提起した。ところがZ(参加人・被控訴人・被上告人)もまた同一債権をAから譲受け、その通知はYになされているため、Yは請負代金82万4600円を供託した。ZがX・Y間の訴訟に独立当事者参加の申立をした。Xに対しては、XのYに対する150万円の債権の不存在確認と、ZがYのした供託金還付請求権を有することの確認を請求し、Yに対しては、Zの供託金還付請求権の確認とともに、譲受債権額150万円から供託額を差し引いた金額の支払いを請求した。
 第一審判決は、Aの請負代金債権の現存額は82万9800円であること、それがXとYに二重に譲渡され、対抗関係ではZがXに優先することを認定して、XのYに対する請求を棄却し、ZのXおよびYに対する供託金還付請求権のへ確認請求を認容、ZのYに対する金員の支払請求につき供託額を超える5200円の限度で認容する判決をした(ちなみに、ZのXに対する請求のうち、XのYに対する債権不存在確認は、ZのYに対する債権者であることの積極的確認を求めるべきであるとして棄却している)
 XがY およびZに対して控訴。Yに対しては150万円の支払いを求め、Zに対してはその請求の棄却を求めた。
 控訴審判決:AのYに対する債権は、XとZの間では、Zに優先して譲渡されていることを認定、またYの供託は債務の本旨に従った供託ではない(わずか2分の1を過ぎたものにすぎない)として、第一審判決中、XおよびY敗訴部分を取り消し、XのYに対する150万円の支払い請求を認容、ZのXおよびYに対する請求を棄却した。また控訴審は、第一審判決中のZのYに対する金銭請求を一部認容し、Yに対し5200円の支払を命じた部分も控訴審の審判対象となっている点については、本件のように「当事者の1が他の2者を相手に控訴した時も、他の2者は常に被控訴人に止まるのではなく、ある時点においては控訴人と利害を同じくして他の1に対して対立する関係にあるものは、これに対しては控訴人の地位に立つ。そして、実際に控訴した者、利害を同じくすることによって控訴人の地位に立った者の不服の範囲が控訴審における審判の対象となる」としている。
 Z上告。第一審でZに敗訴したYは控訴していないから、ZとYとの間の参加訴訟は、第一審判決のとおりに確定しており、Xの控訴に基づく控訴審における審判の対象にはならない等と主張した。
 上告棄却。3者において合一にのみ確定すべき場合に当たる・・・(ZのYに対する請求を認容した第一審判決部分は)Xの控訴のみによって遮断され、Yの控訴または附帯控訴の有無にかかわらず、合一確定のために必要な限度で・・Zに不利益に変更することができる」
Rule(法):独立当事者参加とは、当事者の一方に参加する共同訴訟参加と異なり、原告・被告の双方を相手方として、の間の請求と関連する自己の請求を、同時に、かつ矛盾のない審判を求めて参加することをいう(47条)。
Analysis(分析):そうすると、本件のように当事者の一人が控訴することで、控訴ないし附帯控訴していない当事者間の関係にまで、その判断(審判)が及ぶことになるとき、控訴審裁判所は、かかる2者の間の第一審裁判所の判決まで取り消したり、(第一審裁判当事のこられの者の請求を)認容したりすることができるのか、という問題である。
 判例は合一確定のために必要な限度でこれを認められるとしているが、この判断には次のような考慮が働いているものと考えられる。かかる判決をしたところで、独立当事者参加訴訟において、三者は、控訴審において争っており、そのため形式的には争いが存在しない2者関係に影響を及ぼす判断をしたところで、それによって不利益を被る者の手続保障がないがしろにされたことにはならず、むしろ合一確定の目的という独立当事者参加訴訟の本来の目的にそったものとなるので肯認すべきである。
Conclusion(結論):以上の理由を踏まえて判決に賛成

百選判例 118 破棄判決の拘束力
Issue(事件の概要):Xによれば、XはAを代理人として本件土地を買い受けたが、Aは自己名義で契約を結び、登記名義を取得した。Xは、本件土地の所有権確認、Y1からXへの登記移転、Y1Y2Y3移転登記抹消を求めて訴えを提起した。
 Y1らはAが自己のために本件土地を買いうけ、AY1->Y2 ->Y3 と移転したと主張した。
  第二次控訴審。X勝訴。(AはXの代理人。)
  第二次上告審。破棄差戻し。Y2,Y3が民法94条2項の善意の第三者にあたるか否かを審理しなかったのは、審理不尽、理由不備。
  第三次控訴審においてX敗訴。所有権を取得したのはAであり(民法100条)Xに移転する義務を果たさずY1(Aから相続)がY2に移転登記したのは二重譲渡と同じであり、Xは登記なくしてY2,Y3に対抗しえない(177条)。
  X上告。差戻し後の原審は第二次上告審で破棄の理由となった「Y2,Y3が民法94条2項の善意の第三者か否か」を審理すべきところ、まったく別の民法100条を持ち出し、177条の対抗要件の問題として審理判決したのは、破棄判決の拘束力に違反する、と主張した。
 最高裁は上告棄却。上告審判決の判断が差戻しを受けた原裁判所を拘束するのは、破棄の理由となった範囲でのみである。すなわち、同一の確定事実を前提とするかぎり、Y2およびY3が善意であることが認められれば、民法94条2項の類推適用を否定することは許されない、という限度でのみである。
Rule(法):差戻し(移送)を受けた裁判所は、新たな口頭弁論にもとづいて裁判しなければならない。上告審が破棄の理由とした事実上および法律上の判断は、差戻しまたは移送を受けた裁判所を拘束する(325条3項)。判決理由中の判断について生ずる特殊な拘束力である。
 ところで同一の確定事実を前提としながらも、別個の法律的見解が成り立ちうる場合、この新たな法律上の見解に立脚してXの請求を棄却することは許されるかという問題である。
Analysis(分析):破棄判決の拘束力の範囲をどのように考えるかであるが、上告審を判決の統一をその主眼とするものと考えれば、最高裁の判決のような見解も成り立ちうるであろう(上告制度は、法令解釈の統一が重視される)。しかし、三審制の意義をより当事者のためのものとして(当事者は、誤判を防ぎ、より深化した判断の機会を担保されるべきである)と捉えるなら、いったん争点として事実審で確定したものを、破棄差戻し判決によっていたずらに変更すべきではないのではないだろうか。三審制は裁判所のためだけにあるのではあるまい。
Conclusion(結論):最高裁の判決に異議あり。


判例百選 111 共同訴訟参加と当事者適格 
Issue(事件の概要):株主XらはY会社を相手に取締役および監査役選任に関する決議をした株主総会の招集手続に瑕疵があったとして、その取消しを求めて提訴した。Y会社は請求棄却の申立をしたが、しかし、Xらの主張事実をすべて認めて争わない。当該総会で取締役(の1人)に選任されたZはY会社側に参加する旨の申立をした。Zはすでに取締役を辞任している。Zははじめ株主の側に参加すると主張したが、撤回し、共同訴訟参加(現行52条)による参加を主張した。第一審裁判所は参加の申立を却下した。判決はXの請求認容であった。
 Zのみ控訴。控訴理由は決議取消判決には対世効があるから、決議の対象となった当時の取締役や監査役も被告にしなければ、会社が馴れ合い訴訟するとき、これらの者の権利が不当に害される。会社と当該役員らを共同被告とすべき必要的共同訴訟であり、Zのした共同訴訟参加は認められるべきである。控訴棄却。
Rule(法):訴訟の目的が当事者の一方と第三者について合一に確定すべき場合には、第三者は、共同訴訟人として訴訟に参加できるとするのが、52条の共同訴訟参加の趣旨である。訴訟追行権は、当事者と参加人それぞれに独立に行使しうることが前提である。類似必要的共同訴訟である。参加人たる第三者は、判決の拡張を受け、かつ独立の当事者適格を有する者である。補助参加ではあるが、請求の主体となる者であるので、当事者の地位を持っている。
Analysis(分析):第三者が共同訴訟参加できるための要件は①合一確定の必要性があること、②当事者適格があること、の二つであり、本件では当事者適格が問題となる。Zは独立に被告たりうる資格があるか、という問題である。
 株主総会の決議取消に訴えは、法人が被告となることについては、多くの支持がある。法人の意思の決定を争う以上、その主体たる法人が被告たるべきだからである。第三者を当事者としてしまうと、判決の効力が法人に及ばないので、結局、第三者は当事者にも参加もできないということになる。取締役に選任されたものが、その利益を争えないのは矛盾するようであるが、選任によって取締役がうる利益は、あくまで選任の結果である以上、選任の有効・無効の争いにまで当事者となることはできないと解すべきであろう。
Conclusion(結論):判例に賛成
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by civillawschool | 2006-01-13 12:06

シラバス

一日2こまの授業のため、講義ナンバーは、授業日ごとの2つの講義の内容を示している。(講義単位は90分で、講義ごとの内容を示している)。一日の内で講義の内容により、厳密に90分ごとに授業が行われないことがあるので注意
第1講 民事訴訟法の手続理念
民事訴訟法の講義準備については、講義の主題・ポイントおよびキーワードを使ってそれぞれが選択した教科書で予習してください。ただし、第1講に限っては教科書の該当ページがありません。配布資料をあらかじめ、読んでおけば十分です。
講義の主題・ポイント:①民事訴訟を支配する諸原則にはどのようなものがあるかを理解させるとともに、その原則が手続の中でどのように反映されているかを理解する。(歴史的考察、意思理論の影響の一部、社会学的考察については教科書に記述がないので、授業で説明します)②訴訟資料の外観:訴状、答弁書、準備書面、判決文など(資料は配布します)がいかなる原理の下に構成されているかを概観する。なお、三段論法、法的三段論法については教科書に記述がないのでこちらで説明します。
キーワード:真実発見、手続保障、当事者主義、職権主義、処分権主義、弁論主義、口頭主義、公開主義、訴状、答弁書、準備書面、判決文
第2講 紛争解決制度
講義の主題・ポイント:紛争解決方法にはいかなる方法が存在するか、また多様に存在する紛争解決方法においいて、民事訴訟がどのように位置づけられるかを理解する。
キーワード:ADR, 和解、調停、仲裁、正義のプラネタリーシステム、訴訟嫌い
判例:隣人訴訟(判例タイムズ495号、判例時報(1083号他)資料は教員側で配布 
第3講 裁判所制度
講義の主題・ポイント:①紛争解決機関としての裁判所の位置づけを理解する。
民事訴訟の社会的制度的機能と位置づけ(訴訟と非訟、争訟性とは何か、民亊訴訟に近接する訴訟制度:人事訴訟、行政訴訟
キーワード:訴訟と非訟、争訟性、人事訴訟、行政訴訟
判例 百選1 夫婦同居の審判
第4講 訴えの提起と請求
講義の主題・ポイント: ①裁判における請求の捉え方について理解を深める。(訴訟物論争については後で詳しく学習、今回は照会の程度)②訴えの提起に付随して発生する諸問題 
キーワード:訴訟物、請求、管轄、訴額、移送
判例百選5,6
第5講 訴訟上の請求とその手続的意義
講義の主題・ポイント:訴訟物論争の基本的事項の理解、訴えの三類型(給付、確認、形成)と給付の訴えにおける訴訟物論争を請求権競合との関係で正しく理解する
キーワード:訴訟物、請求権競合
第6講当事者の概念とその確定
講義の主題・ポイント:①当事者概念と当事者能力・訴訟能力・訴訟上の代理人について理解を深める。②当事者適格と訴えの利益について考える 
キーワード:当事者概念、当事者の確定、当事者能力、訴訟能力、代理人、当事者適格
第7講 訴訟提起の効果
講義の主題・ポイント:訴訟係属の意義と訴訟係属の効果を、実体法的並びに手続法的に整理する。 
キーワード:二重起訴の禁止、時効中断、
判例百選46
第8講 訴訟費用 補講 裁判官の忌避・除斥
講義の主題・ポイント:訴訟費用について、その機能を理解する。補講として裁判官の忌避・除斥について学習する
キーワード:訴訟費用、忌避、除斥
配布資料(法と経済学)参照
ミニテスト
ミニテスト解説
第9講 当事者論と訴訟形態
講義の主題・ポイント:法人の内部紛争の当事者をどのように決定するか等を問うことによって、当事者論の応用的展開を考える。
キーワード:原告適格、法人、内部紛争、共同訴訟参加、株主総会
判例百選111
第10講 訴訟要件と訴えの利益
講義の主題・ポイント:訴訟要件の内容とその欠如の効果について理解を深める。訴訟要件、訴えと請求、訴訟手続の進行
キーワード:訴訟要件、訴えの利益、
判例百選 訴えの利益27,36
第11講 口頭弁論における基本原則 
講義の主題・ポイント:手続進行における裁判所と当事者の関係について理解する
キーワード:職権進行主義、当事者権、当事者主義、弁論主義、期日、呼出
第12講 審理手続と資料収集原則
講義の主題・ポイント:弁論主義と証拠収集手続の関係を理解する
キーワード:弁論主義、弁論主義の三つのテーゼ、主要事実、間接事実、補強事実
判例百選 60,64
冬休みレポート課題
______________________________
冬休みレポート課題解説
第13講 口頭弁論とその準備手続
講義の主題・ポイント:①口頭弁論とはどのようなものか、②口頭弁論を活性化させるために法が用意した準備手続は何か。
キーワード:口頭弁論、口頭弁論の準備手続、準備的口頭弁論、弁論準備手続
判例百選 
第14講 口頭弁論の実施と訴訟行為
講義の主題・ポイント:訴訟行為概念を私法行為との対比で理解する
キーワード:訴訟行為、信義則、禁反言、時期に遅れた攻撃防御方法
判例百選 52 57
第15 講 自由心証主義とその限界
講義の主題・ポイント:自由心証主義とその限界、証拠およびその評価、専門委員制度
キーワード:自由心証主義、証拠の優越、高度の蓋然性、優越的蓋然性
判例百選 65
参考文献:伊藤眞「証明、証明度および証明責任」法学教室2001.11.№254 p33-配布予定なし
同「訟明度をめぐる諸問題―――手続的正義と実体的真実の調和を求めて」判例タイムズNo1098 p4- 配布予定
第16講 訴訟の審理
講義の主題・ポイント:証明責任、証拠の収集・保全 文書提出命令、模索的証明、不要証事実
キーワード:証明責任の分配、証拠の収集、証拠の保全、文書提出命令、模索的証明、経験則、自白、自白の撤回
判例百選 74,76,82 
第17講 処分権主義による訴訟の終了など
講義の主題・ポイント:処分権主義に基づく具体的な制度の運営について理解する。
キーワード:訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解
第18講 終局判決による終了:既判力の意義とさまざまな限界
講義の主題・ポイント:既判力の範囲を問うことで、請求と判決の関係を理解する。訴訟の終了 判決の効力 
キーワード:既判力の限界、争点効、訴訟担当、反射効
判例百選はミニテストのため次回 
ミニテスト2 およびその解説
第19講 判決効と手続き保障
講義の主題・ポイント:判決効について主要な判例を学習する
キーワード:遮断効、時的限界、建物買取請求権、取消権
判例百選 86、87、88,96
第20講 共同訴訟の諸形態
講義の主題・ポイント: 通常共同訴訟、必要的共同訴訟など、共同訴訟の諸形態について理解する
キーワード:固有必要的、類似必要的共同訴訟、合一確定
判例百選 101 106
第21講 参加制度の意義
講義の主題・ポイント:補助参加など、訴訟当事者ではない第三者の各種参加制度の意義について、手続保障 の観点から訴訟告知の問題も交えて、理解する。
キーワード:補助参加
判例百選 107,108
第22講 参加制度の諸形態
講義の主題・ポイント: 独立当事者参加、共同訴訟参加、共同訴訟的補助参加訴訟制度の意義について、手続保障の観点から、補助参加との相違を踏まえながら、理解する。
キーワード:参加、手続保障
判例百選109,111
第23講 同一当事者間における複数請求の扱い
講義の主題・ポイント: 訴えの客観的併合、反訴、中間確認の訴えを理解整理する。
キーワード:客観的併合、中間確認
第24講 当事者の交代の諸形態
講義の主題・ポイント:訴訟承継と承継後の実体関係について理解を深める。
キーワード:訴訟の承継
第25講 上訴制度と不服申立手続
講義の主題・ポイント:①控訴や抗告など、上訴制度と不服申立手続の意義や全体構造について理解する。②上告制度:上告理由及び上告受理制度の意義など、上告に関する基本原則の検討を行う。③抗告制度
キーワード:控訴、上告、抗告
判例百選 110、118
第26講 再審制度
講義の主題・ポイント:上訴制度との相違との関係で再審事の意義と再審事由を整理する。
キーワード:再審事由
判例百選119
第27講 手形・小切手訴訟および簡易裁判所における訴訟手続
講義の主題・ポイント: ①手形・小切手訴訟の意義及び手続を理解する。② 簡裁における特別手続(督促手続、少額訴訟)や通常訴訟手続の特則を整理する。
配布資料および演習:自己破産の申立
第28講 補講 証明に関する諸原則
講義の主題・ポイント:証明に関する集積された判例法理を学習する
キーワード:集団訴訟における証明、価格協定による損害の立証、概括的認定、損害賠償額の算定、証明責任の分配、文書提出命令
判例百選 66、67、68、69、72、79

最終テスト 解説は第二試験日を予定(出席任意)
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by civillawschool | 2006-01-12 13:30

第17講 第18講(9日目)

9日め
第17 講 処分権主義による訴訟の終了など
講義の主題・ポイント:処分権主義に基づく具体的な制度の運営について理解する。
キーワード:訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解

17-1-1 私的自治原則の訴訟手続における表現として訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解などの処分権主義による訴訟の終了があげられる。処分権主義は、訴訟物に関して現れる(246条:判決事項)に限られない。当事者の処分行為によって当事者の対立そのものが解消してしまう(実質的に紛争がなくなる)ので、訴訟は終了するし、裁判所はこれに対抗することができない。
17-1-2 訴えの取下げとその合意
  訴えの取下げとは裁判所に対する審判要求の撤回のことである。請求の放棄とは、遡及的効果において相違する。取下げでは、訴えは最初からなかったものとして扱われるのである。訴えは原告の審判要求という訴訟行為によって始まるが、それに相手方に応じると、取下げは相手方にとって債務不存在の確認という機会(答弁書による請求棄却の答弁だけでは、これを認めず、準備書面の提出、弁論準備手続における申術、口頭弁論における弁論がないとこの不利益を認めない)を奪うことになるので、相手方の同意が必要となる(261)。
  取下げ契約(訴え取り下げの合意)に関する論議:訴訟行為として裁判所に申術せず、当事者間で合意が成立したとき、これをどう扱うかについて見解の対立がある。
訴えを取り下げると、訴訟係属は遡及的に消滅するが、終局判決後に訴えを取り下げると再訴は禁止される。ただし、控訴審中に取り下げた場合は、終局判決は存在しないから、再訴は禁止されない。
  再訴が同一の訴えかどうかについて、訴訟物が同一であれば、禁止に触れるが、前訴の訴訟物を前提として訴えが起こされたとき、たとえば取り下げられた前訴が元本債権を訴訟物とし、後訴が利息債権を訴訟物とするときは、通説は再訴の禁止が働くとするが、下級審判例には、働かないとするものもある。(伊藤p416注20)
17 -2-1 請求の放棄・認諾
請求の放棄とは、請求を放棄することで敗訴判決と同一の効力(267)を受け入れる内容の訴訟行為であり、裁判所に対して口頭弁論期日、準備手続期日、和解期日において陳述することによってなされる。
   請求の認諾とは、被告が請求を受け入れ、原告勝訴判決と同一の効力(267)を受忍する訴訟行為である。
  一部の請求について放棄や認諾は成り立ちうるが、ひとつの請求の一部のみを認諾ないし放棄できるかという点についてはこれを否定的に解する説が有力である。(通説はこれを認めている)
17-3-1 訴訟上の和解
  訴訟上の和解に互譲性が必要とすることについては少数説が疑問を呈している。互譲性は、請求の放棄でも認諾でもないのだから、当然その中間ということで互譲性が認められると考えられてきたようであるが、わが国に訴訟上の和解を導入するにあたって、これがconciliation(調停)であったこと、和解契約(transaction)とは明らかにニュアンスが異なることから立法史上は、互譲性は要件となっていなかった(法文上は民法のように互譲性は表現されていない)と解される。
 訴訟上の和解は、訴訟物に関して両当事者の合意のみでは足りず(私法上の和解契約と異なり)調書に記載されることで成立する。注意すべきは、請求内容から離れて、謝罪や金銭の第三者への拠出(財団などに)も和解の内容たり得る点である。紛争の解決方法として、民事上の請求概念では包摂できない内容もまた、和解の対象となる。また、当事者でない第三者もまた加入しうる(判例学説)。第三者との関係で単なる私法上の契約ではなく、起訴前の和解としての性質を認めるというのが有力学説(反対伊藤)。調書に記載されることで第三者にも和解の当事者に加わることを認める(伊藤)。
 訴訟上の和解は確定判決と同一の効力があるが既判力があると解するかについては争いがある。けだし、訴訟上の和解とはいえ、調書上、権利関係が必ずしも明確になされているとは、限らないから。
 和解調書についての無効の主張は、訴訟終了の合意が失われているから、期日指定の申立をなし、裁判所は口頭弁論を開いて無効原因について審理を行い、原因を認めれば審理が続行され、認められなければ訴訟終了宣言判決を行う。

第18講 終局判決による終了:既判力の意義とさまざまな限界
講義の主題・ポイント:既判力の範囲を問うことで、請求と判決の関係を理解する。訴訟の終了 判決の効力 
キーワード:既判力の限界、争点効、訴訟担当、反射効
判例百選 

18-1-1 裁判所の訴訟行為として判決はあるが、これによって直ちに訴訟は終了するわけではない。上訴の可能性がなくなったときに、終局判決となる。
18-1-2 終局判決と中間判決
     終局判決:事件の全部または一部をその審級につき完結させる判決である。その確定が事件全体の終了をもたらさない場合でも終局判決である。上級審(控訴審)の破棄差戻判決や破棄移送判決も終局判決であり、独立の上訴が許される。
     中間判決:訴訟資料の一部についてのみ裁判する判決である。当事者間で争いとなった事項や訴訟上の先決事項について、審級を終了させず、あらかじめ裁判所の判断を与えて訴訟関係を明瞭にし、終局判決を容易にするためのものである。
   中間判決の対象は次の三つ
     ⅰ独立の攻撃防御方法:その存在・不存在によって、独立の法律効果の発生、変更、消滅がもたらされるもの。所有権をめぐる争いで、買主であることを主張している者がしている売買と時効取得の主張では、それぞれが中間判決の対象となる。
     ⅱ中間の争い:たとえば、訴訟上の和解の効力などがこれにあたる。
     ⅲ原因判決:請求の原因と数額で争っているときなど。
   中間判決に対する不服は終局判決をまって、これに対する控訴、上告とともに主張する。
18-1-3 全部判決と一部判決
      全部判決:終局判決のうちで同一訴訟手続によって審判される事件の全部を同時に完結させる判決のこと
      一部判決:全部判決でないもの、一部を切り離して判決する。複数の請求がなされていたり、反訴がなされているとき可能となる。通常共同訴訟のときの一部の当事者にも判決することがある。請求が密接な関係にあるときは、これができない。たとえば保障債務者と主債務者に対する請求の場合、通常これができない。もっとも債務の免除などがなされていると一部判決も可能となる場合がある。
18-2-1 判決の効力
      自己拘束力(自縛性)、既判力、執行力、形成力、争点効など。
18-2-1 自己拘束力    
      判決を言渡した裁判所までも拘束する(変更することはできない)。書き損じ、計算違いといった表現上の過誤を訂正する判決の更正は可能(257)
18-3-1 既判力
    定義:訴訟物に関する確定判決中の「当事者がもはや争うことを許さないとする
判断」の通用力または拘束力のことをいう。民訴114条は主文に包含するものに限って既判力を認めている。(例外、相殺の抗弁における判断:114Ⅱ)
18-3-2 既判力概念に関する議論:他の裁判所をも拘束する根拠に関わる議論
  実体法説:判決によって実体法状態が変わるから、他の裁判所もこれに従うのが当然。
      訴訟法説:国家裁判所間の判断の統一の要請からくる。
      新訴訟法説:一事不再理の理念から導出
18-3-3 既判力の作用 後訴に対して消極的作用と積極的作用をする。
      消極的作用:既判力の生じた判断に反する主張・証拠申出を当事者がすることはできないし、後訴裁判所もこれを排斥する。
      積極的作用:後訴裁判所は既判力の生じている判断にそって判決しなければならない。
18-4-1 既判力の客観的範囲
  
  訴訟物が等しいものは既判力に抵触する
    前訴XがYを、所有権確認で訴え勝訴、後訴で同じ訴え
  訴訟物と先決関係にあるものは既判力に抵触する。
    前訴でXがYを所有権に基づく登記請求、敗訴。後訴でXが所有権確認は既判力に抵触する。
  訴訟物と矛盾するものは既判力に抵触する。
    前訴でXがYに対して所有権確認で勝訴。後訴でYの所有権確認の訴えは矛盾関            
     係ゆえに抵触する。
18-4-2 既判力の限界
  時的限界
  主観的限界
債権者代位訴訟(民法423条)における手続保障と判決効拡張
     債権者代位訴訟では、債権者が第三債務者に対して訴訟を提起する(一種の訴訟担当)から、債務者の権利が害されることがないように訴訟告知すべきである、それによって債務者の手続に関与する機会を保障するという考えである。商法268条3項の類推適用がこの義務の根拠として提唱され、また第三債務者の応訴拒絶権を認め(75条4項)があるとしている。それでも告知しない場合は、裁判所は職権で訴えを不適法として却下する。訴訟告知がなされれば敗訴判決の効力は債務者に拡張される(竹下・上田説、他に類似のものとして池田辰夫、新堂、高橋など、立法論としてのみ支持しているのは伊藤)と解されている。
  客観的限界

18-4-3 取消、解除、建物買取請求権などの形成権行使と遮断効
  取消: ケースバイケース:遮断効を認めないものについて判例は意思表示してはじめて法律関係は変動するからと説明。しかし詐欺などの取消は遮断効を認める。  
  相殺:判決確定後の行使を認めない(通説・判例:相殺は契約上の瑕疵の場合<取消・解除>と違い当事者の自由に行使できるものであり、担保的機能を重視)
  建物買取請求権:遮断効を認めない(判例)

ミニテスト② 試験30分 解説30分
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by civillawschool | 2006-01-12 13:24



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