大学院民訴レジュメ

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同時審判申出訴訟と補助参加 unit.20

 補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に(法律上の)利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度で、被参加人の行為に抵触(矛盾)する行為、不利益となる行為(たとえば自白)をすることはできないし、自己の固有の請求も存在しない。補助参加人のなす行為は被参加人の援用をまたずに被参加人の行為として扱われる。
 例:債権者から連帯保証人(保証人も可)に対する訴えに主債務者が(連帯)保証人に補助参加する。
 補助参加するためには訴訟の結果に対して利害関係が必要であるが、そこにおける利害関係とは、訴訟の結果に論理先決関係がある場合である。

Q1
1)補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に(法律上の)利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度である。
 補助参加については、旧説による基準と新説による基準がある。
補助参加するためには訴訟の結果に対して利害関係が必要であるが、そこにおける利害関係とは、事実上の利害関係では足りず、法律上の利害関係でなければならない(資料1)法律上の利害関係とは法的地位または法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいい、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係に関する判断のみならず、理由中で示された事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断も含む(資料2)。後者には、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定および法律判断などをいう(資料2)。(以上旧説という。)
(以下新説)
 補助参加人自身の地位ないし利益(①)と、補助参加の対象となる訴訟との関連(②)から考える必要がある(資料3)。
 ①補助参加人に被参加人のための訴訟行為をさせることを通じて、補助参加人自身の地位をめぐる紛争を解決することを目的とする以上、その紛争も法律上の争訟性を備えたものでなければならず、具体的権利義務についての争いで、法令の適用で終局的に解決されるべきものを意味する。
 ②補助参加の対象となる訴訟との関連で考えるとは、そもそも判決主文中の判断や判決理由中の事実認定の判断が、後訴において影響力を有することは基本的にはないのであって、補助参加人たるべき者の法律上の地位と論理的関係を考えないかぎり、後訴の裁判官に対する関係で影響力を持つことはありえないのである。
 
 さて、こうした要件をZはXのYに対する訴訟においてXに補助参加することが出来るであろうか?まず、Xの請求に対してYは、電灯配線や照明器具については、すべて新しくなったと信じていた(注意義務は尽くしていた)と主張するであろう。
そうすると、この事実によってZは、建物所有者としての土地工作物責任を負う可能性が出てくる。XY間の訴訟の結果によって、この裁判所の判決理由中の判断の中で示されるZの責任の有無をもって、法律上の利害関係があるかということができるかという点(旧説)、あるいは新説によれば、Zの争訟性がまず問題となる。それは「補助参加人に被参加人のための訴訟行為をさせることを通じて、補助参加人自身の地位をめぐる紛争を解決することを目的とする以上、その紛争も法律上の争訟性を備えたものでなければならず、具体的権利義務についての争いで、法令の適用で終局的に解決されるべきものを意味する。」のであるから、争訟性については問題ないであろう。
 次に、旧説によれば、Zには、Xを補助する利益がある。けだし、Yの過失が認められれば、Zに責任が及ぶことはないからである。また、新説の基準では、補助参加の対象となる訴訟との関連で補助参加人たるべき者の法律上の地位と論理的関係を考える必要があるが、Yの責任の有無が、二次的に責任を負うとされるZの地位に影響を与えるので、補助参加の利益は肯定される。
 以上、いずれの考え方にたっても、Zには補助参加の利益があると言えることとなる。

2)と3)は訴訟告知の効果(参加的効力)に関する問題である。

2)A弁護士はZに訴訟告知することで、X敗訴の場合の裁判所の判断(責任はYにはなく、従ってZにある)の効力を、後訴における裁判において担保したいと考えているのであろう。もちろん、A弁護士はYもZも訴えるということも考えるであろう(主観的予備的併合)。しかし、主観的予備的併合には、異論もあるし、訴訟経済から見ても好ましいものとは言えない。

3)東京地判平成元年7・17は、電線が土地工作物に当たるから、との理由で訴訟告知を受けた場合において、電線は土地工作物には当たらないと裁判所が判断したとき、その判断には参加的効力は及ばず、従って、訴訟告知を受けながら参加しなかった被告知者との関係で、訴訟告知の効力は及ばない、とするものであった(資料5)。
 この判決(実体関係重視説に立つものと思われる)について、訴訟告知機会重視説からも肯認できるとの主張がある(資料6)。けだし、訴訟告知の効力は告知者が主張するもので、被告知者が主張するものではないから、告知者が当該訴訟で敗訴し、後訴において、その敗訴理由に基づいて被告知者に損害賠償などを求めることを予定したものであって、電線が土地工作物であるという前訴で敗訴したのと同じ理由で請求しても、訴訟告知の効力は認めることは出来ないと言うべきであるからである。
 さらに、誰が契約当事者だったかということが争点(択一的関係)となった事案にあって(資料2)YはYが買主であったというXの主張に対して反証をあげるために、Aが契約当事者であったと主張、証明するという関係にあるときでも、Yの訴訟参加の利益を認めることはできないと判断したのは誤りであるとの主張がある(松本博之)。松本氏が批判しているのは、「判決理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいう」との判示部分である。本件商品を買い受けたのはYであるとの、判断は傍論ということになってしまうからである(資料7)。
 さて、本問のA弁護士の主張の当否について検討しよう。
 前訴において電線は工作物であると判断したが、この判断は後訴において訴訟告知の効力を認められるであろうか?資料5の判決は、「電線は工作物ではない」と判断した場合にあっては、訴訟告知の効力は認められないとしていて、その理由として実体関係重視説にあっては、その判断は、訴訟告知において、そもそも参加的利益を有しなかったことになり、訴訟告知機会重視説からも、前訴で敗訴したのと同じ理由で請求しても訴訟告知の効力を認めることはできないとするものであった。では、その逆に「電線は工作物である」と前訴が判断したときは、どうであろうか?
 「判決理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいう」との関係は、成立するであろうか?電線は工作物であることが判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定ないし法律判断に当たるであろうか?
 この裁判所の判断は傍論にしか過ぎないのではないか。
 もちろん、こうした裁判所の参加的利益に関する一連の判断には批判も多い。しかし、すくなとも裁判所の見解に立つ限り、A弁護士の主張は認められないことになる。

Q2
1)
訴えの主観的予備的併合と共同訴訟
  訴えの予備的併合とは主請求が認められないときのために予備的請求をなすことをいい、このとき予備的併合の相手が主請求の相手とことなるとき、これを主観的予備的併合とよぶ。たとえば、主請求で契約の相手方本人に契約の履行を求めながら、この契約が代理人を通じてなされていて、無権代理の疑いがあるとき、自称代理人に対して請求(契約の履行ないし損害賠償)をする場合である。また工作物責任(民法717)では、第一次的に占有者、予備的に所有者が訴えの相手方となる。しかし、主観的予備的併合は最高裁の判例によって否定されている。  
 その根拠は予備的な被告の地位の不安定と共同訴訟としてしまうと、予備的当事者の審級の利益が奪われる可能性にあった。
 そこで41条で同時審判申出共同訴訟が立法されたが、ここでは予備的請求が予備的(条件的)地位を持つのでないため、両請求が同時に審判されるのにとどまることになった(当事者はそれぞれにえ対して矛盾する主張を訴訟で展開することになる)。
 同時審判申出共同訴訟の要件:法律上両立し得ない関係にある共同被告に対する請求について、原告が事実審の口頭弁論の終結時までにその旨の申出をなすことによって成立する(41ⅠⅡ)。
 問題は、YおよびZに対する請求が並存し得ない(両立しえない)関係にあるかであるが、土地所有者の責任は、工作物の占有者の責任が認められない場合の二次的なものであるから、両立し得ないといってよかろう。

2)資料8によると、Yの認諾はXZ間の訴訟に影響を与えない。そうするとXはYにもZにも勝訴することが可能となるが、それはYの認諾という処分権主義に基づくものである以上、やむをえない。

3)私権は次の通り:電灯配線が工作物に当たるかどうかは、法的判断であり、自白にはあたらない。それゆえ、電灯配線については、当事者の主張に関わらず法的評価をすることができるので問題とならない。
 これに対して、高見進氏の見解(資料9)は、①電灯線の配線が工作物に当たるとの供述の代わりに、Zが被告Yの代理人であると称している場合(YはZの代理権を争っている)に、YがZの代理権を自白した場合には、Yに対する請求が認容されてもZに対する訴えが消滅するわけではない。しかし、XがZの代理権の存在についての抗弁を自白したものとみなすことにより棄却されるべきである、と主張する。②逆にZの無権代理の自白があったときは、Zに対する請求が認容できるとしても、Yに対する主張を仮定的主張と考えて、同時にYに対して請求棄却の判決をすることは直ちにはできない。
 XがZの代理権不存在の自白(自認)をそれとして受け入れる場合には、XのZに対する無権代理の主張が確定的となり、それと矛盾するXのYに対する請求を棄却し、逆に、XがYに対するZの代理権の存在の主張を撤回しないのであれば、XのZに対する無権代理の主張は仮定的主張として維持され直ちに判決ができない、ということになる。
③Yが自白し、Zも自白する場合についても、高見氏は同様の議論をする。
 しかし、代理権の不存在の自白は権利自白が自白として裁判所を拘束しないのと同様に考えることで、そもそもこの問題は解決できると考えるべきである。もっとも結論において、高見氏の見解と相違するところはない。

4)同時審判申出共同訴訟にあっても、基本的には共同訴訟人独立の原則は維持されるから(資料10)、Yに手続中断事由が生じた場合でも、Zに関する訴訟手続は中断しない。しかし、同時審判の要請から事実上停止するべきものと考える。

5)





                     
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by civillawschool | 2006-07-06 12:17
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