大学院民訴レジュメ

第21講、第22講 (11日目)

11日目
第21講、22講(合併講) 参加制度の意義
講義の主題・ポイント:訴訟当事者ではない第三者の各種参加制度の意義について、手続保障の観点から訴訟告知の問題も交えて理解する。
キーワード:補助参加、独立当事者参加、共同訴訟的補助参加、訴訟告知
判例百選 106、107,108、109,

11-1-1補助参加
     定義:他人間に訴訟が継続中、その訴訟の結果に利害関係を有する第三者が、当事者の一方(被参加人)を補助して勝訴させることにより自己の利益を守るため、訴訟に参加する制度のこと。
     参加の要件:他人間の訴訟が存在しており(控訴段階でも参加は可能)、訴訟の結果について利害関係があること。
     利害関係については:基準として、他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれのある第三者が、既存当事者との間で、利害調整を図るという視点(佐野宏志「補助参加」基本問題セミナー384頁)から、補助参加人にどのような機能を期待するか、という問題であるといわれている。
 こうした問題では、「他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれ」であるとか、「利害関係の性質・内容、その程度など」を測る明確な基準を示すことは一般に困難であると解されてきた。そこで従来の決定の事例をみていくしかない。①保障債務の履行請求に対して主たる債務者が補助参加をすること、またその逆は訴訟の結果に影響があることは問題ないであろう。②交通事故などにおいて、被害者と加害者の一人の訴訟について、加害者の一人に対する訴訟で請求棄却の判決が確定すると他の加害者が全責任を負うことになるとしてこの訴訟において他の加害者が被害者に補助参加することを認めているのもこの理由による。③村民大会において電鉄会社への寄付金割り当てをめぐって、未納住民への支払い請求訴訟において、被告たる住民が決議の無効を主張しているとき、他の未納住民が補助参加することを認めているのもこのためであろう。
    補助参加人の地位:独立性と従属性があるといわれている。独立性とは、参加人にも被参加人の行為に矛盾しない限りで訴訟行為をすることができることから、当事者能力や訴訟能力が要求されることをさす。従属性とは、被参加人の行為と矛盾する行為、不利益な行為はなしえない。(45条2項)
  既判力と補助参加的効力の異動については以下の表を参照のこと



既判力 参加的効力
勝訴・敗訴を問わない 被参加人敗訴の場合にのみ生ずる
 当事者間で生ずる  被参加人と補助参加人の間で生ずる
当事者の訴訟追行のいかんにかかわらず原則として生ずる  補助参加人のなしえた訴訟行為との関係で一定の除外事由がある
 訴訟物についての判断にのみ生ずるのが原則  判決理由中の判断についても生ずる
 訴訟告知として拡張されることはない  訴訟告知によっても生ずる(53条4項)
 職権調査事項である 当事者の援用を待って判断すれば足りる

11-1-2訴訟告知
 定義:訴訟の係属中、当事者らが、その訴訟に参加できる第三者に訴訟係属の事実を通知すること(53条1項)
 制度趣旨:第三者に対して参加の機会を与えることでその者の利益保護の機会を保障するとともに、告知者には、敗訴の場合には参加的効力を及ばせることで、この第三者との後日の紛争を防ぐことができる。
 要件:①上告審に係属中でもよい(53条1項)②訴訟の当事者が告知するが、他に補助参加人、告知を受けた者がさらに第三者に告知することもできる(53条1項2項)③被告知者は訴訟参加できる第三者(補助参加、独立当事者参加、共同訴訟参加の利益を有するもの)である。
 効果:告知者が敗訴しても、実際には参加しなかった場合でも、参加できたときに参加したものとみなされ、参加的効力が及ぶ。すべての補助参加人に参加的効力がおよぶわけではないので、参加的効力がおよぶ場合にかぎって及ぶ。たとえば主債務者に保証人は参加しても参加的効力は生じないし、村民大会決議のケースでも未納住民どうしの間に債務関係はなく、参加的効力は発生しない。

11-2-1 独立当事者参加(vs 共同訴訟参加)
定義:当事者の一方に参加する共同訴訟参加と異なり、原告・被告の双方を相手方として、の間の請求と関連する自己の請求を、同時に、かつ矛盾のない審判を求めて参加することをいう(47条)。かって三面訴訟の規定としてあったが、当事者の一方に対してのみ請求を持ち込む片面的独立当事者参加も新法は認容している(47条)
要件:①他人間に訴訟が係属中であること②参加の理由があること(後述)③本訴訟の当事者の一方または双方を相手にすること
 参加の理由については、ⅰ詐害防止的参加とⅱ権利主張参加があり、前者については権利侵害説、判決効説、詐害意思説、詐害的訴訟追行説などが対立している(判例も一致していない)。たとえば所有権移転登記抹消請求訴訟において、被告が訴訟に熱心でなく(準備書面を提出しない、口頭弁論期日に出頭しないなど)本件物件の強制競売開始決定を受けた債権者が、当該不動産が被告の所有に属することを確認するとの請求を掲げて独立参加する場合などである(判例最判s。42.2.23)。詐害的訴訟を防ぐこともこの独立参加で可能となる。
  権利主張参加は、本訴訟の目的の一部または全部が自己の権利であることを主張する場合である。
     参加の申出は補助参加の申出に準ずる(47条4項,43条)
11-3-1 共同訴訟的補助参加
   明文の規定はないが、当事者適格がないがあ、既判力が及ぶ場合に認められる。
   遺言執行者の訴訟に相続人が参加する場合、破産管財人の訴訟に破産者が参加する場合などである。取締役選任の総会決議取消訴訟で、被告適格は会社のみとする判例(通説)によるときの、選任された取締役などである。(判例百選111)

百選判例 106 補助参加の利益
Issue(事件の概要):Xは亡Aから問題となっている土地建物などを生前贈与を受けたとYに対して主張、所有権の確認と所有権移転登記手続を求めたが、予備的にYの主張する遺贈が有効である場合でも、遺留分減殺請求権がXにはあると主張をした。
Yは反訴の請求原因として公証人Z(補助参加人)の作成した亡Aの遺言公正証書に基づく遺贈による所有権の取得を主張し、Xに対して当該不動産の明渡しおよび明渡しまでの損害金の支払いを求めた。これに対してXは、同公正証書は、亡A本人ではなく、その替え玉が公証役場に出頭し、公証人Zがこれを亡A本人と誤認した結果作成されたものであるから無効であり、遺贈もその効力を生じていないと主張した。
 これに対して公証人Zが、Y側に補助参加の申立をした。その理由は、①Xの主張が認められれば、公証人法および刑法上の責任を問われ、名誉を侵害されること、②Xに対する亡Aからの生前贈与が有効と認められれば、公正証書作成に際してXを相続人から排除することを教示しなかったZの義務違反(亡AはXに排除を希望したが、Zがそのような必要はないと助言)を理由に、Yが国家賠償を請求するおそれがあること、の2点であった。
 Xが異議を申立て、補助参加の申立ては第一審において却下。Z抗告。
 抗告審(本件は抗告審の決定)も抗告棄却。
Rule(法):補助参加とは、他人間に訴訟が係属中であるとき、その訴訟の結果に利害関係を有する第三者が当事者の一方(被参加人)を補助するために訴訟に参加する制度であるが、問題は「訴訟の結果に利害関係を有する(42条)」ということの意味である。基準として、他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれのある第三者が、既存当事者との間で、利害調整を図るという視点(佐野宏志「補助参加」基本問題セミナー384頁)から、補助参加人にどのような機能を期待するか、という問題であるといわれている。
 本決定(東京高裁)は、公正証書ないしこれに基づく遺贈の効力の有無および生前贈与の成否は、所有権確認と登記であるから、結局、それは本件訴訟の判決の理由中の判断事項にすぎない、とし、Zの主張する利害関係の性質・内容、その程度としているのもこのためである。
Analysis(分析):こうした問題では、「他人間の訴訟によって自己の法的地位に何らかの影響を受けるおそれ」であるとか、「利害関係の性質・内容、その程度など」を測る明確な基準を示すことは一般に困難であると解されてきた。そこで従来の決定の事例をみていくしかない。①保障債務の履行請求に対して主たる債務者が補助参加をすること、またその逆は訴訟の結果に影響があることは問題ないであろう。②交通事故などにおいて、被害者と加害者の一人の訴訟について、加害者の一人に対する訴訟で請求棄却の判決が確定すると他の加害者が全責任を負うことになるとしてこの訴訟において他の加害者が被害者に補助参加することを認めているのもこの理由による。③村民大会において電鉄会社への寄付金割り当てをめぐって、未納住民への支払い請求訴訟において、被告たる住民が決議の無効を主張しているとき、他の未納住民が補助参加することを認めているのもこのためであろう。
 これに対して本件では、訴訟の結果Zにおよぶ影響は、判決理由中の判断によって別訴で不利益が及ぶおそれを主張しているわけだが、判決理由中の判断が第三者におよぶわけではなく、矛盾した判決が出ることによる社会的混乱も少なく、論理的に参加の利益として不十分と判断したのであろう。
Conclusion(結論):東京高裁の決定に賛成

百選判例 107 補助参加人に対する判決の効果
Issue(事件の概要):Y1は、Xよりビルの1室を賃貸していたが、Aより本件物件(ビル)の所有権はAに帰属すること、それゆえ部屋の明渡と賃料相当額の損害賠償を求める訴えを提起され、XにはY1より訴訟告知がなされ、Xは補助参加した。しかし、Y1全部敗訴(これが前訴)
 Xは前訴が控訴審に継続中、Y1およびY2(Y1の連帯保証人)に対して賃料不払いにより賃貸借契約を解除したとして、未払賃料および約定損害金の支払いを求める本訴を提起した。これに対してY1は建設協力保証金名義で支払った金の返還を求める反訴を提起した。Y1Y2はXの本訴請求に対する抗弁として本件賃貸借契約はXにビルの所有権があることを要素として締結されたものであるから、その所有権がAにあるならば、賃貸借契約は要素の錯誤によって無効であり、前訴にXが補助参加しているから、前訴の判断に矛盾する主張をすることは許されないと主張した。
 Y勝訴、X控訴、上告。
Rule(法):補助参加人に対する判決の効力は、被参加人敗訴の場合について判決理由中の判断についても生ずる特殊なものである。ちなみに本件では補助参加人は訴訟告知を受けているので、参加していなくとも参加的効力をうけると解されている。
 補助参加人にも判決の効力が及ぶのは前訴、後訴の判断に矛盾が生ずることの社会的不利益と当事者として訴訟で争う権利の手続保障(46条)との間でバランスをとったものであると解されている。
Analysis(分析):補助参加している者が、そこにおける裁判所の判断と矛盾する主張を抱えてどこまで新たな訴訟を争えるかという問題である。基本的には(46条記載のような争う機会が実質的に保障されなかった場合を除き)その効力は判決の理由中の判断にも及ぶものと解されるし、本件ではこれを否定する積極的な理由は見当たらない。
Conclusion(結論):最高裁の判決に賛成


百選判例 108 訴訟告知と参加的効力
Issue(事件の概要):YはAとの間でカラオケボックス建築のために建築請負契約(注文者Y, 請負人A)を締結したが、このカラオケボックスに設置する家具(いすおよびテーブル)はXが納入した。Xはこの家具の代金の支払いがなかったので、Aに対して支払いを求める訴えを提起した(前訴)。
 この前訴において、Aは家具については施主であるYがXから買い受けたものであると主張したため、XはYに対し、訴訟告知した。しかし、Yは前訴に補助参加しなかった。結局、右家具代金部分についてXの請求は棄却されたが、判決理由中に右商品はYが買い受けたことが認められる旨の記載があった。
 そこでXはYに対して、前訴において棄却された本件商品の代金の支払いを求めて訴えを提起し、第一審はYの欠席によって擬制自白が成立し、Xの請求が認容された。Y控訴。
 原審では、次のように判示してYの控訴棄却:本件においては、商品の買主がAであればYでないという二者択一の関係になるので、別訴判決における右の点に関する認定・判断は、本訴の判断の論理的な前提になっていること、別訴判決において本件商品の買主がYではなくAであると認定されれば、YとXの利害は一致すること、また、YがXによる訴訟告知を受けた時点において別訴に参加していれば、別訴において本件商品の買主はYではなくAであるとの主張・立証活動をすることができたことが認められるので、別訴判決の効力は、・・・及ぶものというべきである。」
 Y上告
 最高裁は「この判決の理由中でされた事実の認定や先決権利関係の存否についての判断とは、判決の主文を導きだすために必要な主要事実に係る認定および法律判断などをいうものであって、これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではない」と判示して破棄差戻した。
Rule(法):訴訟告知を受けた者に参加的効力が及ぶのは、法律関係上の利害関係を有する場合に限られる(補助参加できるか否かの入り口の要件とは異なる)といわれている(条文にはかかる制限について記載はない)。42条は補助参加の要件につき「訴訟の結果につき利害関係を有する第三者は」、と入り口での記述があるのみで参加的効力については、46条で参加的効力が及ばない場合の例外規定があるのみである。
 そこで判決効が及ぶ場合を論理上導かなければならない。
 先決関係や論理的関係がなければ参加的効力は否定されると解するのは、判決による判断の事実上の矛盾を避けなければならないとする要請と、当事者でない者の裁判を受ける権利の保障(手続保障)からのみ演繹されるわけではない。判決の効力が拡張されるには、当事者間の判断を被参加人と参加人との間に拡張できるだけの密接な関係が必要と解されるからである。
Analysis(分析):家具の購入契約と請負契約は、この点で論理必然的でも先決関係にもない。原審がいうように買主はAかYかの事実上、二者択一の関係にあったとしてもかかる判断は、前訴における理由中の傍論的なものにすぎないので、その判断にまで判決の効力を拡張することはできないと最高裁は判断したのである。
Conclusion(結論):判例に賛成

百選判例 109 独立当事者参加の可否
Issue(事件の概要):XはYに対して売買契約を原因として所有権移転登記を請求する訴えを提起した。第一審、Xの請求認容。Y控訴。
 控訴継続中にZがYに対しては所有権移転請求権保全の仮登記に基づく本登記を、Xには本登記手続きの承諾を求め、独立当事者参加の申出をした。Zによれば、訴外AはYに対して500万円を貸付、担保として本件不動産に代物弁済予約を設定し、所有権移転請求権保全の仮登記を行ったが、これをZがAより譲渡を受け、仮登記の権利移転の付記登記を経由した。ZはYに予約完結の意思表示を行った。Zは精算金(債務の残債務の返済のことか)がないことをXとYに通知した。Xは処分禁止の仮処分を行っている。
 XはZの参加申出は要件を欠くと主張し、Zの売買の一方の予約は通謀虚偽表示であると主張した。
 原審は参加申立てを認め、第一審のX勝訴部分を取消し、XのYに対する請求を棄却し、ZのXおよびYに対する請求を認容した。その判断の中で、ZはXに対して本登記手続きの承諾を求めたものは、その実質は所有権の確認であり、所有権をめぐるXYZの争いを一挙に統一的に解決するものである。Xが上告。
 最高裁は一部差戻し、一部破棄自判。まず、独立当事者参加の要件を満たしていない、と判示。けだし、Zの請求は所有権の所在を三者で一挙に確定するものではなく、また合一確定を求める趣旨とも解せないとの判断を示した。結局本件の参加の申出は新訴の提起と解すべきである。
Rule(法):独立当事者参加の制度は、当事者双方または一方に対する請求を立て、当事者として参加する制度であり、参加後は同一手続内で必要的共同訴訟の審理原則に従い、三者間で矛盾のない判決が得られるところに特徴がある(統一審判と合一確定の保障:47条4項による40条1項ないし3項の準用)。参加にはⅰ詐害防止的参加とⅱ権利主張参加がある。本件ではⅱの権利主張参加としての成否が争われた。
Analysis(分析):権利主張参加では、目的の全部または一部が自己の権利であることを、主張する場合である。本件では自己の権利を主張しているかが問題となる。ZはXに対しては所有権の確認ではなく、本登記の承諾を求めている点が問題となったわけである。なお、本登記にはXの承諾が必要であるが、このこととかかる請求が独立当事者参加となることは無関係である。要するに合一確定の必要は認められないという判断である。
Conclusion(結論):判例に賛成
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by civillawschool | 2006-01-18 17:51
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