大学院民訴レジュメ

最後に

 レジュメは以上です。地道に本にある資料を読んでいくことで、確実に実力はつくと思います。
good luck!
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:23

残りのレジュメ 9

訴訟承継 unit 22

Q1 訴訟承継主義とはどのようなものか
訴訟係属中、実体関係の変動の結果、訴訟物について当事者の有する適格が第三者に移転したことによって、その第三者(承継人)が従前の当事者に代わって、あるいは従前の当事者とともに、訴訟を引き受くべきであるとする考えのこと。
 1)Zに及ぶ。
既判力は、訴訟物に関する確定判決中の「当事者がもはや争うことを許さないとする
判断」の通用力または拘束力のことをいう。もっとも115条1項は、3号で口頭弁論終結後の承継人、4号で請求の目的物を、当事者やその承継人のために所持している者にも及ぶと規定している。ZはY1から、その一部を賃借しているのであるから、当事者のために所持している者にあたるかという問題が生ずる。賃貸人は自己の固有の権利にもとづき占有しているとの解釈から、当事者のために占有しているものに当たらないと解するのが通説である。(ちなみに実務では通常この者に対しても訴えが提起されるので、問題は生じない。)承継の問題ではなく、既判力の主観的拡張の問題と考えてもよいが、もちろんZもまた当事者適格があると考えて承継させるべきであり、それをしなければ、Zに既判力は及ばないと構成するべきであろう。
 2)訴訟承継主義とは、当事者恒定主義に対置する言葉で、実体関係の変動があって、訴訟物について当事者の有する適格が第三者に移転しても、その第三者に訴訟の承継を認めないとする当事者恒定主義に反対して訴訟の引受け(承継)を認めようとする主張のことをいう。
 口頭弁論終結前の承継人について訴訟承継主義をとれば、訴訟はこの新たな第三者に承継されなければならず、それを過誤して訴訟を続ければ、承継原因の発生した瞬間に在来の当事者は争いの主体たる利益すなわち追行権を喪失するから、彼のその後の関与は承継人に対してはまったく無意味なことになる(配布資料471頁右第2パラ)。
 処分禁止の仮処分がある。
 3)まず、考えられるのが、当事者恒定主義を一定の範囲で認めることである。すでに1)で述べたように、115条5号の解釈を広くとり、当事者のために目的物を所持している者に該当することで解決が図られる。次に訴訟告知を利用してZにも判決の効力がZにも及ぶことを担保しておくことも考えられるが、そのためにはZに補助参加人としての地位と、参加的効力が及ぶとの法の解釈が必要であるが、これは可能であろう。そして最後にZに引受けを申立てることであるが、これは解釈論ではないであろう。

Q2 訴訟承継の手続はどのようになっているか
@当然承継の場合:原因は、訴訟手続の中断・受継の規定から導出される(124条1項各号)*当事者の死亡、法人の合併、当事者の訴訟能力の喪失、法定代理人の死亡、代理権の消滅、受託者の信託の任務終了、など
 手続の中断をともなうときは、受継申立を受け審査をする。
 中断を伴わない場合(訴訟代理人がいる場合:124条2項)、判決に承継人が当事者として表示される。
@参加承継の場合は、権利承継人の場合、引受承継は義務承継人の場合を前提としているが、義務承継のあった場合に義務承継人が自ら進んで参加する(参加承継する)ことも、権利承継人の相手方が承継を引き受けてする引受承継もありうるとするのが通説・判例であり、旧73条旧74条を引き継いだ51条でこの点については、立法上も確認された。  
 承継原因:実体関係において特定承継があったこと。権利の譲渡などの場合だけでなく、代位や執行処分(執行売却・転付命令)でもよい。紛争の主体たる地位の移転があることが要件である:土地賃貸借契約終了を理由とする建物収去土地明渡訴訟の係属中に、被告がその所有する建物を第三者に賃貸占有させた事案において、訴訟引受を認めた判例がある(最昭41.3.22)
 承継後は、新当事者は、前当事者の訴訟状態の地位を引き継ぐ。

 1)申立ての趣旨において、Zに対する訴状を書くのと同じように「請求の趣旨」「請求の原因」を記載しておく必要がある。Zが訴訟を承継する(当事者となる)のであるから、当然であろう。
 2)XがZに対して建物退去を申立てる。
 3)被告が権利を譲り受けた第三者に債務不存在確認の請求をするのと同じである。

Q3 訴訟承継はどのような場合に認められるか
 訴訟承継は紛争の主体的地位が第三者に移動したときに認められる。

 1)XがY1に対して有する請求権は、建物収去、土地明渡であり、その根拠として賃貸借契約の解除による終了と所有権に基づくものとがあるが、Zに対しては土地所有権にもとづく建物明渡である。
 2)「紛争の主体的地位」とは、判例の事案に即していうならば、「第三者が土地賃貸人から係争建物の一部および建物敷地の占有を承継することによって、第三者の土地賃貸人に対する退去義務の存否に関する紛争という型態をとって、右両者間に移行し、第三者は当該紛争の主体たる地位を土地賃借人から承継したものと解される」ということである。
 実体法関係においては、土地所有者の賃借人に対する法的権利と建物の賃借人に対する法的権利は同じではないが、しかし、社会生活上の事実として紛争をみるとき、建物退去という大きな経済的損失の可能性のある者がもっとも訴訟追行に熱心であるという事実に鑑みて、紛争の主体と呼んだのであろう。当事者適格という従来の法律構成中心の思考から、観点が移動してきたといってもよいであろう。
 3)義務承継人に対して訴訟引受けの申立てをするのに予定されているのは、権利者側を予定していたと考えられる。けだし被承継人は48条の規定では権利者側の承継があったとき、被承継人は相手方の同意を得てその訴訟から脱退するとしており、義務承継人の訴訟引受けについては、50条で「裁判所は、(当事者の申立てにより)決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。」と規定しているのみで脱退についての規定はなく、当事者が誰かについては規定上明らかではないからである。
 もっとも①のように前主と承継人の間に承継の有無について争いがある場合に、裁判所が決定で決することが規定されていることに鑑みると承継人の前主による申立を認めてよい。手数料が異なるのは、権利主張者には訴えの利益があるからであり、義務の承継人には、いわば債務不存在確認の訴えとでも解さない限り申立て手数料が高額になることは考えられない。理由にはならないであろう。
 4)承継原因は訴訟要件かそれとも審判の内容かという問題であるが、従来の考え方に従えば、承継原因は訴訟要件である(裁判所が承継を認めるか否か決定で決する)。しかし、本件(unit22)のように、紛争の主体的地位の有無が問題になるとき、主体的地位は当事者を交えた審理を経なければ無利であると考えるとき、請求棄却判決がより現実的であろう。

Q4
 訴訟承継によって、訴訟状態は、従来の当事者から新たな当事者へと引き継がれるのが原則であるが、①承継人への請求の趣旨および請求の原因の範囲において、その訴訟物は従来の物とは別個である(連続性はあるにせよ:紛争の主体的地位の承継)から、その範囲内で変更される。また、手続保障の視点より、従来の当事者のなした自白やその他、馴れ合い的な訴訟行為に引受人は拘束されないと解すべきである。

1)請求共通説は、「引受承継により従来の当事者間の請求と共通の請求が引受承継人と相手方の間に当然に受け継がれる」とするから、従前の訴訟状態に拘束されると解されることが前提になっていると言えよう。条文上の根拠としては、たとえば49条の時効中断の効果があげられる。実質的にも、時効中断のような効果が認められないと不都合が生じる。
2)不都合な点は、地位継受の場合に、Zが前主の自白に拘束されるかといったときに問題となる。参加承継をした場合については、このような不都合は指摘されていないが、しかし、当事者の手続保障という面からは問題はないとは言い切れないであろう。訴訟状態への拘束について、そもそも請求提示説に立つとき、請求の趣旨および請求の原因が独自に定立されなければならないから、その拘束も緩やかなものとなる。
3)前述のとおり、拘束は当事者の手続保障の観点から緩やかに(承継人を拘束しないと)解すべきである。

訴訟承継

Q1 訴訟承継主義とはどのようなものか
訴訟係属中、実体関係の変動の結果、訴訟物について当事者の有する適格が第三者に移転したことによって、その第三者(承継人)が従前の当事者に代わって、あるいは従前の当事者とともに、訴訟を引き受くべきであるとする考えのこと。
 1)Zに及ぶ。
既判力は、訴訟物に関する確定判決中の「当事者がもはや争うことを許さないとする
判断」の通用力または拘束力のことをいう。もっとも115条1項は、3号で口頭弁論終結後の承継人、4号で請求の目的物を、当事者やその承継人のために所持している者にも及ぶと規定している。ZはY1から、その一部を賃借しているのであるから、当事者のために所持している者にあたるかという問題が生ずる。賃貸人は自己の固有の権利にもとづき占有しているとの解釈から、当事者のために占有しているものに当たらないと解するのが通説である。(ちなみに実務では通常この者に対しても訴えが提起されるので、問題は生じない。)承継の問題ではなく、既判力の主観的拡張の問題と考えてもよいが、もちろんZもまた当事者適格があると考えて承継させるべきであり、それをしなければ、Zに既判力は及ばないと構成するべきであろう。
 2)訴訟承継主義とは、当事者恒定主義に対置する言葉で、実体関係の変動があって、訴訟物について当事者の有する適格が第三者に移転しても、その第三者に訴訟の承継を認めないとする当事者恒定主義に反対して訴訟の引受け(承継)を認めようとする主張のことをいう。
 口頭弁論終結前の承継人について訴訟承継主義をとれば、訴訟はこの新たな第三者に承継されなければならず、それを過誤して訴訟を続ければ、承継原因の発生した瞬間に在来の当事者は争いの主体たる利益すなわち追行権を喪失するから、彼のその後の関与は承継人に対してはまったく無意味なことになる(配布資料471頁右第2パラ)。
 処分禁止の仮処分がある。
 3)まず、考えられるのが、当事者恒定主義を一定の範囲で認めることである。すでに1)で述べたように、115条5号の解釈を広くとり、当事者のために目的物を所持している者に該当することで解決が図られる。次に訴訟告知を利用してZにも判決の効力がZにも及ぶことを担保しておくことも考えられるが、そのためにはZに補助参加人としての地位と、参加的効力が及ぶとの法の解釈が必要であるが、これは可能であろう。そして最後にZに引受けを申立てることであるが、これは解釈論ではないであろう。

Q2 訴訟承継の手続はどのようになっているか
@当然承継の場合:原因は、訴訟手続の中断・受継の規定から導出される(124条1項各号)*当事者の死亡、法人の合併、当事者の訴訟能力の喪失、法定代理人の死亡、代理権の消滅、受託者の信託の任務終了、など
 手続の中断をともなうときは、受継申立を受け審査をする。
 中断を伴わない場合(訴訟代理人がいる場合:124条2項)、判決に承継人が当事者として表示される。
@参加承継の場合は、権利承継人の場合、引受承継は義務承継人の場合を前提としているが、義務承継のあった場合に義務承継人が自ら進んで参加する(参加承継する)ことも、権利承継人の相手方が承継を引き受けてする引受承継もありうるとするのが通説・判例であり、旧73条旧74条を引き継いだ51条でこの点については、立法上も確認された。  
 承継原因:実体関係において特定承継があったこと。権利の譲渡などの場合だけでなく、代位や執行処分(執行売却・転付命令)でもよい。紛争の主体たる地位の移転があることが要件である:土地賃貸借契約終了を理由とする建物収去土地明渡訴訟の係属中に、被告がその所有する建物を第三者に賃貸占有させた事案において、訴訟引受を認めた判例がある(最昭41.3.22)
 承継後は、新当事者は、前当事者の訴訟状態の地位を引き継ぐ。

 1)申立ての趣旨において、Zに対する訴状を書くのと同じように「請求の趣旨」「請求の原因」を記載しておく必要がある。Zが訴訟を承継する(当事者となる)のであるから、当然であろう。
 2)XがZに対して建物退去を申立てる。
 3)被告が権利を譲り受けた第三者に債務不存在確認の請求をするのと同じである。

Q3 訴訟承継はどのような場合に認められるか
 訴訟承継は紛争の主体的地位が第三者に移動したときに認められる。

 1)XがY1に対して有する請求権は、建物収去、土地明渡であり、その根拠として賃貸借契約の解除による終了と所有権に基づくものとがあるが、Zに対しては土地所有権にもとづく建物明渡である。
 2)「紛争の主体的地位」とは、判例の事案に即していうならば、「第三者が土地賃貸人から係争建物の一部および建物敷地の占有を承継することによって、第三者の土地賃貸人に対する退去義務の存否に関する紛争という型態をとって、右両者間に移行し、第三者は当該紛争の主体たる地位を土地賃借人から承継したものと解される」ということである。
 実体法関係においては、土地所有者の賃借人に対する法的権利と建物の賃借人に対する法的権利は同じではないが、しかし、社会生活上の事実として紛争をみるとき、建物退去という大きな経済的損失の可能性のある者がもっとも訴訟追行に熱心であるという事実に鑑みて、紛争の主体と呼んだのであろう。当事者適格という従来の法律構成中心の思考から、観点が移動してきたといってもよいであろう。
 3)義務承継人に対して訴訟引受けの申立てをするのに予定されているのは、権利者側を予定していたと考えられる。けだし被承継人は48条の規定では権利者側の承継があったとき、被承継人は相手方の同意を得てその訴訟から脱退するとしており、義務承継人の訴訟引受けについては、50条で「裁判所は、(当事者の申立てにより)決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。」と規定しているのみで脱退についての規定はなく、当事者が誰かについては規定上明らかではないからである。
 もっとも①のように前主と承継人の間に承継の有無について争いがある場合に、裁判所が決定で決することが規定されていることに鑑みると承継人の前主による申立を認めてよい。手数料が異なるのは、権利主張者には訴えの利益があるからであり、義務の承継人には、いわば債務不存在確認の訴えとでも解さない限り申立て手数料が高額になることは考えられない。理由にはならないであろう。
 4)承継原因は訴訟要件かそれとも審判の内容かという問題であるが、従来の考え方に従えば、承継原因は訴訟要件である(裁判所が承継を認めるか否か決定で決する)。しかし、本件(unit22)のように、紛争の主体的地位の有無が問題になるとき、主体的地位は当事者を交えた審理を経なければ無利であると考えるとき、請求棄却判決がより現実的であろう。

Q4
 訴訟承継によって、訴訟状態は、従来の当事者から新たな当事者へと引き継がれるのが原則であるが、①承継人への請求の趣旨および請求の原因の範囲において、その訴訟物は従来の物とは別個である(連続性はあるにせよ:紛争の主体的地位の承継)から、その範囲内で変更される。また、手続保障の視点より、従来の当事者のなした自白やその他、馴れ合い的な訴訟行為に引受人は拘束されないと解すべきである。

1)請求共通説は、「引受承継により従来の当事者間の請求と共通の請求が引受承継人と相手方の間に当然に受け継がれる」とするから、従前の訴訟状態に拘束されると解されることが前提になっていると言えよう。条文上の根拠としては、たとえば49条の時効中断の効果があげられる。実質的にも、時効中断のような効果が認められないと不都合が生じる。
2)不都合な点は、地位継受の場合に、Zが前主の自白に拘束されるかといったときに問題となる。参加承継をした場合については、このような不都合は指摘されていないが、しかし、当事者の手続保障という面からは問題はないとは言い切れないであろう。訴訟状態への拘束について、そもそも請求提示説に立つとき、請求の趣旨および請求の原因が独自に定立されなければならないから、その拘束も緩やかなものとなる。
3)前述のとおり、拘束は当事者の手続保障の観点から緩やかに(承継人を拘束しないと)解すべきである。

再審と判決の無効 unit23

Q1 
 1)再審の訴えとは、手続の重大な瑕疵など限られた一定の事由に基づき、確定判決の取消しおよび事件の再審判を求める特別な不服申立方法であり、再審事由は338条1項各号に規定されている。そこで、再審の訴えは、同一事件につき、下級審の終局判決と、それに対する上訴を却下または棄却した上級審の終局判決とがともに確定しているときは、個別に再審の対象となるのが、本件では控訴はされていないので、第一審裁判所に申立てる。不服の利益を有するのは当事者、その承継人、補助参加の利益を有する者(43条2項45条)。再審事由を知った日から30日以内に提起しなければならない。訴状には、請求の趣旨として、再審の訴えである旨(その対象となる裁判を明記し、判決を取り消す)を記載し、請求の原因として、再審事由に該当する事実を記述する。管轄は、不服申立の裁判所の専属管轄である。
 2)刑事告訴。被疑者死亡のまま告訴することはできないので、有罪の確定判決を得られなかったことを証明する(最判昭和42,6,20)。
  再審の訴えがその要件を満たさなければ、訴え却下。
  再審請求の終局判決にもその審級に応じた上訴がある。
 3)③および④を通じて、Xが悪意をもってYを欺もうにおとしめている点。詐欺罪が成立するから、338条1項5号。ただし、同2項で確定判決がないので、有罪の確定判決を得られなかったことを証明する(最判昭和42,6,20)ことが必要である。
再審決定に対する不服申立方法は即時抗告である(347)。
 4)原裁判の再開・続行として審理する。犠牲自白は成立しないと解さなければならないが、そもそも自白の撤回は、再審事由と同じ犯罪行為に起因しているので問題ない。形式的には自白の撤回が主張されるべきであろう。
 5)Ⅰの①と②が認められた場合は、YがXの請求に対してどのように答弁するかが、問題となる。再審決定と再審を2段階(2元説)の手続と解すると、弁論が再開され、そこではじめてYが答弁するので、その答弁に左右されることになる。①と②が認められなかった場合も同様である。
 6)訴訟物は何かについて、一元説は、再審の申立てそものを訴訟物と考えているようであるが、本件のような事案では、詐欺そのものが再審開始決定後の審理における訴訟物と考えることはできない。訴訟物はXが訴え提起において請求の趣旨および請求の原因で主張したものである。

Q2
 1)もちろん既判力には抵触する。けだし、Yが控訴審において主張した事実および第一審で主張した事実は、すべて既判力の基準時たるXがYに対して訴えた訴訟の基準時以前の事実(Xは、Yに対して債権を有している、訴訟外で和解が成立したとのYの主張およびXが訴えを取下げる旨約束したという主張は、Y側の抗弁事実であるが、かかる抗弁をYが提出しなければ、後訴において主張しえない)であり、本来なら既判力によって遮断されなければならない事実だからである。
 2)その判決の成立過程において、訴訟当事者が、相手方の権利を害する意図のもとに、作為または不作為によって相手方が訴訟手続に関与することを妨げ、あるいは虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔する等の不正な行為を行い、その結果本来ありうべからざる内容の確定判決を取得し、かつこれを執行した場合においては、みぎ判決が確定したからといって、そのような当事者の不正が直ちに問責しえなくなるいわれなく、・・・(正義に反する行為によって確定判決をおよびその執行を得た場合)、「これによって損害を被った相手方は、かりにそれが右確定判決に対する再審事由を構成し、別に再審の訴えを提起しうる場合であっても、なお独立の訴えによって、右不法行為による損害の賠償を請求することを妨げられないものと解すべきである」。
 この判決の問題点は、再審の訴えによらずとも、別の訴えにおいて、既判力のある判決の効力と矛盾する、不法行為による損害賠償を提起できるちょしたのであるから、判決の確定効および再審の制度を反故にもしかねない、重大な変更を認めたものということができる。
 3)その判決の成立過程において、ⅰ訴訟当事者が、相手方の権利を害する意図のもとに、作為または不作為によって相手方が訴訟手続に関与することを妨げ、あるいは虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔する等の不正な行為を行い、ⅱその結果本来ありうべからざる内容の確定判決を取得し、かつⅲこれを執行した場合、とあるので、YはⅠの①、②、③、④、の事実を主張すればよい。
 4)請求意義の訴えを起こすと、前述のⅲの要件はまだ充足されたことにはならないから、そのままでは最高裁の示した要件を満たしていることにはならない。しかし、請求意義の訴えを退ければ、この要件をみたすというようなとき、Ⅱ③の事実を主張することで足りると解釈することは可能であろう。

Q3
 1)①甲と乙が通謀して、第三者丙に対して金銭債権を有すると称して丙に対する債務名義のへん取しようとの意図の下に、②甲は丙あてにその住所を真実に反し、乙方丙として支払命令ないし仮執行宣言付き支払命令などの申立てなどの訴訟行為を行い、乙が丙を装って受領し、③なんらの不服申立をしなかった場合において、その債務名義の効力は丙に対しては及ばない。
 この判例ルールは債務名義が確定判決によって取得された場合と支払命令の場合で区別する言われはない以上、確定判決の場合にも及ぶと考えてよい。
 2)微妙なところである(笑)
  けだし、43年のルールは、住所などにおいて虚偽の記載をし、それによって当事者が関与することもないまま、支払命令は確定、債務名義が取得されてしまった場合である。それゆえ、43年の判決でも「(丙は)防御の訴訟行為をする機会を完全に奪われているのである」からであり、本件のように、YがXの言動を軽々しく信じたために判決が搾取された事案とは、少々様相を異にしていると構成することも可能だからである。
 3)債務名義の基礎となっている確定判決が再審の訴えによって、その請求権が棄却された場合、それ以前に執行された競売による競落人の権利はどうなってしまうか、という問題である。債務名義が無効と後に判断されると競売において無権限の者がなした競売行為ということで(他人物売買における担保責任はともかくとして)、Aについては権利の遡及的喪失を認め、Yの所有権を認め移転登記手続請求を認容すべきか、それとも二重譲渡類似の状態が発生していたと解することで登記を取得したAを保護すべきか、という問題である。登記に公信力を認めないように、判決たりとも再審で覆る以上、かかるリスクは競落人が負担すべきであって、真の所有者が負担すべきではないであろう。むしろYが所有権を回復できる要件を厳しくすべきではないか、と考える。
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:21

残りのレジュメ 7

定期金賠償と鑑定 unit.18 

Q1
1)@定期金賠償とは、たとえば被害者が生存している間は継続して発生する治療費、介護費用などのように、将来にわたって損害が発生しつづけることが確定的に予測される場合に、この損害額をあらかじめ確定し、その支払いを定期に行うことを命ずる賠償方法である。
@ⅰ定期金賠償では、損害がいつまで発生しつづけるか不明の場合に、損害が発生するたびに賠償を求めて訴訟するという手間がなく、また、賠償額が定期に受け取れるので、被害者が将来の設計を立てやすいというメリットがある。また一時金賠償と異なり、加害者にとっても一度に大きな賠償金を支払うという経済的負担が軽減される。定期金賠償方式のデメリットは、ⅱの記載のとおりである。
ⅱこれに対して一時金賠償では、定期金賠償のデメリットである①加害者が将来にわたっても賠償支払い能力があるとは限らず(賠償義務者の資力悪化の危険性)、②貨幣価値の変動などの事情変更があった場合の対処方法がない(もっとも民訴117条の活用による解決は可能であるが、訴訟によることになる)、③将来請求として確定できるものに限られるという現実の下、一時金賠償による方法なら被害者が自らの責任で賠償金を将来設計のために組み立てられるというメリットがある。また、加害者にとってもいつまでも賠償金という負債を将来に亘って負担するという重圧から開放される。もっとも、損害が将来のどの時期にまで及ぶのか不明な場合、一時金賠償は正当な損害の補償を欠くという非難を免れない(デメリット)。

2)判例によれば一時金による賠償の支払いを求めている場合に、定期金による支払いを命ずる判決をすることはできない(資料1、資料3)とするものがある一方、賠償義務者が、控訴し、定期金賠償によるべきであると主張した場合にこれを一定の条件の下に認めたもの(資料2)、原告の合理的意思を推測して、原告の申立ての範囲内であるとして定期金賠償を命じた判決(資料4)などがある。
民事訴訟法117条は、定期金による賠償を命じた判決の変更を求める訴えを一定の条件の下(後発後遺症、賃金水準、その他の事情変更)にこれを認めているから、一時金による支払いを求めている場合に、定期金賠償の判決をすることは認めてもよさそうである。
問題は、一時金か定期金かの賠償の申立ては、裁判所を拘束するか、という理論上の構成にある。主文は当事者の申立てに対応しなければならないから(253Ⅰ①)、一時金を当事者が求めているのに定期金による支払いを命ずることができるであろうか?一時金による賠償も、定期金による賠償も当事者の申立ての範囲内であると解する立場は、当事者が求めているのは賠償であって、その支払い方法についてまでは裁判所を拘束しないと解しているのであろう。これに対して、賠償方法の変更は当事者の申立てをまたなければならないとする立場では、定期金賠償、一時金賠償はそれぞれ別個の請求を構成することになる。しかし、後者のように解すると、そもそも定期金賠償請求の訴訟物と一時金賠償の訴訟物は別個ということになり、裁判所に対する拘束が強く、いきすぎた当事者主義であると非難されよう。そこで、賠償方法の選択を裁判所の裁量とすることは、当事者が予期しないような形で一時金から定期金、あるいは定期金から一時金へと賠償方法を変更することは、当事者にとって不意打ちになるし処分権主義にも反する。さらに法的安定性を欠くことにもなりかねない。やはり、釈明権行使、当事者の合理的意思の推測などを通じて、当事者の申立てない賠償方法を模索すべきであると考える。なお、一時金を求めているのに定期金賠償は認めず、定期金を求めた場合に、一時金による賠償は差し支えないものと解する見解もあるが、技巧的にすぎるように思われる。
3)認められるべきでないとする見解(資料5):定期金賠償の請求は、将来の回帰的給付の訴えのためのものであって、本件では、これに当たらないからである。別の言い方をすれば、定期金賠償の前提たる「生きている」という前提を、その前提がもはや存在しないのに定期金賠償の対象とすべきではない、それはむやみに法制度を混乱させ、法的安定を害するということである。          
これを認めようとする見解(資料6):①まず、逸失利益の賠償であろうと、将来の介護費用であろうと、すべての損害が不法行為時に発生したものと観念されるのであり、将来における介護費用であっても、その発生は不法行為時と解されるべきである。②一時金による支払いと定期金損害賠償は法的には等価値である。③賠償義務者にとって支払い時期において、定期金賠償の方が有利である。また、分割払いの請求と解すれば、一括の弁済も許されるので、義務者にとって不利になることはない。④死亡逸失利益については、後遺症損害逸失利益や将来の介護費用などと違って、一時金をあえて定期金賠償方法をとる実益は乏しいが、法定利率と実勢利率の乖離を考えると、定期金賠償方式の方がこうした乖離がないため、定期金賠償の方がより有意義な制度であると言える。そうすると二者のそれぞれの立場からしても、これらは処分権主義の問題である。
4)一時金賠償の分割払い請求は、履行期を徒過した損害賠償請求権の一部について新たに期限の利益を付与するもの(資料7)と解されるが、定期金賠償は、そもそも将来の回帰的給付請求であり、その債権の発生は、不法行為時であったとしても、支払い時期は、それぞれ将来のものであって、期限の利益の付与によって支払い期限が定期的に満了するというものではない。しかし、処分権主義によって定期金賠償か一時金賠償か請求権者が選択できるものであるなら、一時金の分割支払い請求もこれを認めないゆわれはない。

Q2
1)本件のように判決確定の直後にX1が死亡した場合、X1の生存を前提に計算され言渡された一時金の支払いを命ずる判決は、一見すると著しく衡平の理念に反するように思われる。しかし、理論上の問題点が残る。
 @請求異議の訴えについて:介護費用算定の前提となる「被害者が一定期間生存する」との判断は、裁判所が被害者の年齢、後遺症の程度、健康状態などにより(証拠に基づいて)認定したものであり、事実認定の問題である。そうすると被害者が判決で認定された時期と異なった時期に死亡したことが事実認定に大きな誤りがあったということはできても、口頭弁論終結後に発生した給付請求権の(後発的)消滅と同視すべきではない。そうすると、請求異議事由にはあたらない、と解すべきではないか(資料8)と説かれる。もっとも判例は信義誠実の原則に反し、権利濫用の嫌いなしとしない、として請求異議事由としてこれを認めている。
 @不当利得返還請求の訴えについて:執行終了後であれば、不当利得としてこの執行によって得た賠償金を取戻せないか、という問題である。単なる生存期間の認定の誤りは再審事由を構成しない(338条1項)からである。この点について判例はないが、もし不当利得を肯定するならば、それは衡平の理念によってこれを認めるという構成をとることとなろう。
 @他に取りうる手段はないか:ない。(考えつかない)
2)事情変更を理由に一時金賠償の確定判決後にこの額の変更(追加請求)することができるか、という問題である。既判力に抵触するとも思われるかかる請求を定期金賠償における117条の類推適用による可能性の是非を論じなければならない。
 一時金賠償は、基準時として最終の口頭弁論終結時における算定を基礎としているから、その後の事情変更(介護費用の急激な増加)を後発後遺症と同様に考えてよいか、ということについて検討しなければならない。
 介護費用は後発後遺症のように基準時以後に発生した新たな症状=損害ではなく、その損害の賠償の算定の基礎たる社会事情の変化によるものである。かような社会事情の変化をすべて認容して増額または減額を認めることは法的安定性を害し、好ましいことではない。しかし、他方、社会事情の変化に対して、これを基準時の判断のみを絶対としてその変更を認めないことも正義と衡平の観点から望ましいものでもない。そこで、一時金賠償にあっても、定期金賠償を命ずる確定判決の変更を求める訴えが認められる範囲で、具体的には、「口頭弁論終結後の後発後遺症、賃金水準その他損害額の算定の基礎となった事情に著しい変化が生じた場合」に限って、一時金の増額を認めるべきであろう。
3)@後遺症の悪化は、後発後遺症と同視できるであろうか?出来るとするならば、117条による変更の訴えが認められて良さそうである。後遺症の悪化は、予見できなかったか、あるいは予見できても、これを賠償額の算定の基礎とすることができないような特殊な事情があった場合を除き、悪化の程度が著しいものであれば、117条の訴えの対象となると考えてよいであろう。
@117条は、費用の増加に限定しているわけではないから、その変化が著しい場合にはYより定期金賠償の減額請求も可能であると解すべきである。

Q3
1)当事者の申出がなく、明文の規定を欠く場合でも、裁判所は職権で鑑定をすることができるか、という問題である。
 通説は弁論主義の原則から否定的であるが、鑑定人を裁判官の判断能力を補充する証拠方法であるという点を強調する学説からは職権による鑑定は肯定的に捉えられている(資料11)。肯定説の根拠として、①213条の文言の解釈、②科学裁判において、その必要性が高いこと、③通説のように解すると裁判所が鑑定の必要を感じても、当事者がその申立てをせず、釈明にも応じないとき、鑑定が利用できないという不都合が発生する、を理由にあげている。
 ③の不都合については、通説からは、調査嘱託や釈明処分としての鑑定で補充されるとの反論がなされている。
 私見 としては通説を支持する。①213条の文言「鑑定人は、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が指定する」は、鑑定人の指定をするのが誰かを規定しているにすぎず(当事者は指定できない)、鑑定をするか否かの権限までも規定したものではない、と解すべきである。②科学裁判においても弁論主義の原則は堅持されるべきであり、いたずらに鑑定人を裁判所が指名することは、当事者主義の原則を反故にするばかりか、科学界でも見解が対立するような場合には、裁判にバイアス(偏向)がかかりかねない。③については、通説の反論で十分であろう。
 結論としては裁判所としては釈明権を行使すればよい。
2)鑑定人の鑑定意見は、どこまで裁判所を拘束するか、という問題である。裁判所の能力の補充といっても、①裁判官(裁判所)が理性までもその領域で失っているわけではないので理由なしに鑑定意見に盲従すべきではない、②裁判官の独立の原則からも鑑定人の意見に拘束されるとするのは適当ではない。それゆえ、裁判所(裁判官)は、鑑定意見の結論に拘束されることなく、鑑定理由全体から自身の見解を形成すべきである。


 
 
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:19

残りのレジュメ 6

既判力の時的限界 unit.16

Q1
1)既判力とは、訴訟物に関する確定判決の判断に対して生ずる通用力ないし拘束力のことをいう(伊藤470)既判力の客観的範囲は、判決主文に包含するもの(114条)と規定され、具体的には訴訟物に対する判断に限定される。主観的範囲は、当事者および口頭弁論終結後の目的物の承継人に限られる(伊藤497頁)。既判力の双面性とは、既判力は勝訴当事者に対して有利に働くばかりでなく、不利にも働く(それゆえ、敗訴当事者にも同様、不利にも有利にも働く)ことをいう。たとえば、建物について前訴原告の所有権を確認する判決が確定した後に、土地所有者たる前訴被告が建物収去土地明渡請求の後訴を提起したときに、被告たる前訴原告は、前訴の口頭弁論終結前の事由にもとづいて自己が建物所有者たることを否認することはできない(伊藤475)。
2)既判力の時的限界とは、訴訟物たる権利関係の存否について受訴裁判所は、弁論主義の原則によって当事者が提出した事実と証拠に基づいて判断を行うが、このための資料を当事者が提出できる最終期日が、その判断の正当性を担保する最終期日となる。これが、既判力の時的限界である。民亊執行法35条2項は、これを受けて、請求異議の訴えを基準時以降に生じたものに限定している。すなわち、基準時前のことについては、確定判決が既判力を有するから、これを争いえないということが請求異議の訴えの、いわば基準時となっているのである。基準時については、民事訴訟法に規定はなく(歴史的経緯によってそうなっている)、それゆえ、根拠条文も民亊執行法に求められることとなった。
3)第1訴訟は、控訴棄却の判決により、Yの請求(本件賃貸借の期間満了を理由とする、建物集去土地明渡と収去明渡までの地代相当額の損害金)認容で確定している。第2訴訟では、Yは地代相当損害金を226万円に引き上げて請求、裁判所はこれを全部認容する判決を出し、確定している。第1訴訟において地代相当額を27万6000円とした判断は第1訴訟の最終の口頭弁論までの期間に関するもので、その後の地価の変動については、後訴裁判所を拘束しないから、第2訴訟において認容された新たな地代相当額は第1訴訟の判決の基準時以降についてのみ有効となる。
X1X2による請求異議の訴えは、第2訴訟の強制執行に対するものであるから、この判決の基準時以降に生じた事項をもってしてしか、強制執行を阻止しえない。それゆえ、建物買取請求権の行使は基準時以降であるから、その後の地代相当額の損害金の支払い義務はなくなるが、それ以前の部分については、第1訴訟の基準時以前の部分については、第1訴訟の示した地代が、第2訴訟の基準時以降、建物買取請求権行使までの部分については第訴訟判決が示した(ちなみに第1訴訟の判決が示した地代相当額については、第2訴訟判決でも示されているとの前提である)額をもってして地代相当額損害金ということになる。結局X1X2が争いうるのは、建物買取請求権行使をもって、その日以降の地代相当損害金の支払い義務が消滅しているという主張である。
最後に、建物買取請求権の行使は、既判力により遮断されないか、という議論があるが、建物買取請求権は、裁判において主要な争点ともなっておらず、その行使をもはや期待できないとの信義則が働く場合でなければ、遮断されないとのみ述べておく。
4)いわゆる遮断効(失権効)の問題である。遮断効は、既判力の一作用とされながら、既判力のおよぶ範囲は主文に包含するものと限定されているため(114条)、前訴において提出された攻撃防御方法および提出されなかった攻撃防御方法さえも、後訴において、提出を許さないとする法理であると説明することとの整合性が問題となる。本来の既判力は訴訟物について生ずるから、審判の対象とすらならなかった攻撃防御方法が後訴において提出しえないとする根拠は既判力そのものからは演繹できない。
既判力は、訴訟物についての前訴判決の判断の通用力である。そうすると、たとえば解除の主張が訴訟物を構成していなければ既判力の射程には入らず、また、解除についてYが争っていなかったとき、争点効の射程にも入らないが、Yが後訴で解除の主張をすることは、解除については争わないとの相手方の期待を裏切る(決着期待型争点)ことになり、信義則違反になるのではないか、という問題として論じることができる(unit15 Q2)。
前訴において提出が可能であった取消権の、基準時後における行使について、通説判例はこれを許さないとするが、反対する説も有力である。
そこで解除権、取消権、相殺権、建物買取請求権などについて、これらを形成権行使の問題として捉えながら、それぞれの形成権の実体法的性質や手続の経緯を勘案して、基準時前の形成権行使が期待される場合であったか否かで、遮断効が働くか否かを決していこうとする主張が有力になっている(伊藤489-480頁)。形成権は、その存在によってではなく、その行使によって初めて実体的な法律関係の変動を生じるから、法律行為に付着した(それゆえ、通常は前訴において行使可能な)ものか否かについては、判断が分かれる。
通説は、たとえば取消権は法律行為に内在的に付着する瑕疵だから、かかる権利は一般的に前訴において主張しなければ失権(遮断)すると説く。ただし、詐欺や強迫の事実が口頭弁論終結時まで継続し、取消しの意思表示を期待しえない場合には失権しないと主張する。再審の訴えが338条1項5号で「刑事上罰すべき他人の行為・・・」という条文も根拠にされる。また、建物買取請求権は、収居明渡請求権に内在(付着)する権利ではなく、それゆえ独立に、前訴判決確定後に行使することを認められると説く。
5)相殺権の行使については学説に争いがある。判例は相殺が効力を生じるのは相殺適状のときではなく、相殺の意思表示をしたときであるから、確定判決後、基準時以前より相殺適状にあった相殺権の行使は認められる。通説は①相殺権の行使が相殺権者の自由意思に委ねられており、②確定された受動債権に付着する瑕疵ではない、との理由で判例を支持している(伊藤483-484頁)それゆえ、本件では、いずれの相殺権の行使も認められるべきである。
6)建物買取請求権の行使は許されるべきである。その根拠として、遮断効が働くのは、攻撃防御方法が法律関係に付着していて、それを前訴において行使しないことが、相手方の期待権を構成するような場合でなければならない。形成権一般について、その権利の行使は、権利者にまったく委ねられているということはなく(たとえば取消権や解除権にあっては、多くの場合、前訴審議中に行使することが期待される)、この期待は、その権利が法律関係の瑕疵として付着したものか否かをひとつの基準として考えることができる。
そうすると、建物買取請求権や相殺権の行使は、①権利として他の法律関係に付着するものでなく、②そもそも独立の権利として行使することが十分に考えられるものであるから、相手方の期待権を侵害するものでもない。

Q2
1)判決の効力はその名宛人(および口頭弁論終結後の目的物の譲受人:115条1項3号、これらの者のために目的物を所持する者:4号)にしか及ばない。4号の所持者はもっぱら本人のためにする意思のみをもって目的物の所持をなす者に限定されるから、賃借人や質権者は4号の所持者に該当しないとされる(伊藤514頁)。それゆえ、賃借人に第1訴訟の判決の効力は及ばず、強制執行をこれらのものに対してなす(建物明渡の執行)ことはできないからである。
2)請求異議の訴えにおける審判の対象は、建物収去土地明渡請求権と地代相当金の支払い(訴訟物)であり、請求原因は、口頭弁論終結後の建物買取請求権の行使による建物収去土地明渡義務の消滅と、それに伴う地代相当金の支払い義務の消滅である。
3)建物買取請求権が行使されると、行使の時点より建物の所有権は土地賃貸人に移るから(資料11,354頁)、土地上の建物の明渡義務は消滅する。また、これに伴い地代相当額の損害賠償債務も発生しなくなる。しかし、建物の引渡しまでもが、建物の所有権の移転に伴って消滅するわけではないから、建物引渡し請求権が建物収去土地明渡請求権の消滅によって顕在化すると考えるべきであろう(資料10)。それゆえ、この残った権利の範囲内で判決は効力を維持していると見るべきである。それゆえ裁判所は建物引渡し請求権の範囲内での強制執行を許可すべきものと考える。

Q3
1)@建物買取請求権行使の意思表示の撤回が認められるか、その効果は、訴訟上での攻撃防御方法の提出の撤回に限られ、訴訟外においては、建物買取請求権の行使の効果に影響を与えないと解すべきか否かという問題である。訴訟行為を当事者が撤回することに制限はなく(伊藤281頁)、その撤回により訴訟外での実体的効果も発生しないと考えるべきか否かが問題となる。当事者の意思からすれば、訴訟上で撤回した意思表示が訴訟外では撤回が認められないというのは、訴訟上において審議している法律関係をいたずらに混乱させることになり、認めるべきではないであろう。
@撤回ではなく裁判所が当事者の形成権行使を時機に遅れた攻撃防御方法の提出であるとして、却下したときには、当事者の意思としてこれを訴訟外でも認めないとする理由はないから、訴訟外における権利は失われないと解するべきである。そうすると、建物買取請求権の行使をその後において認めることになるが、かかる権利の行使は、そもそも判決確定後に始めて行使した場合にも認められているのだから問題はない。
@これに対して売買代金請求訴訟における詐欺による取消権行使の抗弁は、取消権が売買における意思表示に付着したものであるから、訴訟上時機に遅れた攻撃防御方法として却下された場合には、訴訟外にあってもその行使は認められないと考えるべきである。

2)建物買取請求権は裁判上行使しなければならない権利でないから、裁判外において行使することを妨げるものではない。問題は権利者が権利行使の事実を訴訟において主張しながら、後にこれを撤回することができるか、という点にある。そもそも例外はあるものの攻撃防御方法の提出の撤回に制限はないから、これを認めてもよさそうである。しかし、撤回を認めると訴訟上では所有者は土地賃貸人、訴訟外では土地所有者という錯綜した関係が生ずる。そこで、訴訟外ですでに行使した権利は、裁判に顕れた事実として考慮すべきであり、撤回を事実上認めないという構成を考えるべきであろう。そうすることで、相手方に対する不意打ちも防止される。また、撤回を認めないことで、撤回を望む者が不利益を被ることもない。裁判外で建物買取請求権の行使があったとき、これを原告が考慮して建物収去土地明渡に訴えを変更したとき、建物買取請求権行使の事実は被告に一方的に有利に働く事実でないという双面性を考えるとき、かかる事実を原告に主張させ、あるいは釈明することで、かかる事実を訴訟においても斟酌すべきである。   
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:18

残りのレジュメ 8

同時審判申出訴訟と補助参加 unit.20

 補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に(法律上の)利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度で、被参加人の行為に抵触(矛盾)する行為、不利益となる行為(たとえば自白)をすることはできないし、自己の固有の請求も存在しない。補助参加人のなす行為は被参加人の援用をまたずに被参加人の行為として扱われる。
 例:債権者から連帯保証人(保証人も可)に対する訴えに主債務者が(連帯)保証人に補助参加する。
 補助参加するためには訴訟の結果に対して利害関係が必要であるが、そこにおける利害関係とは、訴訟の結果に論理先決関係がある場合である。

Q1
1)補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に(法律上の)利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度である。
 補助参加については、旧説による基準と新説による基準がある。
補助参加するためには訴訟の結果に対して利害関係が必要であるが、そこにおける利害関係とは、事実上の利害関係では足りず、法律上の利害関係でなければならない(資料1)法律上の利害関係とは法的地位または法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいい、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係に関する判断のみならず、理由中で示された事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断も含む(資料2)。後者には、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定および法律判断などをいう(資料2)。(以上旧説という。)
(以下新説)
 補助参加人自身の地位ないし利益(①)と、補助参加の対象となる訴訟との関連(②)から考える必要がある(資料3)。
 ①補助参加人に被参加人のための訴訟行為をさせることを通じて、補助参加人自身の地位をめぐる紛争を解決することを目的とする以上、その紛争も法律上の争訟性を備えたものでなければならず、具体的権利義務についての争いで、法令の適用で終局的に解決されるべきものを意味する。
 ②補助参加の対象となる訴訟との関連で考えるとは、そもそも判決主文中の判断や判決理由中の事実認定の判断が、後訴において影響力を有することは基本的にはないのであって、補助参加人たるべき者の法律上の地位と論理的関係を考えないかぎり、後訴の裁判官に対する関係で影響力を持つことはありえないのである。
 
 さて、こうした要件をZはXのYに対する訴訟においてXに補助参加することが出来るであろうか?まず、Xの請求に対してYは、電灯配線や照明器具については、すべて新しくなったと信じていた(注意義務は尽くしていた)と主張するであろう。
そうすると、この事実によってZは、建物所有者としての土地工作物責任を負う可能性が出てくる。XY間の訴訟の結果によって、この裁判所の判決理由中の判断の中で示されるZの責任の有無をもって、法律上の利害関係があるかということができるかという点(旧説)、あるいは新説によれば、Zの争訟性がまず問題となる。それは「補助参加人に被参加人のための訴訟行為をさせることを通じて、補助参加人自身の地位をめぐる紛争を解決することを目的とする以上、その紛争も法律上の争訟性を備えたものでなければならず、具体的権利義務についての争いで、法令の適用で終局的に解決されるべきものを意味する。」のであるから、争訟性については問題ないであろう。
 次に、旧説によれば、Zには、Xを補助する利益がある。けだし、Yの過失が認められれば、Zに責任が及ぶことはないからである。また、新説の基準では、補助参加の対象となる訴訟との関連で補助参加人たるべき者の法律上の地位と論理的関係を考える必要があるが、Yの責任の有無が、二次的に責任を負うとされるZの地位に影響を与えるので、補助参加の利益は肯定される。
 以上、いずれの考え方にたっても、Zには補助参加の利益があると言えることとなる。

2)と3)は訴訟告知の効果(参加的効力)に関する問題である。

2)A弁護士はZに訴訟告知することで、X敗訴の場合の裁判所の判断(責任はYにはなく、従ってZにある)の効力を、後訴における裁判において担保したいと考えているのであろう。もちろん、A弁護士はYもZも訴えるということも考えるであろう(主観的予備的併合)。しかし、主観的予備的併合には、異論もあるし、訴訟経済から見ても好ましいものとは言えない。

3)東京地判平成元年7・17は、電線が土地工作物に当たるから、との理由で訴訟告知を受けた場合において、電線は土地工作物には当たらないと裁判所が判断したとき、その判断には参加的効力は及ばず、従って、訴訟告知を受けながら参加しなかった被告知者との関係で、訴訟告知の効力は及ばない、とするものであった(資料5)。
 この判決(実体関係重視説に立つものと思われる)について、訴訟告知機会重視説からも肯認できるとの主張がある(資料6)。けだし、訴訟告知の効力は告知者が主張するもので、被告知者が主張するものではないから、告知者が当該訴訟で敗訴し、後訴において、その敗訴理由に基づいて被告知者に損害賠償などを求めることを予定したものであって、電線が土地工作物であるという前訴で敗訴したのと同じ理由で請求しても、訴訟告知の効力は認めることは出来ないと言うべきであるからである。
 さらに、誰が契約当事者だったかということが争点(択一的関係)となった事案にあって(資料2)YはYが買主であったというXの主張に対して反証をあげるために、Aが契約当事者であったと主張、証明するという関係にあるときでも、Yの訴訟参加の利益を認めることはできないと判断したのは誤りであるとの主張がある(松本博之)。松本氏が批判しているのは、「判決理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいう」との判示部分である。本件商品を買い受けたのはYであるとの、判断は傍論ということになってしまうからである(資料7)。
 さて、本問のA弁護士の主張の当否について検討しよう。
 前訴において電線は工作物であると判断したが、この判断は後訴において訴訟告知の効力を認められるであろうか?資料5の判決は、「電線は工作物ではない」と判断した場合にあっては、訴訟告知の効力は認められないとしていて、その理由として実体関係重視説にあっては、その判断は、訴訟告知において、そもそも参加的利益を有しなかったことになり、訴訟告知機会重視説からも、前訴で敗訴したのと同じ理由で請求しても訴訟告知の効力を認めることはできないとするものであった。では、その逆に「電線は工作物である」と前訴が判断したときは、どうであろうか?
 「判決理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいう」との関係は、成立するであろうか?電線は工作物であることが判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定ないし法律判断に当たるであろうか?
 この裁判所の判断は傍論にしか過ぎないのではないか。
 もちろん、こうした裁判所の参加的利益に関する一連の判断には批判も多い。しかし、すくなとも裁判所の見解に立つ限り、A弁護士の主張は認められないことになる。

Q2
1)
訴えの主観的予備的併合と共同訴訟
  訴えの予備的併合とは主請求が認められないときのために予備的請求をなすことをいい、このとき予備的併合の相手が主請求の相手とことなるとき、これを主観的予備的併合とよぶ。たとえば、主請求で契約の相手方本人に契約の履行を求めながら、この契約が代理人を通じてなされていて、無権代理の疑いがあるとき、自称代理人に対して請求(契約の履行ないし損害賠償)をする場合である。また工作物責任(民法717)では、第一次的に占有者、予備的に所有者が訴えの相手方となる。しかし、主観的予備的併合は最高裁の判例によって否定されている。  
 その根拠は予備的な被告の地位の不安定と共同訴訟としてしまうと、予備的当事者の審級の利益が奪われる可能性にあった。
 そこで41条で同時審判申出共同訴訟が立法されたが、ここでは予備的請求が予備的(条件的)地位を持つのでないため、両請求が同時に審判されるのにとどまることになった(当事者はそれぞれにえ対して矛盾する主張を訴訟で展開することになる)。
 同時審判申出共同訴訟の要件:法律上両立し得ない関係にある共同被告に対する請求について、原告が事実審の口頭弁論の終結時までにその旨の申出をなすことによって成立する(41ⅠⅡ)。
 問題は、YおよびZに対する請求が並存し得ない(両立しえない)関係にあるかであるが、土地所有者の責任は、工作物の占有者の責任が認められない場合の二次的なものであるから、両立し得ないといってよかろう。

2)資料8によると、Yの認諾はXZ間の訴訟に影響を与えない。そうするとXはYにもZにも勝訴することが可能となるが、それはYの認諾という処分権主義に基づくものである以上、やむをえない。

3)私権は次の通り:電灯配線が工作物に当たるかどうかは、法的判断であり、自白にはあたらない。それゆえ、電灯配線については、当事者の主張に関わらず法的評価をすることができるので問題とならない。
 これに対して、高見進氏の見解(資料9)は、①電灯線の配線が工作物に当たるとの供述の代わりに、Zが被告Yの代理人であると称している場合(YはZの代理権を争っている)に、YがZの代理権を自白した場合には、Yに対する請求が認容されてもZに対する訴えが消滅するわけではない。しかし、XがZの代理権の存在についての抗弁を自白したものとみなすことにより棄却されるべきである、と主張する。②逆にZの無権代理の自白があったときは、Zに対する請求が認容できるとしても、Yに対する主張を仮定的主張と考えて、同時にYに対して請求棄却の判決をすることは直ちにはできない。
 XがZの代理権不存在の自白(自認)をそれとして受け入れる場合には、XのZに対する無権代理の主張が確定的となり、それと矛盾するXのYに対する請求を棄却し、逆に、XがYに対するZの代理権の存在の主張を撤回しないのであれば、XのZに対する無権代理の主張は仮定的主張として維持され直ちに判決ができない、ということになる。
③Yが自白し、Zも自白する場合についても、高見氏は同様の議論をする。
 しかし、代理権の不存在の自白は権利自白が自白として裁判所を拘束しないのと同様に考えることで、そもそもこの問題は解決できると考えるべきである。もっとも結論において、高見氏の見解と相違するところはない。

4)同時審判申出共同訴訟にあっても、基本的には共同訴訟人独立の原則は維持されるから(資料10)、Yに手続中断事由が生じた場合でも、Zに関する訴訟手続は中断しない。しかし、同時審判の要請から事実上停止するべきものと考える。

5)





                     
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:17

残りのレジュメ 5

4)附帯控訴の問題である。附帯控訴とは、被控訴人によって控訴審手続においてなされる申立てで、請求について原判決を自己に有利に変更することを求めるものであるから、本件もこれに当たると解される。しかし、附帯控訴はそもそも不服の利益を前提としていなければならないとの立場からは、否定的に解されることになる。けだし、附帯控訴によって審判の対象がいたずらに拡張することになるからである。控訴審における訴えの変更(143条、297条)および反訴の提起(300条)の制限にしたがうべきものと解すべきである。それゆえ、請求の基礎に変更がないか(143,297)、相手方の同意(300)が要件となると解すべきである。もっとも、それでは、附帯控訴人の附帯控訴権を不当に制限すると批判されている。しかし、請求の基礎に無関係な事項についてまで附帯控訴を認めることは相手方の進級の利益を損なうので認められない。もっとも本件では、学資金返還請求権の相殺後の残額の支払い請求であるが、請求の基礎に変更はなくはなく、附帯控訴の手続だけでは足りず、同時に相手方の同意を要すると解すべきである。
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:17

残りのレジュメ 4

立証活動 unit.12
Q1
1)@Xは①Y社のB社に対する売却価格が適正なものでなかったこと、適正価格との差額を具体的に証明しなければならず、②そのために適正価格がいくらであったかについてまで、証明しなければならない。もっとも適正価格を正確に割り出すことは不可能であるとの見解もあり、その場合は、具体的損害額については、民訴法248条によることになる(後で検述)
 @Yには、いわゆる証明責任はなく、それゆえ相手方主張に対して反証活動をそれば十分であると一般的には解されてきたが、協働主義的訴訟観からは、真摯に反証活動、資料提供義務などがあると主張されるようになってきている。
2)@提訴前の照会、提訴前の証拠収集(文書の送付嘱託、調査嘱託、専門的な知識に基づく意見の陳述、執行官による現況調査)提訴後の照会・証拠収集(文書の送付嘱託、調査嘱託、文書提出命令)あるいは求問権を使い裁判所に釈明処分してもらう方法がある。
 当事者照会は、裁判所は関与せず、直接に当事者間で照会および回答がなされるところに特色がある。相手方当事者に対する強制力はないが、適法な照会に回答する義務はあると解され(双書:新版275頁)、正当な理由がないのに回答しなかったり、虚偽の回答をすれば、そのことにより増加した訴訟費用の負担を命ぜられたり(63条)、事実認定にあたってそのことが弁論の全趣旨(247条)として考慮されたり、弁護士である訴訟代理人がこのような態度をとれば弁護士倫理違反に問われる可能性がある(弁護士職務基本規定5・74・76)。
 専門的な知識に基づく意見の陳述は、建築瑕疵が争点となる場合にその瑕疵の補修費用についてあらかじめ建築士に専門的な知見に基づいて見積もりを嘱託すること、執行官による現況調査は、境界紛争について執行官によって当該境界の現況を調査しておくことの例などが想定される。
 文書提出命令は、第三者に対しても発することが出来るが、そのためには文書の所持者に文書提出義務(220条)が認められる場合でなければなあらない。一般に稟議書などのように自己使用文書は提出義務がないとされている(最決平成11.11.12百選79)
 @本件では、輸入穀物を他社よりも安価に売却して会社に損害を与えたか否かが争われているわけであるから、A会社がB会社に対して穀物の売価の決定のために社内手続のために作成された稟議書がまず問題となる。文書提出命令はA社によって自己使用文書であるとして提出を拒まれる可能性がある。当時の穀物の流通価格に関する調査嘱託については、次の問に譲る。
3)嘱託調査は裁判所が諸団体に嘱託するものであるから、その回答書は当事者の援用をまたずに証拠とすることができるが、証拠である以上、当然当事者に意見陳述の機会を与えなければならないから、回答書を当事者に示して意見陳述の機会を与えることとなる。
4)当事者が文書送付の嘱託の申立てを行った場合、裁判所に送付されてきた文書を当事者(申立人)が閲覧、これを証拠(書証)として提出することが予定されているものであるから、基本的には当然、閲覧謄写することができるものと解される。ただし、送付元が送付が不相当であるとか、その文書の一部の開示を拒む意思表示をしている場合には、裁判所は、この意思に反してまで閲覧・謄写を申立人に認めることはできないと解すべきである。

Q2
1)220条は1号から4号までに文書提出拒否できない事由を列挙しているが、4号は、1号から3号までに該当しない場合でも、イからホのいずれにも該当しなければ、文書提出を拒否できないと規定している。1号から3号は拒否事由できない一般的要件を列挙しているのに対し、4号は1~3号に該当しなくとも提出義務を免除されないと規定し、免除される場合を列挙している。結局、4号によると一般的に文書は1号―3号の提出義務事由に当たらなくとも、イからホの拒否事由に当たらない限り提出義務を負うという構成をとっていることになる。この構成をどのように考えるべきであろうか。
かかる構成が採用された歴史的経緯は、まず、1号から3号が旧法から存続し、新法により4号が追加され、一般提出義務の規定が加わったというものである。それゆえ、旧法時代は、3号後段の法律関係文書の解釈を拡張して提出義務の拡大を図っていたものが、その必要性(拡大解釈の必要性)はなくなったといえよう。
2)稟議書は自己利用文書か否かという問題である。最高裁は平成11.1.12の決定で稟議書を220条4号ニの自己利益文書と認定している。その理由として、稟議書が銀行が融資を行うか否かあの判断をするための材料(担保や利益の見込みなど)や担当者の意見を記したのが稟議書であるが、これを開示するとなると内部で忌憚のない意見交換ができなくなり支障をきたす。また、そもそも融資の決定までの過程でこうした自由な意見交換の場は必要であり、かつまたそのための文書は自己利用文書であり、提出義務を免れるというものであった。
3)稟議書であっても、特段の事由があるときは、自己利用文書には該当せず、文書提出義務を認めてよいのではないか、という問題である。
本件は、①株主代表訴訟であり、原告である株主は内部者で、いわば文書所持者と同視すべき者が、そもそも稟議書という、②内部の事務処理経過と責任の所在を明らかにするために作られた文書の提出を求めているのであるから、提出を拒む理由はない、との主張が成立する。
4)@文書提出命令の申立ては、文書の表示、文書の趣旨、文書の所持者、証明すべき事実、文書提出義務の原因を明らかにしてしなければならない(221条)が、文書の表示において、「A株式会社のB株式会社に対する売価の決定についての稟議書および関係書類一切」としたとき、稟議書以外の文書が果たして適正に表示されているか否かという問題である。監査調書について、最高裁は平成13.2.22決定において、監査調書として当該監査に係る記録または資料を整理し、これをその事務所に備え置くべきものと財務諸表等の監査証明に関する省令が定めていることを根拠に、かかる文書の表示(特定の会計監査に関する監査調書)を適法とした。売価の決定について、稟議書以外のいかなるものが、この関係書類に該当するか、会計監査の場合のように明確なものはない以上、稟議書以外の一切の書類との記載は不明確とのそしりは免れないかもしれない。また、内部文書であっても、提出義務があるとは認められない部分があることも、かかる記載による提出義務の認容を消極的にしている。
しかし、①社内文書の提出にあたって、それがいわば内部者である株主によるものであることからすると、社内文書であっても、提出の範囲は広く解されるべきこと、②しかしながら、社内文書はその性質上、日常的に社内にあって文書を作成する者のみしか知ることのできない文書もあることからすると、これを狭く解釈することは、本来文書提出命令が意図したところの、証拠の収集の趣旨に反することにもなりかねない。
結局、稟議書以外の文書については、売価の決定過程で関与が明らかなもの、稟議書添付書類など特定の範囲に属するものは、すべて提出の義務があると解すべきであろう。
@仮に「稟議書以外の一切の書類」では、不適当ということになるならば、申立人は、222条を用いて文書の所持者がその申立てに係る文書を「識別」することのできる事項を明らかにすればよい。223条①もそのように規定している。
@文書の中に「提出義務があるとは認められない部分」があるときは、裁判所はこれを墨塗りなどによって削除して提出するように命ずることに問題はない。
5)文書提出命令の申立てに基づいて裁判所が文書の提出を命ずる決定をしたとき、この決定に対して文書の所持人は抗告できるか、という問題である。改正法は223条①7号で決定に対しては即時抗告できると規定している。

Q3
1)立証負担の軽減については、証拠偏在型訴訟にあって、従来の証明責任の分担では、一方当事者にとって証明の負担が重い、という視点から発生した。情報偏在型訴訟とは、公害、薬害、医療過誤などである。
2)立証負担軽減の法理としては、過失の推認、一応の過失、証明責任の転換などがある。また、最近は証明度を軽減すべきであるとの理論も登場している。
3)248条については、
 以下に掲げる藤原論文はこの問題に対して新たな視座から証明責任と評価責任の問題を再考させるものであるので紹介しておこう。
 実は私、以前に大阪地裁の、主として交通事故損害賠償事件を専門的に取り扱う部で三年間勤務したことがありまして、来る日も来る日も損害とその額の認定・算定に頭を悩ましたことがございました。ところが、たまたま、この学会での報告をお引き受け致しました直後の昨年12月8日に、鶴岡灯油事件の最高裁判決が出まして新聞紙などにも大きく報道されました。この判決におきまして、最高裁は、ご承知のとおり、原告らの被った損害とその額の証明が尽くされていないという理由で、これを一部認容した二審判決を破棄しまして、原告らの請求を棄却する自判を致したわけでございます。

 われわれは事実が明らかになれば、その法的評価をするのは裁判所の責務と考えてきた。もちろん法的評価を裁判所がする過程で当事者はそれぞれの主張を展開することで、いわゆる主張責任を果たすことで裁判所にある程度の免罪符を与えていたということもできよう。損害は証明できても損害額の証明は困難といったとき、損害額も事実の問題とすることで事実に対する評価もまた、それが純粋に法理論構成上の問題――解釈の問題と表現すべきか――でないかぎり当事者に課せられた証明責任の問題でよしとしてきた。こうした構成に対して疑問が呈されたのは鶴岡灯油事件 が最初である 。

 藤本元裁判官はこの鶴岡灯油事件最高裁において割合的認定は当事者の証明活動によってなされるものであって、裁判官の責務ではない、と読める判決に衝撃をうけたということである。なぜなら割合的認定も損害額の認定の問題であるならば、損害額もまた事実認定の問題であると最高裁が判決で示したことになるからである。最高裁の判決によれば、割合的認定問題は、損害額の認定問題であり、それは損害額という事実証明の問題ということになるからである。それゆえ事実を証明できない者、その事実を証明する責務を負っている者がそれに成功しなければ不利益を受ける(事実がないと認定される)こともやむをえないと扱う、その扱いに衝撃を受けたということであろう。
 交通事故などにおいて被害者の過失や被害者の素因の事実もまた分かっている場合であっても、それをどの割合で過失相殺するか、日々悩んできたものが、それは証明責任ですませてしまえばよい、と言われてもそう簡単に納得できるものではない、と考えるのも無理からぬことである。
 そこで提唱されたのがドイツ民事訴訟法(ZPO)287条の規定にある考え方である。同条は次のように規定している。①損害が発生したかどうか、または、損害ないし賠償すべき利益の額がいくらかについて当事者間に争いのあるときは、裁判所は、一切の事情を斟酌し、自由な心証によって、その点について決定する。その点について証拠調をすべきかどうか、また、どの程度すべきか、さらに職権で鑑定を命ずべきかどうかについては、裁判所の裁量にゆだねられている。・・
 この規定について藤原元判事は、証明度の低減を含むものとの説を紹介しわが国においても証明度の低減が可能であると主張する。
 その根拠として①この規定が立法当時より損害額の立証が困難なことが意識されており、②実務でも慰謝料や逸失利益の定額化・基準化が進んでいるが、これも実は証明が困難なことを回避するための擬制であり、積極損害についても基準化が進んでいること、③裁量的算定をするといっても当事者に十分な主張立証の機会が与えられた上での裁量であるからでたらめなものとなる恐れはない、というものである 。
 また傍論ではあるが鶴岡灯油事件をZPO287条の下で損害額を考えると妥当な判決が得られると主張している 。
 そうして最後に新民事訴訟法248条がこのZPO287条の趣旨を汲んだ規定と解する余地があること、すなわち多数説はこれを証明責任の軽減を図った規定と解するのに対して、損害額の確定を裁判官の裁量に委ねることを許容した規定と読むことができる、としている 。

4)248条は、「損害の性質上その額を証明することが極めて困難であるとき」、「口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果に基づき」相当な損害額を認定することができるとしている。①損害の性質上の問題。証明が困難であることを裁判所は少なくとも疎明しなければならない。しかし、このことは、本問の質問事項ではないので、省略する。②相当な損害額を認定するには、弁論の全趣旨および証拠調べの結果に基づくことが必要である。口頭弁論の中のどの部分が、損害額の認定に係るかということについて、あるいは証拠調べのいかなる部分の結果が損害額の認定に影響しているかについて、裁判所はなんらの釈明をようさないであろうか。私見は肯定的(釈明が必要)に考える。そもそも損害額が、穀物の通常流通価格(これが算出できなければ、A社の平均売価など)とB社への売却額との差額を上回る賠償額を認定するには、それなりの釈明が必要であろうし、これを下回る場合には、それを下方修正する要因を示す必要があろう。 

判決効の客観的範囲と上訴の利益 unit15 
Q1
1)既判力とは、訴訟物に関する確定判決の判断に対して生ずる通用力ないし拘束力のことをいう(伊藤470)。前訴において、Xは所有権に基づく建物退去土地明渡、および平成15年12月以降の賃料相当損害金を請求し、裁判所も建物退去土地明渡は認容、賃料相当損害金については平成16年10月以降についてこれを認め、この判決は確定している。
「土地明渡しを求める再訴がなされた」とは、Xによる再訴であると解されるが、既判力の基準時移行に法律関係に変動がなければ、Xは所有権に基づく土地明渡を求めているものと解されるから、確定判決の判断は、再訴裁判所を拘束するから、前訴判決と異なる判断はできない。なお、Yが土地明渡を求めた場合も、前訴の訴訟物に関する判断と矛盾する判断は許されないから、同様となる。債権的請求をした場合はいかがか、という問題があるが、前訴判決でXに所有権があることが認められているので、それを前提に、たとえば債権的権利の取得の経緯などを争うことはできるが、この前提部分に反する主張はできない(もちろん既判力には時的限界がある)。
2)@前訴では、所有権に基づく建物退去土地明渡を求めた、とあるが、請求の趣旨において所有権確認の訴えもなされたとも、中間確認において所有権の確認がなされたとも記載がない。そこで、確定判決は主文に包含するものに限り既判力を有する(114条)との関係で、所有権は訴訟物を構成するか、所有権の帰属に関する裁判所の判断は既判力を生じさせるか、ということが問題となる。114条が、既判力の範囲を限定したのは、「大前提たる法規の解釈、適用は勿論、小前提たる法律事実に関する認定、その他一切の間接判断中に包含されるに止まるものは、たといそれが法律関係の存否に関するものであっても同条(114条)2項のような特別の規定ある場合を除き既判力を有するものではない」(最判昭和30.12.1資料1)とあり、結局、それは原告の請求の趣旨(黙示的表示でも足りる)において明確にすべきであるとされる。
そこで、本件のように所有権を前提に建物退去土地明渡を求めた場合に、所有権の帰属に関する裁判所の判断は請求の趣旨に黙示的に表示されていると解することができるか、が問題となる。前記判決はしかし、その傍論の中で物上請求権の場合には、所有権に関する判断は既判力を生じるとしており、私見もこれに賛成するものである。
@それでは、土地建物の所有権移転登記手続請求はどうであろうか?
 所有権移転登記請求権は、債権的に発生するものと、物権的に(所有権の基づく)発生するものがある。債権的に発生するとは、売買などにより所有権移転請求権が発生した場合であり、物件的請求の場合は、自身が所有権者であることを所有権の取得原因などから証明していくこと(承継取得ないし原始取得)があるので必ずしも訴訟物が一致するとは限らない。本件では、前訴が所有権に基づく建物退去土地明渡し、後訴が所有権移転登記請求権であるから、それが債権的なものであれば訴訟物は一致しない。
3)請求異議の訴えは、基準時以降の事象に関して争うものであるから、請求異議の前提となっている前訴判決とは別に、後訴判決が売買の解除は無効と判断したことが請求異議の訴えに対して既判力を有するかという問題である。ここでも訴訟物と基準時を基準に考えればよい。結論からすれば、売買の解除は無効との主張を請求異議の訴えにおいてすることは、問題となっている判決の基準時以降の事象でなければ許されないと解すべきである。けだし、これを許せば、後訴が前訴により遮断されないという既判力の問題を蒸し返すことになり適当でないからである。もちろんかように構成すると請求異議の訴えで遮断される判断の範囲(いわゆる既判力)が、通常の既判力の範囲よりも広くなってしまって整合性を欠くことにならないか、という問題が生ずる。しかし、判例の既判力の解釈が狭すぎて、現実的でないことに鑑みると、請求異議においては、これを緩和することも認めてよいのではないか。
4)訴訟物たる権利の存在自体を否定するのではなく、期限未到来で請求が棄却された場合には、既判力の客観的範囲は、判決理由中の判断を考慮して決定される。期限未到来の場合、主文に包含される判断は、請求権自体の不存在ではなく、請求権の消極的属性として、基準時において期限未到来のため請求をなしうる法的地位がない、というものである(伊藤487)。それゆえ、Xは改めて基準事後などの期限の到来などを主張して、再訴をなすことができる。解除の場合も、猶予期間の経過などを主張して訴えを提起することはできる。

Q2
1)いわゆる争点効の問題である。争点効とは、確定判決の理由中で判断された事項について、一方の当事者に、すでに前訴で決着がついたものとの正当な信頼が生じ、法の規範的要求として、その事項につき再度の応訴・弁論を強制し得ないと認められるときは、その理由中の判断に拘束力を認め、これに抵触する攻撃防御方法を提出しえないとすべきである、との前訴判決の拘束力のことをいう。本件では解除の攻撃防御がこれにあたる。
 争点効の根拠は信頼関係の保護という手続上の信義則にある。しかし、判例は争点効の法理を認めていない。
2)遮断効の問題である。既判力は、訴訟物についての前訴判決の判断の通用力である。解除の主張が訴訟物を構成していなければ既判力の射程には入らず、また、解除についてYが争っていなかったとき、争点効の射程にも入らないが、Yが後訴で解除の主張をすることは、解除については争わないとの相手方の期待を裏切る(決着期待型争点)ことになり、信義則違反になるのではないか、という問題である。
3)解除は有効との判決理由中の判断について、これを後訴で解除は無効であると主張できるかという問題である。争点効の問題であり、争点効理論を認容する立場からは、当然に遮断効が働く。Yが前訴において上訴しており、判決が確定していないとき、重複起訴の基準たる訴訟物に解除は含まれないから、遮断効ないし既判力は確定判決における訴訟物に関する裁判所の判断の通用力であり、確定していない判決において、これをもって解除の主張を認めないとすることはできないこととなる。
Q3
1)上訴の利益の判断基準には形式的不服説が通説・判例である。そこでは、上訴により原判決よりも有利(利益あるもの)に変更する可能性があるか否かの判定基準を上訴の趣旨と原判決の主文との比較で決しようとするものである。しかし、最近は新実体的不服説が有力に主張されてきている。新実体的不服説は、不服の有無を判決の効力により決定し、原判決を取消しておかないと判決効が不利に作用してくる場合にのみ上訴の利益を肯定するというものであり、全部認容判決では、訴えの変更や反訴の提起のための上訴はできないが(別訴によるべきである)、既判力その他の判決効により別訴ができなくなる場合には、
全部勝訴の当事者もまた上訴の利益を認めるべきであるとする。
 これを本件についてみてみると、Yは、土地建物の所有権が自己にあることの確認および、当該土地建物の移転登記請求およびCが交付した100万円の不当利得返還請求をしており、不当利得返還請求についてXの相殺の抗弁が認められて請求が棄却されたというものである。Xがこの判決に不服を主張するのは、相殺の抗弁ではなく、そもそも不当利得はなかったものとの判断を示されないと、別訴において、自動債権として供した債権の行使が困難となると考えたからである。相殺の抗弁を予備的に提出したのでなく(予備的であれば、不服の利益は当然認められる)、そのまま抗弁として提出した場合、相殺の判断は既判力を生ずるため(114条2項)、別訴ができなくなるからである。それゆえ、形式的不服説では、判決がXに有利に変更する可能性は否定されるが(もっとも相殺の抗弁はあくまで判決理由中の判断であり、これに既判力を認めたのは、別訴において自動債権の行使に制限をかけるためであって、上訴において、相殺の抗弁の撤回を認めないとするものではない、と解するならば、形式的不服説でも上訴の利益は認められるが)を否定新実体的不服説では控訴が認められるべきこととなる。
2)自白は、判決理由中の判断であるから、既判力を生じないので、これを控訴で撤回できる可能性はある。そうすると、相殺の抗弁のみ主張していた被告が、相殺を理由に勝訴した場合、改めて不当利得返還請求そのものについて、これを否定する判決を求めて控訴することはできるであろうか?新実体不服説によれば、相殺の主張を撤回し、自白もまた撤回することで、別訴において自動債権の行使が出来なくなることを回避することができる、と構成することができるであろうか。自白に関する判断は訴訟物を構成しないので、別訴においては自白せずに、自動債権の行使を求めることは、しかし相殺が既判力を有する以上できないと考えるべきであり、それゆえ、新実体説では、自白による場合も控訴できると考えることになる。これに対して形式的不服説では、控訴における自白の撤回による判決の変更は、相殺が予備的になされていない以上、不可能である。(もっとも先に述べたように、相殺の抗弁はあくまで判決理由中の判断であり、これに既判力を認めたのは、別訴において自動債権の行使に制限をかけるためであって、上訴において、相殺の抗弁の撤回を認めないとするものではない、と解するならば、形式的不服説でも上訴の利益は認められる)
3)差戻しをうけると、差戻審裁判所は、控訴審裁判所が原判決を取消した理由となった法律上および事実上の判断に拘束される(裁判所法4条:上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する)から、原判決取消しの判決に不服のある控訴人は、この判決に対して上告する利益を有する(資料9)。問題は、Xの不服理由が相殺権の不存在であるときも、不服の利益が認められるかである。けだし、原判決を取消した理由が、相殺権の存在を認めつつ、その行使に濫用がないかどうか、さらに判断を尽くすというものだからである。しかし、この取消し理由は、相殺権そもののは有効に存在すると認定しているので、この認定が下級審裁判所を拘束するとなれば、それは不服の対象となろう。そうすると上級審のした相殺権そのものの認定までもが下級審裁判所を拘束するのか、それとも、取消しの理由となったのは、相殺権の濫用の有無であって、相殺権そのものの存否の認定までも含むものではない、と解する余地もある。しかし、相殺権の濫用は相殺権の存在を前提としている以上、かような解釈は技巧的であり、法的安定性の要請にそぐわない。それゆえ、Xは上告の利益を有すると解すべきである。
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:17

残りのレジュメ 7’

補足です。
拙著『疫学的因果関係の研究』信山社2004第4編「鑑定をめぐる問題」参照:米国では鑑定をいかに裁判所が評価するかという問題について 、1993年のDaubert v. .MERRELL DOW PHARMACEUTIC判決(以下Daubert判決と呼ぶ)がそれまでの基準をほぼ否定するかたちで新たな基準を示している 。本稿では、このBendedectinに関連する一連の判決をとりあげることで鑑定の評価をめぐる米国での議論の紹介としたいと考えている。
Bendectineをめぐる事件はこの他にも多いが、原告が勝訴した場合もあれば(たとえば1989年のMr.&Mrs.Floyd BROCK v. Merrell Dow )製薬会社が勝訴したものもある(たとえばCarita RICHARDSON, Infant, by S. & E. RICHARDSON,Guardians,et al., v. RICHARDSON-MERRELL,INC.,
(1988) やSekou EARLY Y. et al., v. RICHARDSON-MERRELL(1990) )などがある。
米国では、このBenedectin事件以外にもサリドマイド、枯葉剤(Agent Orange)やアスベスト、DESなど大型の訴訟が因果関係をめぐって厳しく争われ 、そうしてその中心的争点がまさに疫学的因果関係と、それを根拠づける鑑定に関する問題であったといっても間違いではないであろう。その中でBendectinをめぐる判決は現在進行中の他の訴訟と比べ比較的コンパクトであるのに、争点が因果関係と鑑定に集中しており、判決も一転二転している点で興味深いものがある。サリドマイドやDESは因果関係が明瞭で、因果関係の存否をめぐる議論があまりなく、枯葉剤は和解で終了している点、また日本でいうところの行政訴訟であり、論点がそちらにずれてしまうものも多い。アスベストは現在進行中のものもあるが、企業の中には破産したものも多く、破産法廷という特殊な場での議論が問題を複雑にしている。
     
事件はBendectineという妊娠中の“つわり”を緩和させる薬で1956年にはFDAから認可を受けている。この薬はanti-histamine,  anti-spasmodic, vitamineB-6 各10mgからなっており、すでに販売中止されている。1977年、anti-spasomodicは成分から除かれたが、処方箋による販売は世界各国の薬局で行われ続けた。およそ2000万のアメリカ女性、世界全体では3300万人の女性が服用されたと推定されている。70年代には米国の妊婦の3分の2がこの薬を服用したものと推測されている。妊婦の約85%がつわりを訴えるといわれており、この薬がいかに普及していたかが伺われよう。また、この薬ほど調査され研究された薬はないといわれている。35以上の疫学研究が世界中で行われ、その中の初期のものには、いくつか統計上特定の問題を胎児に与えるとするものがあった。声帯変形、心臓欠陥などである。しかし、いずれもその後のより大規模な調査では、否定されている。1983年、製薬会社はこの薬の製造を中止している。製造中止の理由は保険費用の増加とされている 。
米国では3-5%の出産において新生児に異常(頭蓋骨や頭部の変形異常、口腔不整、視覚ないし聴覚の異常、脊椎の異常など)が観察されているという 。
こうした新生児の異常は、ダウン症やチューナー症候群(Turner Syndrome)のように遺伝的要因(およそ4000ほどの遺伝上の影響が確認されている。よく知られたもの色盲がある)によるものもあれば、妊娠中母体がウイルスに感染したためであったり、そのほか母体からの感染によるおものもある。これらのうち35%が環境によるものと推測されている。化学物質か放射能、アルコール、あるいは合法、違法の薬品などの影響である。裁判所に提出されたコホート研究ではBendectineの相対危険度はおおよそ1.1を示していた。
それでもBendectineが胎児にさまざまな障害を生じさせるといわれており、訴えた当事者らも、薬によって奇形が生じたとして訴えたものである。もし、この訴えが認められると全米で多くの被害者が賠償を請求することが予測される大型訴訟のひとつであった。ところが統計上、当該薬品を服用した母親から生まれた子と、そうでない子の集合の間で奇形が多発するとするような有為な差(5%)は発見されなかった。薬と奇形についてはその他に試験管(in vitroないしtest tube)、および動物実験(live)では、薬と奇形との間に因果関係があるとする原告側の鑑定結果が出されていた 。そもそもanti-hystaminが奇形の原因となることはすでに知られた事実である 。しかし、統計調査の有効性がこの事件では勝敗を決したようである。相対的危険度は2を超えていなければならない、というわけである 。
サリドマイドもしかし疫学調査では危険は発見されていなかったという事実 があり、本判決には批判も多い。
争点はそれまでのFrye v..United States判決 が示してきた鑑定を証拠として許容することの基準を連邦証拠規則制定後にあっても採用するか否かにあった。Daubert判決はFrye判決が示した基準を事実上否定し新たな基準を示した。ポイントは(①)「(かかる科学鑑定が科学における専門家の間で)一般的に許容されていること」というFrye判決の示した要件は連邦証拠規則の下における科学鑑定許容の必要的前提条件ではない、(②)鑑定人が証言することについて、すなわち、確かな根拠を有し、問題の解決に役立つものであることの判定は連邦規則によって裁判官に課せられている(Frye判決はこれを否定)、の二点にある 。
連邦裁判所は「事実審裁判官は、許容性の認められた科学的証言または証拠の全てに、関連性(relevant)のみならず信頼性(reliable)があることも保証しなければならない」 とし、連邦証拠規則702条に関連して事実審裁判官は「専門家証言が、(1)科学的知識(scientific knowledge)であり、かつ(2)事実認定が争われている事実を理解または判断するに役立つかどうかを判断しなければならない。この審査は、証言の基礎にある理論および方法が、科学的に有効(valid)かどうか、および、その理論または方法が争われている事実に適合しうるかどうかに関する予備的評価を伴う」とした。
Daubert事件で興味深いのは、この専門家証言を予備的評価するという点 にある。事件を受領(Admission)するか否かを、この専門家証言によって決定しようというのであるから、その門戸を極端に狭くすることにためらいがあったとしてもなんら不思議はないであろう 。Weinstein判事が枯葉剤訴訟(Agent Orange)において因果関係を肯定する鑑定をすべて排除してしまい、結局、被告である国の鑑定人の因果関係を否定する見解を採用することで事実上原告敗訴が決まってしまったという事情がある。これが激しい批判にあったことはいうまでもなく、この事件がDaubert判決の背景にはある 。(もっとも、その後、判決の行き過ぎを考慮してネオfryeルールといったものを提唱するむきもある。詳しくは後述参照 )
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:17

残りのレジュメ 3

事実認定の起訴 unit.11
Q1
1)Xは甲地の引渡しと、所有権移転登記手続きを求めているので、物権的引渡しも物権的登記請求権も構成しうるが、かかる権利の発生原因を考えると、これを抱含する売買に基づく債権的登記請求権および債権的引渡し請求と構成することが適当と考える。それゆえ、売買契約を締結したとの事実が請求原因事実となる。
2)@「文書の真正」とは、書面がその作成者と主張される者、あるいは書面に作成者の記載があればその者により作成されたものであり、作成名義を偽って作成された偽造あるいは変造されたものでないことをいう。ちなみに「作成された」とは、本人の直筆によるものであることを要せず、代筆であっても、作成者の意思によるものであるかぎり、真正な文書である(伊藤説)。もっとも通説はこれに加えて①文書作成者の特定、②挙証者による作成者の主張が必要であるとする。また、作成者確定説は、通説のあげる三つの要件(①文書作成者の特定、②挙証者による作成者の主張、③作成者の意思に基づくこと)のうち②の挙証者の主張する者がその文書の作成者であることは必要でないとする。
@売買契約書の真正を基礎づける事実とは:文書成立の真正については、228条が、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定す」と規定しているところから、署名または捺印が、本人又は代理人の意思に基づいてされたことが必要である。この本人または代理人の意思に基づいてなされたか否かについて、これを覆すのに、反証で足りるか、それとも本証まで要求するかで学説は対立しているが(証明責任をどこまで要求するかという問題である)、私見は反証で足りる(ようするに本人又は代理人の意思ではないかもしれないという心証を裁判官に与えればよい)と考える。そうすると、甲第一号証には、XおよびYの証明・印影があり、両者とも本人のものであることが認められたのであれば、YはそこにYの意思の不在を推認させるような事実(Yの意思の不在の証明ではなく、反証程度のもの)を提出しないかぎり、文書の真正は基礎づけられていることとなる。
3)文書成立の真正の認定は、本人又はその代理人の署名または押印があり、その印影および署名が本人または代理人の印章の印影と確認され、署名も証言などにより本人又は代理人の署名と確認できれば、①文書作成者が特定され、②挙証者による作成者の主張は、反証のない限り排斥され、③文書の名義人の意思に基づいて作成されたことが(反証のない限り)推定される。もっとも文書成立の真正とは「書面の作成がその作成者と主張せられるものにより作成されたもの」であることを認定するものであって、文章の内容が真正であることを認定するものではない(最判昭和27.11.208資料))
また捺印に関しては、文書中の印影が本人又は代理人の印章と同一の印影であることから、本人又は代理人が捺印したことが推定され、文書成立の真正が推定されるという段階を踏むため、二段の推定と言われる(最判昭和39.5.12資料4)。
もっとも本件のように反証として、捺印は本人がしていない、との主張があるときは、次のように考えることとなる。
 印章を預けていたり、盗用したとの主張があるとき、印影が本人の意思に基づいて検出された旨の推定は、事実上の推定*にとどまる(資料6)から、不自然なケース、同居人がいて、この者が印章を自由に使用できる状況があった(判例(9)教科書218頁)とか、本人が1年を通じて出稼ぎに出ており、留守を預かる妻に捺印を指示したと推定させるような事情もないとき(判例10)、推定は働かない(反証により覆る)ものと解される。
 
*捺印に関する推定は事実上の推定である(自由心証にもつづいて事実認定を行う裁判所が主体となって行う)。事実上の推定が成立するかどうかは、証拠および間接事実の証明力ならびに経験則の蓋然性との間の相対的関係によって決定される(伊藤336頁)。

4)売買契約書の真正は、売買契約そのものの成立を証明するものではないが、売買契約における要件事実であるところの意思の合致を強く推認させる。契約書そのものの真正は、事実としての契約の成立そのものではないが、通常、事実上の推定として、契約の成立を推認させるのである。Bが押印したとしても、Bに代理権がある場合もあるので、一概に真正が否定されるわけではない。しかしBに代理権がなければ、文書は偽造であり、真正は否定される。
5)@Cの証言によればBが契約書に押印した可能性が疑われる。また、Bが経理担当として会社の印鑑を保管していた、ないし印鑑を盗用することが可能であったことが推認される。Cは本件について、利害関係がなく、しかし不動産取引の経験が豊富なことから、その証言には高い信憑性を与えてよい。
BはXとも面識があったというのであるから(この点についても調査することで私的な付き合いがあったか否か:Bは否定しているが:などが明らかになるであろう)、Xとは長い付き合いであったというのであるから、Xに懇請されて契約書を偽造した可能性もある。しかし、Bの証言によれば、BはYの実印や社長印に触ったこともないというのであるから、印鑑の管理の状況を確認することで、印鑑盗用の可能性が変わってくる。
@そこで、X,YそれぞれはB、Cに次のような事実を聞くべきことになる。Cに対しては、Cが本件につき利害関係がないかを確認する。Bに対しては①印鑑の保管場所を認知していたか、無断で使用できる状態であったか否かなど、②BはXと仕事外では付き合いはない、と言っているが、仕事上ではどうか。Xに何か懇請されたこと、融通したこと、されたことなどがないか。

6)契約書が真正に成立したとしても、ただちに売買契約の成立を認定できるわけではないが、契約書の真正は契約の成立を事実上推認させるから、これに反する事実の主張がなく、他の状況とも矛盾しないかぎり、売買契約の成立を認定できる。

Q2
1)売買契約書は作成されなかったという前提で考えてみると、①の融資の打診は購入の意思を推認させる事実であり、②の手付金の振込みは、契約そのものの成立を推認させる間接事実であり、③の融資の申し込みもまた、売買契約そのものの成立を前提としたものであるから、契約の成立を推認させる、④Xが抗議した、「話が違う」という発言からXは少なくとも売買契約が成立していた、あるいは成立寸前であったと推定される。
 問題は売買契約の対象、成立の時期および価格である。対象については、銀行融資に際して甲地を指定しているなら、甲地であることを推認させる資料となる。時期については、2月28日の手付金の振込みは、手付けが成約手付けであるか否かに関わらず、振り込んだ日に契約が成立したことを推認させる。価格に関しては、融資に関して1億までなら可能とのDとのやり取り、Xがその後、1億の融資を申し込んだ事実から、価格が1億円と推定することはできるであろうか?否定的に考えるべきである。銀行融資は通常、購入価格の8割とか、あるいはそれ以下というように、割り引いて融資されるのが通常であるからである。
2)間接推認型という。売買契約書の真正から売買契約を推認するのは、売買契約が契約書の真正によって経験則上推認(事実上の推認)できるのに対して、間接推認型では、間接事実を積み重ね、総合し経験則から判断するものである。間接推認型では、いかなる間接事実をどれくらい総合し、判断したら要証事実を推認できるかということについて、一般則はない。ケースバイケースで判断するしかないため、評価が分かれることが多い。
3)間接推認型の場合、数個の間接事実を総合すると、その限りでは要証事実を推認できる場合であっても、他方において、推認を動揺させるような間接事実(これは間接反証ではなく、いわば(相手方にとっての)別個の主張に関する間接事実)があるとき、これらをあわせて考えると要証事実を推認できない場合があり、まさしく本件がそれにあたる。
@不動産の売買契約が時価によることが経験則であれば、そもそも甲地の売買契約は間接事実を総合しても経験則上推認できないことになる。
4)これを間接反証と呼ぶべきかについては、見解が対立している。けだし、2aからdは、相手方の主張する(本証)事実を推認させる間接事実だからである。
5)2aおよび2dのような事実は、それが証拠の優越の程度の心証にしか達しないとき、これを要証事実の認定をぐらつかせる事実(従来の説でいうなら間接反証事実として)構成すべきか、という問題である。「非常に興味を示した」とか「そのまま電話を切ってしまった」といった事実は、果たしてXの主張する甲地の売買があったとする主張を推認することを妨げるものであろうか?2dについては、抗議のとき「電話を切った」という事実(しかも証拠の優越にとどまる)というとき、かような事実があったとしても、X主張の事実があったことと大きく矛盾しない。また、「非常に興味を示した」「電話を切った」という事実を証拠の優越の程度で認定してしまうことは、Yが本来、証明しなければならない事実(本証)の証明責任を緩和する結果になるので認められないと考えるべきであろう。
6)一般的に資金繰りに困っていたという事実が、土地の売却を推認させる間接事実か、というと、必ずしもそうとは言えない。土地は売却しなくても、抵当権などを設定すれば足りる場合もあり(銀行などの金融機関から融資を断られたとあるが、土地を担保に提供することを拒んでいたのかもしれない)、債権者たちから法的手段も辞さないと、言われていたとしても、マンション等を処分すれば足りることである。甲地を手放す意思はなかったことも考えられるからである。また、甲地を売却するにしても、出来るだけ高価で売却しようとすれば、Xに売却しようとしたことにはならない。
 もちろん間接事実は総合的に判断するものであるから、⑤の事実に加え、上記のようなこれを否定する可能性が極めて小さいと解されるような事実を捕捉していけば、その他の事実と総合して、肯定的に解釈することも可能であろう。

Q3
1)売買契約成立の事実は、直接事実であり、売買契約書は直接証拠である。売買契約書の真正の争いは補助事実であり、この真正に関わるCおよびBの証言は補助事実に対する間接証拠を構成する。Ⅱの1の①から⑤は、売買契約の事実を推認させるための間接事実に関わる間接証拠である。Ⅱの2のaからdは、Yの主張する乙地の売買についての本証における間接事実(間接証拠)であるとともに、X主張の事実を疑わせる間接証拠(旧来の表現では間接反証のための証拠)である。
2)@Xのストーリーでは、Yは丙地に建設したマンションの建設資金の支払に困り、Xに甲地を1億円で売却した。Xはこの契約の内容はXはYに2月28日に手付金1000万を支払うというもので(Xは実際にYの銀行口座に振り込んだ)残金は所有権移転手続と同時に支払うこと、所有権移転登記手続きの日は3月25日とする、というもので28日XYともに署名捺印した。Xは甲地を購入する資金を融資してもらう目的で銀行に問い合わせ、銀行もこれに1億の融資を大丈夫だろうということで、早々に融資を申しこんだ。ところが、うわさでYが甲地をZに売ることにしたと聞いたので、Aに電話したところ「甲地はzに売ることに決まった」といわれ、「話が違う」と抗議しても取り合わなかった。
 Yのストーリーはかかる売買契約は存在せず、Yの経理担当者BがYの印鑑を盗用して契約書を作成したもので、この作成は、Cによって目撃されている。その前後、YはXにZ地を見せたところ非常に関心を示した。YがXに乙地を1億円で買い受ける旨の売買契約が2月28日に成立し、同日XはYの口座に手付金の1000万円を振り込んできた。3月14日甲地はZに1億3000万で売却することが決まった。3月20日Xより抗議の電話を受ける(話が違う)などなど・・・。
 @Xの主張するストーリーが事件の真相だということに認定されると、C,の証言の証拠力は否定されたことになり、Bの証言の証拠力は肯定される。売買契約書は真正が確認されるであろう(契約書をの真正を確認しないで売買契約の成立を認定することもある:契約自由の原則)。
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:10

残りのレジュメ 2

口頭弁論との接続
争点整理手続を経た事件については、その終結後における最初の口頭弁論の期日において、直ちに証拠調べをすることができるようにしなければならないので(規101条)、裁判所は、証拠決定(証拠の申出に関する裁判)を弁論準備手続の終結する期日までに(170条2項)、またはその後の最初の口頭弁論期日の前に行う必要がある。
弁論準備手続は、口頭弁論手続ではないので、その結果を口頭弁論において陳述することが必要であり(173条)、陳述されたことのみが裁判の基礎資料となる。結果陳述であるので、各当事者の最終的な主張内容を報告すれば足り、その報告は一方の当事者がなせば足りる。報告をなす当事者は、両当事者の最終的な主張の全体を報告すべきであり、自分に都合のよい部分のみの報告は許されない。弁論準備手続において各当事者に要約書面を提出させ(170条5項・165条2項)、その要約書面に基づいて結果陳述するのが通常となろう。その後の証拠調べによって証明すべき事実、すなわち、当事者間に争いのある事実が何かは、必ず明らかにしなければならない(規則89条)。これらの陳述は、口頭主義・公開主義の充足の意味を有する。受命裁判官が手続を実施した場合については、直接主義の形式的補充の意義もある[1]。
2.3 書面による準備手続(175条-178条、規則91条-94条)
これは、当事者が裁判所から離れた地に住んでいるとき、病気等により裁判所に出頭することが困難であるとき、その他裁判所が相当と認めるときに、当事者の出頭なしに、準備書面の提出等によって争点および証拠の整理をする手続である(遠隔地に居住する当事者にとっては、時間と費用の節約になる)。この手続を実施する場合には、裁判所は、当事者の意見を聴かなければならない。
この手続は、期日を開かずに争点整理を行うので、経験豊富な裁判官が実施する必要がある。そこで、手続主宰者は、裁判長(または、構成員全員が経験豊富であると期待される高等裁判所においては、受命裁判官)とされている(176条1項)。争点整理の具体的な方法としては、次の2つが認められている。
•準備書面の提出  これが基本的方法である。裁判長等は、準備書面提出期間や証拠申出期間を定め(176条2項・162条)、期日外釈明を行う(176条4項・149条、規則92条・63条)。
•裁判所と当事者双方が音声の送受信により通話する方法による協議(176条3項・規則91条)  協議の日時は、手続を主宰する裁判長等が指定する(規91条1項)。協議日は期日ではない(裁判所と当事者が一定の日時に一つの場所で会合するわけではないからである)。したがって、書記官が立ち会う必要はない。しかし必要があれば、書記官を立ち会わせて協議結果を記録させることができ(176条3項後段)、記録方法として調書(期日外調書)を作成することもできる(規91条2項)。その後の口頭弁論において当事者が主張することが確実な重要な陳述等は、調書に記載するのが現実的あろう([最高裁*1997b]170頁)。協議にあたっては、通話者の確認が重要である(規91条3項・4項・88条2項)。
裁判長等は、準備手続における争点および証拠の結果を要約した書面の提出を当事者に提出させることができる(176条4項・165条2項)。
当事者が準備書面の提出等を懈怠した場合には、この手続は、120条により取り消される。手続を終了させて当事者に説明義務を課すことは、この手続の例外的性格を考慮すると適当でないので、166条の準用を認める規定は置かれていない([伊藤*1998a]237頁)。
口頭弁論との接続
当事者の出頭なしに行われる整理手続であるので、要証事実の確認は、この手続終結後の口頭弁論期日においてなされる(177条)。整理手続終了後の新たな攻撃防御方法についての説明義務は、次のいずれかの時点で生ずる(178条)。
•争点および証拠の整理結果の要約書面が口頭弁論において陳述された時点(176条4項・165条2項)  条文上は「要約書面の陳述前」に提出できなかった理由を説明すべきことになっているが、「要約書面の作成前」に提出できなかった理由を説明すれば通常は十分であろう。
•口頭弁論において要証事実の確認がなされた時点(177条)
2.4 まとめ
準備的口頭弁論弁論準備手続書面による準備手続
手続の実施が予想される事例 社会に与える影響の大きい事件など、公開の必要性の高い事件当事者の双方または一方が裁判所から離れた地に住んでいる場合など
整理の場・方法 口頭弁論(公開法廷)弁論準備手続(法廷のほか、裁判官室・和解室等でもできる)準備書面の交換
整理手続開始についての当事者の意見聴取 必要(168条)
必要(175条)

手続主催者 裁判所(165条)
裁判所(170条)または受命裁判官(171条)裁判長。高等裁判所においては、受命裁判官も可能(176条)。

公開 一般公開限定公開(169条)

出頭 現実出頭(通信出頭は不可)当事者の一方が現実出頭の場合に、他方の通信出頭の余地あり(170条3項)
現実出頭はない。通信による協議(176条)

訴えの取下げ、請求の認諾・放棄、和解 できるできる。
当事者の手続懈怠 終了原因となる(166条)
同左(170条5項)

要約書面の提出 手続終了時に提出(165条2項)
同左(170条5項)同左(176条4項)

要証事実の確認 準備的口頭弁論終了時に確認(165条1項)
同左-弁論準備手続終結時に確認(170条5項)口頭弁論の期日に確認(177条)

口頭弁論期日における結果陳述 必要なし必要(173条)
弁論を新しく始める
整理後の攻撃防御方法の提出に対する制裁 説明義務(167条)
同左(174条)
説明義務(178条)


「同左」とあるのは、左のマスに挙げられた規定の準用を意味する。
1)@争点整理手続の目的と機能:(東京海上火災保険株式会社 企業損害部提供)争点整理手続とその後の集中証拠調べを軸とする集中審理
目的: 裁判においては、訴訟の早い段階で事件の争点(証明すべき事実)を明確化し、その争点に的を絞って集中的に証拠調べを行うことが、適正かつ迅速な紛争の解決につながる。旧民訴法では、このような争点や証拠の整理手続に関する規定が十分でないため訴訟に時間がかかりすぎると批判されていた。
機能:新民訴法では、従来の口頭弁論中心主義から争点整理手続中心主義へと転換することにより、早期に争点および証拠の整理を行って立証の対象となる事実(証明すべき事実)を明確化し、これに的を絞った集中的な証拠調べを行うなどして充実した内容の訴訟審理を迅速に行うことができるようにした。
@準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続のそれぞれの役割の差異は:
①準備的口頭弁論を実施するか否かは、裁判所の裁量に委ねられている。他の争点整理手続と異なり、公開法廷における口頭弁論の一部として実施されるので、実施に当たって当事者の意見を聞くことは必要ない。社会に与える影響の大きい事件など公開の必要性の高い事件の争点整理は、この手続によりなされる必要性が高い。
②弁論準備手続(168条以下)これは、当事者が事実と証拠を提出して、争点と証拠の整理を行う対席・限定公開の手続である(168条・169条)。この手続は、口頭弁論そのものではないが、口頭弁論に関する規定の多くが準用されており、口頭弁論に準ずる手続である。弁論準備手続は、裁判所が行うほか、受命裁判官に行わせることもできる(171条)。弁論準備手続は、口頭弁論手続ではないので、その結果を口頭弁論において陳述することが必要であり(173条)、陳述されたことのみが裁判の基礎資料となる。結果陳述であるので、各当事者の最終的な主張内容を報告すれば足り、その報告は一方の当事者がなせば足りる。報告をなす当事者は、両当事者の最終的な主張の全体を報告すべきであり、自分に都合のよい部分のみの報告は許されない。弁論準備手続において各当事者に要約書面を提出させ(170条5項・165条2項)、その要約書面に基づいて結果陳述するのが通常となろう。その後の証拠調べによって証明すべき事実、すなわち、当事者間に争いのある事実が何かは、必ず明らかにしなければならない(規則89条)。これらの陳述は、口頭主義・公開主義の充足の意味を有する。受命裁判官が手続を実施した場合については、直接主義の形式的補充の意義もある
③書面による準備手続は、これは、当事者が裁判所から離れた地に住んでいるとき、病気等により裁判所に出頭することが困難であるとき、その他裁判所が相当と認めるときに、当事者の出頭なしに、準備書面の提出等によって争点および証拠の整理をする手続である(遠隔地に居住する当事者にとっては、時間と費用の節約になる)。この手続を実施する場合には、裁判所は、当事者の意見を聴かなければならない。 この手続は、期日を開かずに争点整理を行うので、経験豊富な裁判官が実施する必要がある。そこで、手続主宰者は、裁判長(または、構成員全員が経験豊富であると期待される高等裁判所においては、受命裁判官)とされている(176条1項)。
2)@Cの傍聴について:限定公開とした趣旨をどう捉えるかで、169条2項の裁判所が相当と認めたときの解釈がことなってくる。物理的障害がないかぎり(裁判は公開の原則があるから)傍聴を許可すべきであるという見解がある一方、当事者の萎縮など心理的障害も考慮してよいという見解がある。弁論準備手続は準備手続であって、口頭弁論ではないから、一定程度の限定は差し支えないというのが根拠である。本問の場合はいずれの見解に立っても障害はなく妥当であったと考える。
@準備的口頭弁論を終了するに当たり、その後の証拠調べにより証明すべき事実を当事者との間で確認する。続いて、証拠調べ(特に当事者尋問・証人尋問)がなされる。証人および当事者の尋問は、できる限り、争点整理後に集中して行うべきである(182条)。交互面接は169条1項の規定からは禁止されていないが(双方が立ち会うことができる期日にて行うとあり、立会権を放棄することを妨げるものではない)、しかし、交互面接をしなければならない合理的理由がある場合が果たして存在するであろうか?
3)@準備手続が終了すると、要約書面の提出、要証事実の確認がなされ、整理後の攻撃防御方法の提出には制裁(新たな攻撃防御方法を提出するには、そのことについて説明しなければならなくなる(174条)がある。この説明に合理的理由がないとき、新たな攻撃防御方法の提出を時機に遅れた攻撃防御方法として却下することが出来る(157条)と解され、これが事実上の抑制措置となる。
4)弁論準備手続は、口頭弁論手続ではないので、その結果を口頭弁論において陳述することが必要であり(173条)、陳述されたことのみが裁判の基礎資料となる。弁論準備手続終了時に、要約書面を提出しなければならない(170条5項)のはこのためである。要証事実もこのときに確認される(170条5項)。しかし、こうした文書・行為は、両当事者の最終的な主張の全体を報告すべきであり、自分に都合のよい部分のみの報告は許されない。弁論準備手続において各当事者に要約書面を提出させ(170条5項・165条2項)、その要約書面に基づいて結果陳述するのが通常となろうし、要証事実の確認も、その後の証拠調べによって証明すべき事実、すなわち、当事者間に争いのある事実が何かを、明らかにするためのものである。それゆえ、Xが提出した「弁論準備手続報告書」は、この類の文書であるか否かで評価は分かれる。
問題は、弁論準備手続期日において、参加者の発言が記録され、その発言を証拠としようとする行為である。要約書の提出の制度趣旨にそうものではないし、弁論準備手続の制度趣旨にも沿わない。けだし、弁論準備手続きは法廷という公開の場の外で、弁論の準備のために、争点を整理するためのものであって、それゆえ、そこにおける当事者や裁判所の発言は、争点の整理に向けて自由な立場で、様々な可能性を探るものであって、こうした場において発せられた中途段階における発言が、後に証拠として提出することが認められることになれば、準備手続の趣旨を反故にしかねないからである。
 それゆえ、これを証拠として採用した裁判所の措置は妥当とは言えない。
Q3
1)攻撃防御方法の提出時期については法定序列主義、随時提出主義から適時提出主義へとその根本思想が変遷している。現在は、訴訟の進行状況に応じて適宜提出しなければならない、とする考えが採用されるようになった(156条)。この適宜提出の担保のために、①争点整理手続、集中証拠調べなどの特別な制度を選択することができ、ここでは攻撃防御方法の提出期間が設定されうるとし、②控訴審でも攻撃防御方法の提出の期間を設定することができ、③時機に遅れた攻撃防御方法は、却下も可能とした(157条1項)。④釈明に応じない攻撃防御方法は却下されうるし(157条2項)、準備手続を経た場合は、準備手続に提出せずして口頭弁論に提出するときは、相手方の求めによりにその理由を書面で説明しなければならない、などの担保を設けている。
攻撃防御方法の提出時期の極端な序列づけは、当事者の攻撃防御の機会を奪うことになって手続的正義にも反するが、かといってまったく制限しなければいたずらに訴訟を遅延させる目的、駆け引き、不意打ちなどによって、攻撃防御の方法を濫用するなどの弊害が生じる。
2)157条の規定の趣旨は、①訴訟遅延の防止にあり、②この遅延が攻撃防御方法の提出をつかってなされることをできるだけ、防止しようとするものであり、③それゆえ、攻撃防御方法が時機に遅れて提出された場合に、それが故意もしくは重過失による場合は、④申立てまたはあ職権で、これを却下することができるとしたものである。
3)弁論準備手続は弁論ではないから、攻撃防御方法の提出について、157条の規制を受けない。すなわち、弁論準備手続において攻撃防御方法を提出しなければならない、という根拠は157条からは演繹できない。しかし、そもそも弁論準備手続は、争点整理手続であり、口頭弁論の期日外ですることができる裁判を弁論準備手続でなすことが認められた理由は、それをなす必要性の高い裁判(弁論の準備と密接に関連する裁判など)が多いからである。そこで174条において、準備手続において提出されなかった攻撃防御については、提出ができなかった理由を説明しなければならない、としたものである。
4)問題は故意または重過失により、攻撃防御方法の提出が遅れてなされたか否かである。①の大蔵省銀行局長通達は、法律の解釈に関するものであり、この提出によって訴訟がいたずらに遅延するものとも思われない(もっとも相手方の反論を準備するためさらに口頭弁論を開くとなると遅延するともいえなくはない)。純粋な法律上の陳述であっても、攻撃防御方法である(攻撃防御方法とは、本案の申立てを基礎づけるために提出する一切の裁判資料をいい、法律上の主張も含まれる:大学双書3-2-12)。
また、かかる攻撃防御は、通達の存在を知りながらあえて主張しなかったという故意は認められないであろうし、またかかる通達の不知が重過失を構成するものとまでは言えないであろう。よって私見では、却下する理由はないものと考える。
5)次に②の暴力団風の男の問題であるが、この男の存在は当事者照会の中にすでに現れており(もっとも相手方はこれに答えていない)、当事者がかかる男の存在を口頭弁論において主張・立証することを失念したことが、故意または重過失を構成する可能性がある。もっとも、この男の存在については、設問のように証人尋問前には明らかになっていなかったというのであれば、故意、もしくは重過失を構成することはない。もっとも、かかる主張・立証が新たな訴訟物を構成すると考えられるので、一概に却下するのは適当でない、ということはできない。
6)当事者の審判の請求は、そもそも①取引経過の開示義務を被告が拒み、②原告は適時に債務整理の手続を行うことができず、③よって精神的苦痛を被ったというものであるから、強引な取立てにより精神的苦痛を被ったという新たな攻撃防御の主張とは、相容れないものである。そうすると、新たな攻撃防御の申立ては、その実、新たな訴訟物の追加を意味するが、それは本来、訴えの追加的変更によってなされるべきものである。訴えの追加的変更は:
訴えの変更
     定義:訴訟係属中に、請求の趣旨もしくは原因またはその双方を変更することによって、申立事項の同一性や範囲を変更することをいう。
     制度趣旨:当初の訴えが紛争の解決に不適切であることが判明したとき、申立事項を変更することを認めるもの
     訴え変更の態様:ⅰ)請求の範囲のみ変更する場合(請求金額のもの増減など)①請求の拡張については反対が少ない(例外伊藤)②請求の減額は一部取下げか一部放棄とみるかで学説が対立。ともあれ訴えの変更ではない。
       ⅱ)請求の同一性の変更:訴訟物理論により見解が対立
        ①追加的変更は、旧請求を維持しつつ、新請求を追加する(土地所有権の確認に明渡しを追加)単純併合、予備的併合、選択的併合に分かれる。
         ②交換的併合は、旧請求に代えて新請求の審判を求める場合で(たとえば特定物の引渡請求を、填補賠償請求に変更する)判例は、訴えの追加的変更と取下げの組み合わせとみる。この判例に対しては、学説(多数)は、旧請求の審理結果を新請求の審判に利用できず、時効中断の効力も引継がれることの説明ができないと批判する。
      訴え変更の要件:ⅰ)請求の基礎に変更がないこと。社会生活上同一または一連の紛争に関するもので、両請求(変更前と後の請求)が主要な争点を共通にし、従前の訴訟資料が流用できるのであれば、「請求の基礎に変更がない」と言える。たとえば売買代金の支払い請求が無効と判断される場合に備えて、目的物の返還請求を予備的に追加請求する場合である。また所有権確認請求に、そのものの引渡を請求する場合もこれにあたる。被告に対する不意打ちを防止するための要件であるから、被告の同意または異議なき応訴があれば、この要件は控訴であっても(審級の利益を放棄していると解されるので)不要である。被告の陳述した事実をもとに請求を変更する場合も被告の同意は不要である(請求の基礎が同一でなくとも被告に不意打ちによる不利益はないから防御目標の不当な変更を強いることにはならない。
ⅱ)事実審の口頭弁論終結前であること。
ⅲ)著しく訴訟を遅延させないこと(143条1項但)。
ⅳ)交換的変更の場合は被告の同意が必要。        。
           旧請求の訴訟資料は新請求の資料となる。
143条1項但書によって著しく訴訟を遅延させないこと、という要件があり、本件はこれにあたるものと解される。そこで、157条1項による却下は可能であるものと解する。こう解しても、原告は別訴において損害賠償を請求しえるので、なんら不都合はない。
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# by civillawschool | 2006-07-06 12:09



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